『JTB・旅行に関する意識調査』~やりたいのは国内旅行、でも再開するのはワクチンで効果が出てから~新型コロナの影響

新型コロナウイルス

JTBとJTB総合研究所は、「新型コロナウイルス感染拡大による、暮らしや心の変化および旅行再開に向けての意識調査(2020)」の結果を共同でまとめて発表。この統計データからは、やはり国民の微妙な心理変化がみられる。事業をやっている方は、このアンケートを参考にして、なんとか購買動機を見つけていくしかない。



JTBの調査対象は、全国15~79歳の男女

4月27~29日に全国に居住する15~79歳の男女述べ2万人を対象に実施したようだ。

感染拡大から現在まで(2020年2月~5月)の旅行に対する意識の変化と年内の旅行について毎月の定点調査の結果を発表していることから、市場の変化について推察できる。

 

外出自粛や渡航制限が解除になったらやりたいことは?

やりたいことの上位3つを合算した結果。

1年以内に旅行したことのある6割の人、ランキング上位
1位: 国内旅行に行く(53.3%)
2位: 外食
3位: 友人・知人に会う

一方、

1年以内に旅行したことのない4割の人、ランキング上位
1位: 外食
2位: 特にない
3位: 友人・知人に会う

となっており、旅行に関しては嗜好があるかないかでだいぶ違ってくる

でも、共通しているのは「外食」「友人知人に会う」である。万人に共通する欲求であるようだ。

また、旅行に嗜好のない人は、「デパートや店舗での買い物」が旅行に嗜好のある人より多くなっている

全体では、「離れて暮らす家族に会う」「パーティや飲み会などの集まり」「コンサートやライブ」などは20%以下になっており、やはり緊急事態宣言が解除されてもなお、大勢で集まることや、離れている親しい人に感染させることについて、依然自粛ムードが漂っているのかもしれない。

屋外でのスポーツ、キャンプ、登山などアウトドア活動、ジムでのトレーニングは10%以下になっている。これらの理由については、よく考えてみる必要がある。いずれにも共通するのは、運動して汗をかいた上に、不特定多数が使用するトイレ(管理者がいない場合は不衛生)の使用について不安を持っているのではないかと危惧する。事業者は、3密だけでなく、モノを介しての接触感染防止が大事だ。

糞便検体で持続期間が有意に長く、流行の予防と管理という点で糞便検体の管理を強化する必要性があることが明らかとなった

引用:ケアネット

 

いずれにしても、事業者は新型コロナに対する安心・安全を徹底することが重要で、その上で客足に対する工夫が必要となってくる。

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新型コロナ前と今を比較して、自分の考え方がどんな点で変化した?

「対面や直接のコミュニケーションは大切だ(29.8%)」が最も高く、若い年代の割合がより高い
「働く場所にはこだわらなくてよい(18.0%)」は、男性30代は27.9%、男性29才以下は26.5%
「自分の考え方に変化はない(29.9%)」は、上の年代かつ男性の方が高く、男性60才以上で39.4%

引用:観光経済新聞

この質問の中で特徴的なのは、

女性29才以下の人たちが、国内旅行、海外旅行ともに、「旅行に行きたい気持ちが高まった」が全体平均より10ポイント以上高くなっている。

対照的に、女性60才以上の人たちは、国内旅行、海外旅行ともに「外出自粛が長引き、旅行に対する関心が薄れた」が他より高い結果となっている。

これを見ると、29才以下の女性は自粛生活が長引いたせいで反動が起きているのではないか、60才以上の女性は自分の健康のこととの兼ね合いもあって不安を感じているのではないか歳のせいでいったん動かなくなると腰が重くなるのではないかなど推測できる。

こういった推測をもとに、事業者は、業種によってお客様の購買動機を後押しするような方策が必要になってくるのだろう。

 

どのような状況になったら旅行や外出を再開するか?

旅行を再開するきっかけは、

「治療薬やワクチンが完成し効果が出る(45.6%)」、
「全国の緊急事態宣言が解除になる(43.8%)」「周囲からとがめられなくなったら(26.8%)」
「自治体が来訪自粛要請をやめたら(23.0%)」

引用:観光経済新聞

というように、旅行や外出を再開させるきっかけは、コロナ前のように「自分がしたいから」ということではなく、外因が大きくなっている。

これが、新型コロナウイルス感染拡大のなせる業なのでしょう。

でも大事なのは、約半分の人が「治療薬やワクチンが完成し効果が出」てからでないと、安心して社会活動できないだろうと思っているということ。

はやいところ特効薬(治療薬)やワクチンができてくれることを願うばかりだ。

事業者としては、やはりそれまでを徹底して、頑張って、お客様に「安心・安全」をアピールし続けていくしかない。

※引用:JTB・JTB総合研究所「新型コロナウイルス感染拡大による、暮らしや心の変化および旅行再開に向けての意識調査(2020)」