「マネージメント技術」はすべて軍事技術から生まれた~ワクチン接種のオペレーションもその実践!

日記
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マネジメント技術と言えば、社会で仕事をこなして成果を出していこうとするとき必要な技術です。経営者はもちろんサラリーマンであってもです。ゴルフでも、コースマネジメントが本来は必要です。実は、そのマネジメント技術、すべて軍事技術から生まれたものなのです。



2021年6月現在、新型コロナウイルスによる世界的パンデミックの中に日本社会は置かれ、オリンピック・パラリンピック開催に向けて突き進んでいます。その中で、新型コロナウイルスのワクチン接種が始まり、ようやく全国一斉に動き始めています。

それを見ていると、皆さんは「オペレーションを知っているのであろうか?」と危機感を感じるほどですが、それでもオリンピック開催に向けて、ただがむしゃらな政府の姿勢が見て取れます。

「オペレーション技術」、それはマネジメント技術の1つですが、そのような「管理技術」の存在すら認識できていないのが、行政組織なのです。各地で予約がスムーズに取れないとか、実際のワクチン接種では原液を希釈せずに打ってしまう、同じ日に2回打ってしまう、生理食塩水を打ってしまうなどのミスが続出しています。

「管理技術」「OR(オペレーションズリサーチ)」などの言葉は知っているけれど、その実態を認識できていない人が専門家と称する人たちの中にも多くいると見受けられます。

つまり、日常業務を進めるにあたって、「常に効率のより良い方法を探していく」姿勢が理解できていないからでしょう。でも、世界一ともいえるトヨタという企業は、その基本である「カイゼン」作業が日常的に行われているのです。

↓↓↓ワクチン接種でも「トヨタ生産方式」が役に立っている。ニュースでは「ムダのない」こと(効率)ばかりがクローズアップされているが、間違いをなくす「品質保証」の考えも取り入れられている。これが「日本製品の品質の良さ」を作っている。


※トヨタ生産方式は、2020年医療用ガウンが足りなかった時も活躍しています。【オドロキ!】トヨタが支援する医療ガウン生産!1日500枚がなんと6000枚に!これってPCR検査に応用できないの?【動画あり】

 

「マネージメント技術」は、すべて軍事技術から生まれた

実は、社会で使われているマネージメント技術に限らず、あらゆる技術は軍事技術から生まれたと言えるのです。

軍事技術で先行し、民間に広まっています。応用技術の広がりが大きいけれども、身の回りにある技術のすべてが「起源は軍事技術」と考えてよいのです。

例えば、今一番身近なものであるパソコンやインターネットもそうです。コンピュータの起源は、第2次大戦勃発前の暗号解析(エニグマは有名)や戦時中のミサイルの弾道計算から始まったと言われています。インターネットは、米ソ冷戦時代の核ミサイル攻撃のシミュレーションのために開発が始まったそうです。パソコンや家電の中に当たり前に入っているIC(集積回路)も、核弾頭の先端に収めるための小型化から始まっているのです。インターネットの高速通信に必要な光ファイバーケーブルも、核攻撃による電磁パルスでも破壊されないよう開発されました。

スマホ、つまり携帯電話も軍事用無線機の技術を応用したものですし、今ではスマホにも当たり前に内蔵されるデジカメのCCDカメラもスパイ衛星に積むためです。GPS機能だって軍事利用が最初です。

テレビゲームも、原爆開発の途中にできた副産物。

電気系だけでなく、腕時計トレンチコートだってそうなのです。

料理に使うことが当たり前になった電子レンジもそうです。

人間も動物です。「縄張りを確保して、子供を守り育て次の時代をつくる」動きが基本です。そのために、戦闘用武器の開発が最優先となります。人間の歴史の中で、武器で一歩先を行った民族は生き延びているのです。

コロンブスがアメリカ大陸を発見し、ヨーロッパ人が先住民族を駆逐して自分たちの国としていった過程では、鉄の文化のもと武器を作っていた白人が圧倒的に優勢で、先住民族を、虐殺を含め一掃してしまいました。また、ヨーロッパの民族がアフリカに進出して、原住民を捕縛して奴隷としてアメリカ大陸まで連れてきてしまった歴史は、武器で先行すれば他民族を支配できることを表しています。だから、人間は何よりも優先して武器を開発するのです。

 

バトル・オブ・ブリテンで「OR(オペレーションズリサーチ)」技術は確立した

マネジメント技術の1つであるオペレーション技術においても、同様に戦争時、最も効率的に戦力を運用しようと考えたことから、技術が確立されてきました。

「バトル・オブ・ブリテン」とは、第2次大戦時、ドイツがイギリスに攻め込もうとしたとき、ドーバー海峡を挟んで、航空消耗戦を戦った頃の戦闘を指しています。

現代戦では航空機の攻撃が陸上戦の主導権を握ることから、「制空権」つまり「空を自由に飛ぶことが出来る力」を得ることが先決事項となっています。

(それにもかかわらず、ベトナム戦争では、圧倒的制空権を持つアメリカ軍が地上戦で敗れ去っしまった。この事実は、「ゲリラ戦」が「人民の海」に隠れたゲリラを掃討する闘いで難しいと見ることが出来ます。それは、ベトナム戦争時の米軍の制空権は「民衆の支持のない制空権」となるわけで、これは別の機会にします。)

