日記

海上自衛隊・潜水艦「そうりゅう」型が中国・核戦力抑止の期待を背負う! 日本の防衛について少し知っておこう!

2018/07/17

2018年1月、中国の原子力潜水艦が沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域を潜航し、その後東シナ海で浮上した。中国国旗を掲げて航行したので、領海侵犯にはならなかった。中国は尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領有権を主張していて、周辺の接続水域に公船を頻繁に派遣している。それに関連して、日本の防衛はどうなっているのか見てみよう。(アイキャッチ画像引用はWikipediaより)



 

中国が敏感になっている、日本の潜水艦


最新型「そうりゅう」型の潜水艦が海上自衛隊に引き渡され続けている。2018年 3月12日「せいりゅう」で9隻目となる。

そうりゅう型潜水艦(そうりゅうがたせんすいかん、英語: Sōryū-class submarine)は、海上自衛隊が運用する通常動力型潜水艦の艦級。

そうりゅう型潜水艦同型艦は、「そうりゅう」から始まり、「うんりゅう」「はくりゅう」「けんりゅう」「ずいりゅう」「こくりゅう」「じんりゅう」「せきりゅう」「しょうりゅう」などと、命名されている。

Wikipedia

この潜水艦は「非大気依存推進(AIP)システム」を搭載、AIPによる潜航時スピードは5ノット程度と遅いが、これまで数日間だった連続潜水航行期間を3~4週間に延長する能力を得た。そしてイージス艦などと同じように、ネットワークにより情報を共有して作戦できる能力を備えた最新鋭艦である。

中国軍はこの潜水艦に敏感に反応しており、それはこの潜水艦の存在を無視できないようだ。それは、なぜか??

 

潜水艦は「音」の戦い

潜水艦の戦いは「音」にある。相手に感知されないことが必須だ。自ら出す音をパッシブ・ソナーで感知されないことと、アクティブ・ソナーに探知されないことと、同時に考慮しなければならない。つまり、自らの推進機関からの音を消すことと、敵が放った音を反響させないようにしなければならない。

例えば、ステルス戦闘機、爆撃機で知られるようになったのは、レーダー波をはじかない、形状、外装を持つ機体だった。しかし、潜水艦は水中なのでレーダー波は使えない。レーダー波の替わりに「音」が使われるのだ。

戦いの前提として、居場所が知れてしまっては航空機のほうが圧倒的に有利になってしまう。海上艦艇もしかりだ。そこで場所を知られないことが、潜水艦を戦力として有効とするのだ。

↓↓↓しかし中国の潜水艦は、音が激しすぎて日本側にすぐ探知されてしまった。それを、”わかっていて故意に浮上した”と言い訳している。

↓↓↓冷戦時代、米・ソ連の潜水艦の戦いを描いた映画作品「レッドオクトーバーを追え」。緊迫した「音」の戦いであることがよくわかる。

 

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日本の潜水艦は「現代の忍者」!

非大気依存推進(AIP)のスターリングエンジンの採用

日本のそうりゅう型潜水艦は、海上自衛隊初の非大気依存推進(AIP)を採用した潜水艦だ。

AIPは、スウェーデン海軍が実用化したスターリングエンジン(ヘリウムガスなどの高温膨張と海水冷却による圧縮を利用)を国産化して採用した。海上自衛隊では長年AIPの研究をしてきたが、燃料電池なども候補に挙がっている。燃料電池の使い道は車だけでないのが分かる。水素は水を電気分解して得られるので、水中でも起電力だけあれば、エネルギーを循環できそうなものだ。可能性はあるだろうが今回採用されなかった理由には、潜水艦の運用の狙いが深くかかわっているのだろう。それは運用方法から考えて、潜水中の移動にはスピードより静音性が必要とされているからだろう。

非大気依存推進(ひたいきいそんすいしん、英: Air-Independent Propulsion, AIP)は、内燃機関(ディーゼル機関)の作動に必要な大気中の酸素を取り込むために浮上もしくはシュノーケル航走をせずに潜水艦を潜航させることを可能にする技術の総称。ただし、通常は原子力潜水艦で利用される核動力を含まず、非核動力艦のディーゼル・エレクトリック機関を補助・補完する技術を指す。

Wikipedia

 

原子力潜水艦のように大出力では音が大きく、移動時に発見されるのを防ぐことはできない。「そうりゅう」の静音性能がどのようなものであるのかは正確には分からないが、スターリングエンジンの採用により、移動時に発見できない可能性が大きい

「現代の忍者」と言えるかもしれない。

日本の自動車産業などで見られる製造技術の精度の高さは、ここでも大きな力となっているのだろう。

 

静音のスターリングエンジンによる性能

スターリングエンジンの歴史は古く、蒸気機関の替わりに考え出されたようだ。理論的には熱効率は高いのだが、実機を作るとなると大型化して効率が悪く、「そうりゅう」では潜行スピードで5ノット程度を想定しているようだ。原子力潜水艦では30ノットは出ると言われており、これで戦力となるのか?と言われてしまいそうだ。

