2016年の世界情勢で、車の燃費をさらに向上させることは必須の目標です。ヨーロッパ(EU)の2021年の規制ででは、日本のJC08規制より実走に近い規制で、日本の誇るハイブリッド車であるプリウスの40km/Lでもクリアすることは叶わないと見られています。そこでハイブリッド・エンジンを主として、現在の自動車用エンジンについて、周辺知識を含めて基礎知識を確かめておきたいと考えます。
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蒸気機関の宿命
蒸気機関を見ると、ピストン運動を回転運動に変える仕組みがよく分ります。
蒸気機関車全体を見ると、円筒形の大きなボイラーが大部分を占めて、実際に力を出しているピストンの入ったシリンダーが大変小さく見えます。
これはレシプロ式の蒸気機関であり、現在発電に用いられている蒸気タービンは原子力発電など大型の発電施設では現在でも用いられています。
↓↓↓JR東日本公式サイトよりD51
出典:https://www.jreast.co.jp/railway/joyful/d51.html
蒸気機関のデメリット
薪や石炭を燃料としていた時代では、蒸気機関車は花形として活躍しました。次第に石油が普及してくると、外燃機関の効率の悪さが問題となって、自動車など小型の機関では内燃機関が浸透してゆきました。
機関車の動輪を連結棒でつなぎ、主連棒でピストンと連結しているその先に、小さなシリンダーが見えます。この機関全体の大きさ重量のかさみ方は、どうやっても内燃機関にはかないません。
機関車で一時代を築いたあと、大型の発電所などでは蒸気タービンに替わり、自動車などでは使われなくなっていきました。
蒸気自動車もあったが、効率が悪かった
1923年型スタンレー・スチーマー
上画像を見ると、蒸気自動車で内燃機関とそん色ない小型化ですが、使いやすさと高性能化で限界があります。現在、問題となっている熱交換率では内燃機関にかなわないのでした。
世界初の自動車は蒸気自動車でした。
だけど、燃料を燃やしてその熱を蒸気に変えてピストンを動かす、蒸気を媒体とすること自体が効率を落としています。
参考:第44回:蒸気と電気――ガソリン自動車前史・進化を生んだエネルギーの覇権争い(webCG)
蒸気機関は、効率の良い内燃機関に負けた
それに引き換えガソリンエンジンは内燃機関で、シリンダー内でガソリン(燃料)を燃やし、直接ピストンを動かしています。
ガソリンエンジンは熱効率の良さでは圧倒的であり、さらには機関全体として体積がこれまた圧倒的に少なくて済み、そのため重量でも蒸気機関と比較しようがないのです。
現在、燃費を争う技術としては採用しようがない差であるでしょう。➡熱効率60%の内燃機関が可能か?
原子力発電などでは炭酸ガスなどを発生しないので、蒸気を介してタービンを回すこと(蒸気タービン)で使われることになりました。