さて、バトル・オブ・ブリテンでは、レーダー技術で先行していたイギリス軍が、機数などで劣勢に立つ中、効率よく運用することに努めていました。現代の防空システムの始まりです。レーダーで敵機を捉えたら一早く要撃機を発進させ、有利な位置に誘導し攻撃をかける。こうした「オペレーション技術」を確立していったのです。

その後、ヒトラーが軍事基地攻撃よりもロンドン市内の爆撃に主力を移してしまうなどのオペレーションミスもあり、イギリスは戦況を逆転することに成功しています。日米大戦においては、沖縄戦での対特攻作戦やB-29の爆撃命中率の計算にもOR(オペレーションズリサーチ)は応用されていました。

↓↓↓こちらは、大戦中の英首相チャーチルが主人公の映画「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」。アカデミー賞を獲っています。バトル・オブ・ブリテンを含む歴史を勉強するにもよい教材。主演のゲイリー・オールドマンもいいですね。

つまり、オペレーション技術を応用できている国が、結果的に戦争に勝っていくのです。

その他、ORの技術は多くの場面で広く適合することが出来るため、民間のビジネスの場でしきりに使われることになります。

例えば、「費用対効果」「待ち行列理論」などは日常的に使われていますね。

↓↓↓こちらは、旧日本軍の失敗についてのメカニズムが読み取れる良書。「あまりにも帝国陸海軍は命を軽んじた」「上位組織と下位組織や横の連携が有機的にできない」などの口コミがあります。昔も今も変わらないのでしょうか?同じ間違いを繰り返してほしくないものです。

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↓↓↓こちらは、いかにも東大卒の著者といった趣で、応用という部分では突っ込み不足の感もありますが、個々の軍事技術という点では勉強になる本。

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現代のOR実践事例「ワクチン接種オペレーション」

OR技術は、現在のワクチン接種のオペレーションにも大いに役立つ技術で、政府、行政が専門家を使用すべきことと感じます。

しかし、官僚・地方行政組織、また裁判所などの司法組織、国会など立法組織運用に関わる政治家など、このオペレーション技術に疎いことは明白で、今は「素人」同然のワクチン接種オペレーションが続いています。

例えば、ワクチン接種の予約についてみてみましょう。

「予約制」のため、接種希望者はだれでも1回は電話、ネット接続、行列などの行動を起こさねばなりません。しかも1回の行動で終わることはなく、ほとんどの国民が数回の行動を余儀なくされています。電話は満杯で1回でつながることはなく、ネットでもパンクしているところもあります。かかりつけ医の予約には行列しています。大いなるムダですね。戦争であれば、出鼻をくじかれ負けです。

それも、個別接種と集団接種を二重に行き来せねばならないのが現状です。

これを、いくつかの自治体では、接種場所・接種期日をあらかじめ行政側で割り振り、変更する人だけ連絡を入れるとした、賢いところがあります。予約方式だと接種希望人口の数倍のアクションが起きるところを、この方法だと数分の一、あるいは数パーセント、あるいは0.数パーセントと言ったように、おおよそ1/100程度に国民のアクションを削減できます。OR技術を知っているのであれば、このように何らかの方策を講じてこの方向にもっていく努力をすべきです。

ワクチン接種の予約だけでも、壮大なムダが全国で起きているのです。人によって予約が出来るまで9千円ほどの通信費を使った人もいます。行政が、0570の有料のナビダイヤルを使用したからです。これでは、通信会社が余計な通信費を稼ぐこととなり、ほとんど「火事場泥棒」のようなビジネスモデルです。

せめて、行政機関に少しでもOR技術を知ったものがいれば、こんなひどいことにならなかったでしょう。

 

そしてこれから、いよいよ経済実戦世代のワクチン接種が始まります。接種オペレーションの本番です!

これまでの高齢者への接種における問題点を教訓として、「カイゼン」されていくのか見ていくことにしましょう。日本国のオペレーション技術の実力が試される時です。それはすなわち、経済活動の実力が見えてくることと同じです。

 

まず、「ワクチン接種券」配布のオペレーションから考え直すことでしょう。

高齢者への接種券までのオペレーションで見ると、「紙ベース」で考えているとしか言えない方法で、とてもデジタル技術を利用する基礎があるとは言えません。それは、データベースになっていないからです。

接種実績入力システムも、接種システムとは別に政府に対する報告となっているため、別途打ち込み業務が必要となっているようです。接種業務を記録するのが「紙ベースシステム」ですので、この統合が必要でした。このように、行政に全くデジタル化の基礎がないので、デジタル技術利用は進まないでしょう。

このような有様では、日本国行政が「効率化」を目指す基本的姿勢がなく、「デジタル化行政改革」は進みません。とんでもなく日本全国全体が効率の悪いシステムとなっているのです。改めて「デジタル化」に必要なシステム設計を学ぶ必要があるのです。

