新型トヨタ・カムリが2017年1月北米モデルが発表されました。続いて7月10日日本で発売されることが決まりました。日本企業でありながら発表を北米が先行する、寂しい状況が続きます。TNGA適合の3車種目になる新型トヨタ・カムリには世界戦略に基づいてプリウスに始まった共通のシャーシが使われています。
新型トヨタ・カムリはこれまでのイメージを一新する「スポーツ・セダン」を前面に出した機能が満載です。
写真出典:http://toyota.jp/camry/new_camry/
C/Dセグメントの「安全パイ」からの脱出
出典:http://toyota.jp/camry/new_camry/
新型トヨタ・カムリは北米でのC/Dセグメントのセダンとして、とても上質で信頼のおける実用車との評判を勝ち得ていました。しかし同時にそれは「安全パイ」と見られて、積極的なモデルイメージはなかったのです。それでは拡販を目指すことが出来ないため、今回はBMWのようなスポーツセダンの方向に打って出て、イメージを一新することに努めているようです。
一方国内では、マークX、SAIと統一してしまうようです。マークX、SAIなどは国内の販売網ごとに「同クラスの車種でも別車種を用意する」ことを止める方向に行くことを示しています。国内の販売台数が伸び悩む中で、世界生産量から相対的に縮小していく生産台数では、同じ車種を4つあるトヨタの販系列全てで売った方が得策と考えたのでしょう。それはTNGAの最大の影響でもあります。
TNGA基本プラットフォームの共用とは?
TNGA(Toyota New Global Architecture)の根幹の機能は、世界のトヨタ生産ラインの稼働率の向上にあります。それは「平準化」の作業であり、進めるには「生産ラインでの共通部品の大幅な拡張」が必要で、各車種の設計そのものを見直す必要があます。
車種ごとのラインを持ち、生産していると、1車種の販売数量の増減で生産ラインの稼働率が左右されます。複数の車種を同じラインで生産できる体制なら、増産すべき車種と、減産すべき車種が補完し合います。その時、基本プラットフォームが共通部品として扱えれば大きなメリットとなります。さらに車種を統合できれば生産ラインの組み方が楽になるのは当然です。
しかし勘違いが多いのは「共通部品」についてです。それは別途次のテーマで。
このように、製造業では、稼働率が通年で平準化できると、コストダウンが出来ます。「販売する車種を実質減らさず生産ラインの稼働率を上げる」ことが出来ると、ラインの数を減らすことが出来ます。販売数量の変動があると、その最大数に固定費は引っ張られます。その販売数量の変動幅よりも生産ラインの変動幅を小さくすると、固定費の低減が出来て利益率を上げることが出来るのです。
「平準化」の問題では、悩んでおられる経営者の方は多いと思います。飲食業や観光業でもピーク時と閑散期があるわけで、これを平準化出来たらどんなに経営が安定することでしょう。トヨタの考えを見ていると、他業種でも勉強になるところがあります。
トヨタはTNGA「トヨタの・新しい・世界的な・構造」の名の通り、世界の生産ラインと販売数量との変動幅の調整を行い、生産現場の平準化を進めて利益体質の強化を狙っています。これは来たるべきI o Tにも対応しやすくすると共に、厳しくなる燃費規制やA I による自動運転など新規の投資に対応できる資金を生み出すことを目指しているのでしょう。
この先には「系列(下請け制度)」と「サプライヤー利用」の優劣を激しく争う、トヨタと世界の自動車企業との競争があります。
いわゆる「固定費」が下がり、通常の生産でも利益率が上がると、不況の時に強い体質が生まれます。トヨタが生き残り、日産自動車が倒産したメカニズムです。リーマンショックの時、赤字転落したトヨタが社運をかけて「カイゼン」に乗り出している内容です。
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勘違いが多いのは「共通部品」につい
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