「新型マツダ3(アクセラ)」の商品力とは? 圧縮比がスゴイ!未来型「SKYACTIV-X エンジン」はすばらしいが…?【動画あり】

マツダ

マツダは、ロサンゼルスモーターショーで新型「マツダ3(日本名:アクセラ)」を世界初公開した。その「マツダ3」に載っているエンジンが、社運をかけた開発計画の中心的テーマ「Well to Wheel」「ウェル・ツー・ホイール」(燃料採掘から走行まで)を実現しようとする、「SKYACTIV-X エンジン(スカイアクティブX)」だ。長い開発期間(おそらく20年以上)をかけて、やっと実現できたエンジンなのだ!



マツダ「スカイアクティブX」エンジンの性能

出典:マツダ公式サイトプレスリリース(2019東京オートサロン展示車両新型「Mazda3 CUSTOM STYLE」(北米仕様車))

 

「スカイアクティブX」エンジンは、燃費が現行ガソリンエンジンに比べて最大20〜30%程度向上している、環境性能のいいエンジンだ。

トルクは、全域10%以上最大30%向上。簡単に言うと、2.0Lガソリンエンジンのスポーツカー(ロードスター)並の走行性能を、1.5 Lディーゼルエンジンのコンパクトカー(デミオ)と同等のCO2排出量で実現できる”

参考:マツダ公式サイト http://www.mazda.com/ja/csr/special/2017_01/

出典:マツダ公式サイト「SKYACTIV-X」エンジン

「SKYACTIV-X」(スカイアクティブX)エンジンは、米国ニューヨークで開催された「2018 Edison Award」の表彰式において、「Engine Enhancements(エンジンエンハンスメント)部門」の金賞を受賞しています。

 

 

驚くべき圧縮比「16:1」を実現!

「スカイアクティブX」エンジンで特筆すべきは、『圧縮比16:1』である。ディーゼルエンジンSKYACTIV-Gの「14:1」を凌ぐ高圧縮比だ。これで「希燃焼」を実現しているのは分かる。また、通常のスパークプラグの火炎が、燃焼室全体に広がって爆発が起きるシステムとは違うことが推察できる。

↓↓↓自動車の性能スペック「圧縮比」について知らない方はこちらをどうぞ!

なぜなら、ガソリンエンジンではこれほどの高圧縮比であると、「ノッキング」などを起こしてしまい、最悪エンジンを破壊してしまう恐れがあるからだ。

最近では、「ノッキング」を知らない人も多くなったことだろう。急坂などに差し掛かり、アクセルをふかしてもエンジンが高負荷に耐えられず「カリカリ」と音を立て、なかなか吹き上がらない時がある。そんなときの「カリカリ」とのエンジンの音がノッキングを起こしている時の音だ。つまり、ピストンが「上死点(最上位置)」に来る前に燃焼が起きてしまい、ピストンの動きを逆にたたきつけてしまっている状態だ。

しかし、「スカイアクティブX」エンジンはそれを克服して、高出力化を果たしている!!

 

SKYACTIV-X のSPCCI(Spark Plug Controlled Compression Ignition)

「SKYACTIV-X」エンジンを実現するのに、高負荷状態では燃焼タイミングが揃わないことがネックだった。そこで用いられたのが、基本はディーゼルエンジンのように圧縮だけで自然発火する方式PCCI (Premixed Charge Compression Ignition)「予混合圧縮着火」だが、爆発時期を選べるように制御するため、通常のガソリンエンジンと同じSI (Spark Ignition) 「火花点火」を組み合わせたのだ。マツダは、これを、SPCCI(Spark Plug Controlled Compression Ignition)と呼んでいる。

↓↓↓こちらは、マツダ次世代エンジン「スカイアクティブX」の動画。ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの特徴を合わせ持つマツダの新しい概念を説明。ドラマティックな音楽と共にどうぞ!

出典:マツダ公式サイトSPCCI (SPark Controlled Compression Ignition)火花点火制御圧縮着火 

 

これは、マツダが「エアピストン」と呼んでいる方式だ。爆発が起きようとしている寸前でプラグに点火し、その火炎が広がろうとすると膨張するので、燃焼室全体がさらに圧縮される。すると、火炎が広がるまえに燃焼室のいたるところで爆発が起きて、火炎が広がる従来の燃焼よりも希薄な混合気でもよく燃える。これで、点火時期のコントロールによってディーゼルエンジンのPCCI燃焼は成立する。

 

これで、現状の結果でも20~30%の燃費向上と、10~30%のトルク向上が果たせている。実際に、「CX-5」のガソリンエンジンSKYACTIV-G2.5・188ps(138kW)/6000rpm・250Nm/4000rpmと同程度の性能を、SKYACTIV-Xは達成している。(2.0ℓ直4スーパーチャージャーSPCCIエンジン)・190ps(140kW)・230Nm)。

 

マツダ次世代エンジン「SKYACTIV-X」の商品力

上記のように、SKYACTIV-Xはエンジンの熱効率については画期的技術開発だ。

しかしながら、実際のユーザーが商品に魅力を感じるのは「燃費向上」だけだ。「小さな排気量でも、力は実用的で燃費が良い」と評価するわけだ。それに、これはSKYACTIV-Xでなくとも、軽量化などでも実現できることなので決定的商品力とはならない

そのためマツダは、「マツダ3」についても、デザインや装備品など「ごく一般的自動車」としての魅力を作ることに努力している。

 

「理念」には大いに賛同だが…

マツダは、「Well to Wheel」「ウェル・ツー・ホイール」(燃料採掘から走行まで)を掲げて、地球温暖化対策の実を挙げようと努力しているつまり、車両(ホイール)だけの燃費だけでCO2削減をかんがえるのでなく、燃料採掘から車両の実走行までの効率を考えなければ本当のCO2削減にはならないということ。EVとガソリン車の燃費の比較だけを考えてCO2削減になっていると思ったら大間違い。EVだって石油の発電から造られた車両であればCO2削減にならず、クリーンな発電によるものでなければ本当のCO2削減にはつながらいのだ。

出典:マツダ公式サイト「ウェル・ツー・ホイール」概念図

 

マツダの主張はまことに「正論」だが、コストが上がっているだけで、商品力の決定打までにはなっていない。それは、マツダの利益率が3%程度にとどまっており、スバルの9%(不正問題で6%程度まで下がっていると言われているが)などには遠く及ばないことからわかる。

 

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また、マツダは、生産方式についても、サプライヤーチェーン構築も1歩進んだシステムを構築している。(スイング生産など)しかし、マツダの利益率は低迷している。経営的見通しをマツダは語らないと、マツダの経営方針に株主の賛同が得られない。

マツダの進める方策は「正論」であるだけに、「SKYACTIV-X」の性能向上と共に、ぜひ業績に結び付けてほしいものだ。

↓↓↓インスタグラムにはすでに、北米仕様車の「Mazda3 CUSTOM STYLE」が投稿されていた!!

 

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