それには、まず「オペレーション技術」が世の中にはあり、より効率を上げるためにその技術を磨かねばならないことを知るべきです。残念ながら「ひどい遅れ」を感じています。いや「絶望感」です。

日本は、いつまで「従順な国民性」に頼るのでしょうか? 行政の半世紀に渡る立ち遅れのため、その問題点を背負って高齢者、それも立っているのがやっとの方たちが待ち行列を作る様は見たくはありませんでした。

 

マイナンバーカードの発想、すでに半世紀前に提唱されていた

半世紀前、コンピュータが本格的に使われ始めたころ、当然に行政の業務はデータベース化するべきとすでに提唱されていました。

それを提唱していたのが旧松下通信の部長時代の唐津一氏(システム工学者。東海大学名誉教授)で、テレビにも出演して訴えていました。

↓↓↓こちらはその唐津一先生の著書の1つ。「日本は製造業をまじめにやれ!」「マスコミは製造業を叩くな!」という本です。そういえば、最近トヨタの章男社長も怒ってました。「電気自動車と電動車の差も知らず、ひとからげにして日本は遅れていると言うな‼」と。電動車つまりHVの技術にはちゃんとEVの高度技術も含まれてるのですから。

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当時はまだ、国家による国民の統制に反対する空気が強かったため、「国民総背番号制」と揶揄されていましたが、つまりはマイナンバー制度のことです。しかし、行政の業務の効率化を叫ぶほど、民間企業でも世界でもデジタル化が進んでいなかったので、真剣に受け止められなかったのもあるでしょう。

唐津一氏は、「系統信号」(系統制御. 連続して設置されている信号機を互いに関連つけて制御させ、車をスムーズに走行させる方法)を銀座に取り付けた人でもあり、「渋滞」についての考え方はユニークでした。

また、東京の区役所のシステム設計を手掛けていて、行政システムのポイントについて「役所の窓口の種類は一つ」と提唱していました。つまり、国民が行政の窓口に出向く時、「どの窓口に行くべきか?」と行政側が国民に考えさせてはいけないと言うのです。国民が役所に行ったら窓口は1つであり、「行政側が都度必要な部署の担当者が出るべき」と言うのです。デジタル化が出来れば可能になる、そうなるようにシステム設計をするべきと私は教わったのです。

さらに唐津氏は、こうした「システム設計で難しい統計計算を必要とすることは95%ない」、つまり「世の中の問題解決は四則計算程度で95%解決できる」と言っていました。確かに、この半世紀の私の経験においても、オペレーションの問題で四則計算以上の計算を要求されることはありませんでした。

マイナンバーカードの発想を「半世紀もの間、無視し続けてきた行政」のおかげで、現在、パンデミックに対応するため国民の負担が大幅に増えているのです。日本人の従順な国民性を活かせない、行政のムダを認識しなければなりません。

 

ワクチン接種のオペレーションにおいても四則演算以上の計算は必要ない

現在、日本社会で起きているワクチン接種のオペレーションにおいても四則演算以上の計算は必要とされていません。さらに言えば「PCR検査をやたらにしてはいけない」と主張する人たちは、詳細な論理を展開しましたが、全く無意味で「目くらまし」のために唱えている状態でした。

「PCR検査」を出来るだけ拡大して「陽性者を発見隔離」「10日ほど療養」とすることで、どれだけの犠牲者を防げたことかはかり知れません。

↓↓↓こちらは、2021年6月8日警察庁発表の統計データ。今年1月から5月21日にかけて、全国で122人が自宅あるいは宿泊施設で死亡。きちんとオペレーションできていれば、死なずに済んだのでは?戦時中にできたオペレーション技術は、今でこそ応用すべき!


日本国民全体がオペレーション技術を基礎的に知っていれば、世界で採用しているワクチン・特効薬がない時の防疫の切り札として、PCR検査を筆頭とした施策を行うことが出来たでありましょう。↓↓↓2020年6月にはすでに論文が掲載されていました。

研究者らは、週1回のサーベイランス検査と症例隔離を組み合わせれば、その検査の感度がqPCRより低くてもアウトブレイクを阻止できることを見いだした。これに対して、14日に1回ずつしかサーベイランス検査を行わない場合は、検査を全く行わない場合とほとんど同じ程度まで感染者の総数が増加してしまう恐れがある。

引用:アウトブレイクの阻止には、検査感度よりも検査頻度が重要(natureダイジェスト)

こうして「国民の犠牲を少しでも減らしたい」と願うのであれば、行政がオペレーションの原則を無視することは犯罪に等しいでしょう。

パンデミックの中で、オリンピック・パラリンピックのようなイベントを実施することは「戦場でピクニックする」のと同じです。いまは「最悪の事態を想定して」行動すべき時で、危険を増大するような行動をするべきではないのです。たとえオリンピックが成功する見通しが高くても、それは、国民の命を預かる「リーダーが取るべき姿勢ではない」ことは明白です。