【ハードトップ】マツダ・ロードスターと日産GT-R(2)

自動車

車用語の「ハードトップ」について、最近大きな誤解があるようです。それをちょっと書いてみます。ハードトップってボディタイプのことなのか?いや本来は…




どうしてこんな記事を書くことになったか発端を知りたい方は、【ハードトップ】マツダ・ロードスターと日産GT-R(1)をご覧ください。

マツダ幌

出典:マツダ公式サイト/ロードスター

では、ハードトップの由来みたいなものを書いてみたいと思います。

ハードトップの由来はイギリスから

昔、イギリスでは、今のマツダ・ロードスターのような「オープンカーで小型軽量のスポーツカー」は、ロールスなど高級車を持つ貴族のセコンドあるいはサードカーとして流行ったことがありました。

「オープンカーで小型軽量のスポーツカー」、つまりライトウェイトスポーツです。

とても流行したので、当時イギリスではスポーツカーの小メーカーが乱立したようです。

オープンカーは貴族のおしゃれなスポーツであり、運転そのものを楽しむ車でした。

基本はオープンカーで、ソフトトップ、つまり幌を装備していました。でも、イギリスはアメリカのように天候が良くはないので、雨の日にはハードな素材で作られた屋根、つまりハードトップをのせて走行し、天気の良い時にはハードトップ外して、ガレージの片隅に置いて出かけるのが常でした。

普段はオープンカーやソフトトップで、雨の日にはハードトップ。これが、ハードトップの由来なのね。

そう、ガレージの片隅にハードトップが置かれていること自体がステータスであり、贅沢な貴族階級を象徴していたのです。

ハードトップは、本来オプション的扱いでした。

 

ハードトップがボディタイプとされた由来


Cadillac_Coupe_De_Ville_1950

出典:ウィキペディアより/キャデラック・デビル

さて、【ハードトップ】マツダ・ロードスターと日産GT-R(1)で書いた若いクルマ好きと喧嘩になったきっかけが、この話です。

一方、アメリカでもオープンカーが全盛であった時代がありました。

そこで、ハードトップをいちいち着脱するのであれば、いっそルーフをハードトップ風にしてしまえ!と考えたのです。

取り外せないハードトップ風のクーペスタイルが出てきた由来です。上記、キャデラック・デビルの画像のような。

そしてとうとう日本でも、高級感を演出する目的でハードトップクーペが登場しました!

トヨタクラウン、マークⅡなどにハードトップがラインナップに加えられて、「ハイオーナーカー」と称したのです。筆者は、これらも3台ほど乗った経験があります。

これで、ハードトップというのが商品名に加えられることになったため、ハードトップはボディタイプであるという認識が広まり、定着していきました。

 

さらにそれから後、クルマの安全性が叫ばれるようになりました。

オープンカーは転倒したとき危険であると言われるようになり、ベンツのSLなどは、転倒すると瞬時に立ち上がってくるロールバーを装着するようになりました。アメリカでは瞬時にオープンカーは生産されなくなり、「ピラードハードトップ」と称してBピラー付きの「サッシュレスドア」を装備したスタイルが発売されるようになり、今日に至っています。

このよう経緯から、若い人は「ハードトップ」と聞くとボディースタイルと勘違いしているのです。ソフトトップに対してハードトップと、その名の通りが正しいのです。・・・つづく

【ハードトップ】マツダ・ロードスターと日産GT-R(3)

【ハードトップ】マツダ・ロードスターと日産GT-R(1)
【ハードトップ】マツダ・ロードスターと日産GT-R(2)
【ハードトップ】マツダ・ロードスターと日産GT-R(4)