車用語の「ハードトップ」について、最近大きな誤解があるようです。それをちょっと書いてみます。ハードトップってボディタイプのことなのか?いや本来は…
どうしてこんな記事を書くことになったか発端を知りたい方は、【ハードトップ】マツダ・ロードスターと日産GT-R(1)をご覧ください。
では、ハードトップの由来みたいなものを書いてみたいと思います。
ハードトップの由来はイギリスから
昔、イギリスでは、今のマツダ・ロードスターのような「オープンカーで小型軽量のスポーツカー」は、ロールスなど高級車を持つ貴族のセコンドあるいはサードカーとして流行ったことがありました。
「オープンカーで小型軽量のスポーツカー」、つまりライトウェイトスポーツです。
とても流行したので、当時イギリスではスポーツカーの小メーカーが乱立したようです。
オープンカーは貴族のおしゃれなスポーツであり、運転そのものを楽しむ車でした。
基本はオープンカーで、ソフトトップ、つまり幌を装備していました。でも、イギリスはアメリカのように天候が良くはないので、雨の日にはハードな素材で作られた屋根、つまりハードトップをのせて走行し、天気の良い時にはハードトップ外して、ガレージの片隅に置いて出かけるのが常でした。
普段はオープンカーやソフトトップで、雨の日にはハードトップ。これが、ハードトップの由来なのね。
そう、ガレージの片隅にハードトップが置かれていること自体がステータスであり、贅沢な貴族階級を象徴していたのです。
ハードトップは、本来オプション的扱いでした。
ハードトップがボディタイプとされた由来
さて、【ハードトップ】マツダ・ロードスターと日産GT-R(1)で書いた若いクルマ好きと喧嘩になったきっかけが、この話です。
一方、アメリカでもオープンカーが全盛であった時代がありました。
そこで、ハードトップをいちいち着脱するのであれば、いっそルーフをハードトップ風にしてしまえ!と考えたのです。
取り外せないハードトップ風のクーペスタイルが出てきた由来です。上記、キャデラック・デビルの画像のような。
そしてとうとう日本でも、高級感を演出する目的でハードトップクーペが登場しました!
トヨタクラウン、マークⅡなどにハードトップがラインナップに加えられて、「ハイオーナーカー」と称したのです。筆者は、これらも3台ほど乗った経験があります。
これで、ハードトップというのが商品名に加えられることになったため、ハードトップはボディタイプであるという認識が広まり、定着していきました。
さらにそれから後、クルマの安全性が叫ばれるようになりました。
オープンカーは転倒したとき危険であると言われるようになり、ベンツのSLなどは、転倒すると瞬時に立ち上がってくるロールバーを装着するようになりました。アメリカでは瞬時にオープンカーは生産されなくなり、「ピラードハードトップ」と称してBピラー付きの「サッシュレスドア」を装備したスタイルが発売されるようになり、今日に至っています。
このよう経緯から、若い人は「ハードトップ」と聞くとボディースタイルと勘違いしているのです。ソフトトップに対してハードトップと、その名の通りが正しいのです。・・・つづく
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