ディーゼル潜水艦はシュノーケルなどで吸排気せねばならず、その間、敵から発見される危険が考えられ、最大の弱点と言われてきた。ディーゼルでバッテリーに充電し、潜水中は電力によるモーター駆動となるので、長くは潜水していられない。これまでせいぜい数日と言われてきた。

スターリングエンジンは、一方のシリンダー内に封入されたヘリウムガスなどを、外から加熱する。この意味で蒸気機関などと同じ外燃機関だ。繋がれている一方のシリンダーを海水などで冷やすと膨張していたガスが縮小して、相互にガスが行き来する。その力でピストンを動かす仕組みだ。そのため動きも静かで、出力は僅かだがディーゼル機関のように音を出すこともない。

これが、海上自衛隊の想定する潜水艦活動にマッチしているのだ。

 

日本の潜水艦兵器の位置づけ

潜水艦の兵器としての重要性は、日に日に高まってきていると言える。

特に、日本においては東シナ海、南シナ海における中国軍の活動が激しくなってきているため、日本の海上自衛隊の抑止する兵器として有効性が高まっている。

 

核戦力潜水艦と言えば、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)搭載型原子力潜水艦を思い浮かべることになる。東シナ海・南シナ海で覇権を広げようとする中国軍の狙いも、SLBM搭載原子力潜水艦を南シナ海で回遊させ「核戦略」の完成にある。現在の核保有国同士の戦略では、北朝鮮のICBMは、ほとんど意味のないものと受け取られている。軍事的には第一撃で破壊できないことが最重要なことで、つまりそれは先制攻撃で破壊できないと報復されることを意味している。だから、核戦争では先制攻撃すれば確実に共倒れになることが想定され、開戦を踏み留ませる「抑止力」となっているのだ。

 

その意味で、北朝鮮のICBMの形態では、移動式で「討ち漏らす危険」はあるが、基本的に第一撃で破壊できるものだ。そのためSLBM搭載原子力潜水艦を海で回遊させておくと、その位置を把握されなければ、第一撃で破壊できず報復戦力となるのだ。そのため、旧ソビエト時代からロシアはオホーツク海でクルクスのようなSLBM搭載大型原子力潜水艦を回遊させており、日本の北方領土の返還に足かせとなっている。中国は南シナ海で回遊させ、フィリピン海溝、日本海溝に通ずることで、核戦力の完成を目指している。

↓↓↓「今、低出力オ プションを含む柔軟な米国の核オプションを拡大することは、地域侵略に対する信頼性ある抑止力の維持にとって重要である。それは、核のハードルを引き上げ、潜在的な敵対国が限定的核エスカレーションにより優位になるのを防ぎ、核使用の可能性を低減する。」(以下記事より引用)

 

仮想敵国は中国!?

そこで、中国にとって邪魔になるのは日本列島であることは間違いない。

東シナ海から太平洋に抜ける航路に日本は位置し、日本の海上自衛隊が中国潜水艦の動向をかなり詳しくとらえてきた実績がある。

中国軍潜水艦はこれまで音が大きく発見しやすかった弱点があった。しかし、最近、日本の高精度の工作機械などを手に入れてきたことから、音がしなくなったと言われている。かつては、ココム(COCOM)規制と言って、共産圏に輸出してはならない品目であった工作機械なのだが、その後、グローバル化によって「世界の工場」となった中国は、平和産業から軍事技術に転用できる高精度の工作機械・加工技術を手に入れてしまい、潜水艦などを造ることが可能になったのだ。

↓↓↓東芝も、1987年に子会社・東芝機械が旧ソ連へ工作機械やソフトウエアなどを規制に反して輸出していたことが明るみに。担当者はCOCOM規制違反であることを認識しながら、虚偽の許可申請を通産省(現経済産業省)に提出して輸出してしまった。

日本の海上自衛隊潜水艦は、こうした海域で中国などの潜水艦の動向を掴むとこととなり、その静粛性から位置の把握が難しく、中国軍にとっては厄介な存在となっているのだ。その海上自衛隊潜水艦が、「そうりゅう型」によって連続潜水航行期間を3~4週間に伸ばしたことは、中国にとってさらに厄介な存在になったと言える。

しかも、その間5ノットという低速と言えども、潜航したまま無音で位置を変えることが出来るとなると、中国海軍の動きを詳細に捉えることが可能となり、これは「現代の忍者」と言えなくもない。

このことは、中国軍が本格的に海洋進出を軍事的に行うにはかなり邪魔な存在となり、日本の島の占領を思いとどませる力となっている。

この「そうりゅう」型潜水艦、さらにはこれに続くであろう燃料電池の利用など、原子力潜水艦でなくとも、活動地域が限られることから、かなりの抑止力となる可能性があると言えよう。

 

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