日記 電気自動車(EV)

自動車EV化の流れ(下) テスラとトヨタの違い ジャーナリストたちの戸惑い(やってはいけないことをやってしまった!)

最近、CEOイーロン・マスク率いるテスラモーターズのニュースでは、生産体制の不備が目についてきました。新車生産は遅れており、株価も下げています。「製造業を甘く見た」との記事もあります。トヨタとの差はどこにあるのでしょう。経営者には、勉強になる話です。



 

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 テスラの苦悩

テスラは、一時GMの株評価額を上回り、投資家の中では熱狂と言っても良いブームになっています。現在は「モデル3」の生産につまづき、資金的に苦境に立っています。

それよりも問題視しなければならないのは「完成車の9割に修正が必要だ」と言うことです。CEOイーロン・マスク氏は、最新技術を取り入れて人々を熱狂させはするのですが、この事態は「製造業としては成り立たない」現実です。

やってはならないことをやっている

テスラでは、製造業では「やってはならない第一のこと」と言える「手直し」をしているのです。「この手直しは数分で済むこと」とテスラは言っていますが、この考え方が「致命傷になる」可能性が高いのです。

テスラの実際手直しは「数分の作業」で済むのでしょう。それは手直し作業の直接部分です。しかし、その作業を行うのは生産作業のライン上ではありません。一旦どこかに保管し、先入先出の管理をする「起き場所」と「管理」をしなければなりません。それはひどく「資金を必要として、新車一台よりも高くつくことがあります。これは、現代の製造業では「やってはならない第一のこと」です。

社員のモチベーションコントロールができない

これをイーロン・マスク氏が知らないはずはないのです。ですから「解決できない」のでしょう。これを解決するには「人を使う方策」を変えねばなりません。しかし「作業員の立場・気持ちになって」理解することは出来ないのがイーロン・マスク氏です。経営者としてビジネスモデルのすべてに理解が出来ないと経営はできません。

「現場の製造作業は自分の作業ではない」とする「サラリーマン経営者」が多くいます。しかしそれでは「品質保証」が出来ないのです。同様に、日産自動車の弱点は、実は「投資感覚」の強いカルロス・ゴーン会長の経営方針にあって、少しずつ日産伝統の品質保証体制の弱体化が進んでいるようです。

経営者がこうであると、作業員のモチベーションの持ち方が変化していくのです。企業はどんなにAI化が進んでも、人で作られています。社員のモチベーションコントロールを間違えれば、企業の致命傷になりかねません。それも取締役だけでなく作業員に至るまですべての人々です。東芝の例を見れば分ります。経営者が間違ったモチベーションを持っていれば、どんなに高くても作業員は間違った言動をしてしまいます。

テスラとトヨタの違い

トヨタの「かんばん方式」の狙いは、「在庫を持たない」ことです。全世界がこの方式の後を追ってきました。資金量が一千倍も違うと言われています。

この「多種少量生産」の基本が、多くの自動車ジャーナリストが理解できていないことです。投資家と言われる人々も、「資金効率」と言われても「目先の配当」と理解しており、産業界のビジネスモデルの資金効率については極めて幼稚です。「いくら投資して、どのくらいの期間でどのくらい儲かるのか?」としか価値基準を持てないのです。

トヨタ生産方式が世界の製造業を変えたと言ってもいいのです。これが「第三次産業革命」です。人によって産業革命の基準がまちまちですが、企業の「資金効率」を基準とするなら「トヨタかんばん方式」が「第三次産業革命」です。イーロン・マスク氏には、極めて厳しいことです。

 

EVは電池がポイント 当面は全固体電池

EV技術について、AI、IoTと混同して語られているようです。EV化の最大の技術的問題点は、バッテリー(電池)です。

日本のEV車・日産・リーフに乗ってみると、5人乗りセダンとしてはよくできています。しかし、航続距離はJC08モードで400kmと言っていますが、実質的には280kmぐらいであろうと思われます。タウンカーの使い方なら困ることはないでしょう。また、バッテリーは劣化します。5年ぐらいで200km続けて走れない位になってしまうのが標準でしょう。交換するには高額過ぎて、中古車市場ではガソリン車と競合する値がつけられなくなっています。


そこで現在、開発が進められている「全固体電池」が実用化されれば、事態は変わってくると感じます。容量が倍増し、充電時間が数分で済むようになるからです。しかし耐久性、コストについてはまだ未知数です。でも期待が持てます。現在のところ良心的なメーカーの姿勢としては、実用化には、程遠いことはユーザーに告げるべきでしょう。

 

マツダ提唱:油田から車輪へ(Well to Wheel)

一方、マツダが提唱している「油田の採掘から自動車の走行」まで通して、本当にCo2排出量が減らせる方法はどれなのか?考えていくことが肝心です。エンジンの熱効率が60%に達すると、火力発電よりも効率が高くなるようで、集中発電・配電と比較して本当に効率が上回るのかを考えなければならないでしょう。


投資家は「Co2削減ではなくCo2ゼロ」を求めて資金を動かしています。この動きには、投資家独特の極端な目先のことで動くクセも出ています。「人類の存亡」にかかわることであり、投資家の目先の利益を求める判断にゆだねるわけにはいきません。EV化をブームに終わらせることなく、考えていくことが必要です。

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【2018年の注目】EV・スマホ次世代電池「全固体電池」で激しい開発競争! トヨタ筆頭にホンダ、日産、日立etc.

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