トヨタ・新型カムリ

「これはオジサン車じゃない!」カムリHV試乗記(3)「ザ・トヨタ・セダン」

2018/05/04

トヨタ・新型カムリの販売台数の5割以上が60歳代以上と聞いてびっくりした。では、「見ているだけでは分らぬ」と、試乗してみることとした。本当に若者に受けないのであろうか?

女房はスタイルについて「大口開けた出っ歯じゃね~」と現代の若返りデザインを否定して、乗りたがらない。一人で買う気になってディーラーに出かけてみた。

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■アメ車改、アメリカ市場で生まれた「ザ・トヨタ・セダン」

ハンドルを切ると正確に狙ったように曲がっていく。ほとんど修正舵が必要ない。最近の日本車のハンドリングの良さは、目を見張るものがある。しかし、スバル・インプレッサと何かが違う。プリウスに近いのだが、インプレッサはもっと「キレ」がある。その違いに意識を集中してみる。

カムリ・サスペンション 引用:http://toyota.jp/camry/cp/beautiful-monster/

バネが軟らかく低速域での吸収性は、どちらも優れている。車重の違いは、さすがに感じる。しかし、インプレッサは値段が安く、豪華装備を省いてあるが、よりBMW、ベンツ、アウディなどドイツ車に近い。新型カムリは、いわばアメ車の改良版、キャデラックの方向に近い。営業マンに断って左右に思いっきり振ってみた。加速しながらでもFFのためか、タイヤはならない。でも機敏さは感じられなかった。

個人の感性の問題もあるので、スプリングの柔らかさと、ダンパーのしっかり感、それにパワーハンドルの重さが絡んでいるようだ。感性の問題で少しも違和感とはならないが、私はインプレッサの機敏な感性が好きだ。価格は半値だし・・・

引用:http://toyota.jp/camry/cp/beautiful-monster/

このあたりの感性を利用して「トヨタ高級車」を演出しているのかもしれない。堂々とした走りの感覚が伝わってくる。「オジサンが好きな感性」かもしれない。でも、これは実用車のハンドリングとしては、最高級なものだ。「トヨタらしからぬ、トヨタらしい車」との評価が良いのではないか。

個人的感想はともかく、セダンとしての室内の広さ、運転支援装置など安全装置の完備、申し分がなかった。この乗り方で、燃費は車載の表示で「13.8km/L」だった。優秀と言うべきであろう。これなら通常18km/L」は出ると営業マンは言っていた。

■「ディーラーの技術レベル」の疑問

営業マンの説明は、昔から「営業トーク」と言われる”宣伝文句”である。そこでユーザーはある程度自己防衛しなければ、無用な買い物をしてしまう。そこで、技術的内容を聞いてみることにしている。

第一に、新型カムリはHV専用車として日本では発売されている。HV装置の心臓部、トルクミックス機構について、営業マンに訊ねてみた。

「ATのトルコンもなく、クラッチもないが、変速などは、どのようになっているのですか?」。

「電気式CVTと称しているように、基本CVTです」。

「トルコン、クラッチなしでどうして止まっていられるの?」。

「・・・・・・・」

遊星ギアを使ったトルクミックス機構を知らないようだ。「電気式」とはモーターの電圧コントロールで車輪を駆動しない仕組みを言い表しているが、基本的構造を知らないようです。

➡参考:【ハイブリッド・エンジン(1)】外燃機関と内燃機関

「アトキンソン・サイクルエンジンで低速は苦手なので、モーターで補助して・・・」

「ちょっと待ってアトキンソン・サイクルでは逆だね。低回転が得意なエンジンだろう」「ミラーサイクルって知ってる?」

「・・・・・・・」。

熱効率41%に達したハイブリッドエンジンを知らないようです。つまりディーラーでは、最もトヨタが得意とする、HV技術について営業マンはともかく、整備士も良くは分っていないのだった。これでも営業に支障をきたすことがなくなっているので「オジサン車」は好調となっているのだった。

↓↓↓こんなニュースも最近あった。進化が激しいクルマに営業マンの知識が追い付いていないのが現実だ。


車に対する認識が「家電並み」となった現実を認識させられたが「故障」に対応するときに、ディーラー整備士が「突っ張ってしまう」理由が分るような気がした。要は「知らないことは突っ張れ」なのだ。故障を直すことはますます難しくなってきたのである。AI搭載車の「コントロールプログラム」の「バグ」は確実に増えてくる。これからの整備のあり方を、「苦情処理」的発想でなく、確実に整備するにはどのような体制が必要かを考えるべき時であろう。危険が伴うことで、大きな問題とならないことを祈る。



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