ボルボは、2030年までにエンジン搭載の新車販売をやめると宣言して、すべてをEVにする気でいる。なのに、トヨタ、VWグループのアウディ、BMWはエンジン搭載車をやめる時期を明言しない。これは一体どうしてなのか?? 日経の記事を参考に、経営者からの視点を述べてみよう。
自動車メーカー、各社長の言い分
以下、日経の記事が参考になるので引用していく。
↓↓↓エンジン継続はトヨタと同じでも株価高騰、ドイツ勢のしたたかさ・沸騰・欧州EV(3)
「エンジンにも未来はある」(BMWのオリバー・ツィプセ社長) https://t.co/dwz0x3HSJt
— 日経ビジネス (@nikkeibusiness) March 24, 2021
BMW・オリバー・ツィプセ社長
「世界の多くの市場で自動車を販売している。それゆえ1つの技術に依存するには早すぎる。電動化を進めていくのは間違いないが、それはすぐに1つの技術(エンジン)が終わることを意味しない。エンジンにも未来はある。顧客がそのタイプの車(エンジン車)を欲しくないというのであれば、生産を止める」
アウディ・マークス・デュースマン社長(元独BMW取締役)
VWはエンジン搭載の新車販売を止める日を設定することを明確に拒否した。地域によってエネルギー構成や規制が異なるからだ。記者の質問に対しても、ディース社長は記者会見で、エンジン搭載の新車の販売を続ける意向を示した。EVの新型車を続々と発売していく一方で、「ゴルフ」や「ティグアン」、「パサート」といった主力車種はエンジン搭載の後継モデルを投入し、電気のみで100キロの航続距離が可能なPHVを導入していくという。
VWグループのアウディは、25年までに20モデル以上のEVを投入するという目標を示した。マークス・デュースマン社長はドイツ紙のインタビューで、新しいエンジンを開発しないことを明らかにしたが、新車への搭載をやめる時期は明言していない
トヨタ・豊田章男社長
そしt、トヨタは?というと、2020年暮れに「車がすべてEVになればいい。そんな単純なものではない」と豊田会長が語ったのは記憶に新しいところだ。
メルセデス
これは、小耳にはさんだ話だが、実は、メルセデスもディーゼルエンジンの開発を諦めていないらしい。
レーサーでもあり、自動車ジャーナリストでもある清水和夫氏がYouTubeの番組で言っていた。メルセデスの開発者と直接語って聞いた話だという。
※詳しくは、【2021年の気になる動向】ゴルフ、自動車、トランプ大統領、中国、コロナ対策~世界の大きな転換期??、でどうぞ。
というように、自動車メーカーの強豪たちはこのように述べている。
1つの技術に依存するには早すぎる!
特に、BMWのオリバー・ツィプセ社長が言った言葉は、経営者として共感できるものだ。
何故かというと、企業は【全方位で構えるべき】だからだ。時代がどう変化していくかは誰にもわからない。だから、可能性のあるものは残して、この先どう変化しても、企業として対応できるようにしていかなければならないからだ。物理的にもそうだし、精神的にもそうだ。(それにはお金も能力もいるが…)
何年か前、「トヨタはEVの準備が全くできていない!!」とメディアからもかなり批判を受けていたが、私はそうでないと思っていた。
それは、トヨタの十八番のプリウスに代表されるHVの技術には、EVの技術が満載だからだ。トヨタは、機が熟すのを待っていただけだ。それは今でも同じだ。
それに、トヨタは燃料電池車(FCV)の技術でも先を行っている。水素社会になってもOKだ。
他にもトヨタの考えていること様々ある(未来都市ウーブンシティなど)が、つまり、今後どのような自動車社会になろうとも対応できるようになっているはずだ。つまり、【全方位に構えている】ことだ。
そして、これと共通した考えを持っているのが、BMWやアウディを擁するVWグループだと思っている。
『選択と集中』とビジネスの世界ではよく言われるが、それはバブルのような上り調子の時に有効なのであって、現在のようなどう変化するかわからない時代に「選択と集中」をして方向性を極端に絞ってしまうと、変化した時には選択肢が少なすぎて対応できないことになる。
だから、ボルボのように【EV一本化】としてしまうと、しばらくの間エンジン車やハイブリッド車が残っていく時代になっていくことになったら、うろたえることになる。
これは、リスクマネジメントと同じだ。
おまけに、中国もしたたか!
そして、中国もEV一本化?と思いきや、トヨタのハイブリッド車(HV)の基幹システムの供給を受ける(広州汽車集団)ことにした(2020年10月)。2021年からHVを省エネ車として優遇することも決めた。
中国はエンジン車製造のインフラがないのだから、EV製造一本化でいいではないか???と思うところなのだが、やはり【全方位で構える】ことを考えているのではないだろうか。
生き残ろうとするなら当然だ。
そして、トヨタの技術をもらい受けることもできる。一石二鳥だ。いやそれどころじゃないだろう。
トヨタは人が良すぎる(>_<)!!!! でも、トヨタにもメリットがなければ同意しないだろう。
EV化には問題が山積み!
EV化にはCO2削減の大きな使命があるのだが、EVを走らせるだけではCO2削減はできない。EVが使う電力が化石燃料でできているのでは意味がないからだ。発電方法から考えなければならない。
それに、今プラゴミが問題になっているが、人間は本当にゴミを出しすぎる。いらなくなるとすぐにスクラップして新しいものを作ってしまう。いわゆる、スクラップアンドビルドだ。
EVになってからのバッテリーリサイクルも問題視されているが、今までエンジン車を製造していたインフラはどう片付ける? ガソリンスタンドはどう片付ける? エンジン車の中古車はどうなる?
本気でCO2削減を考えるなら、そこまで考えなきゃならないだろう。