【アコーディア・ゴルフがオリックスのゴルフ場(OGM)を買収!】日本最大のゴルフ場運営会社が誕生!でも、ゴルファーとして不安が…

アコーディア・ゴルフ

2018年11月、133コースを運営するアコーディア・ゴルフ(AG)を傘下に収めている投資会社(株)MBKP Golf Management(MBK)が、39コースを運営するオリックス・ゴルフ・マネジメント(株)(OGM)を買収すると発表がありました。日本最大のゴルフ場運営会社の誕生です。さて、いかなる狙いがあって、どの様なメリットが「MBKパートナー」「オリックス」双方にあるのでしょうか?



オリックス(株)は、100%出資子会社のOGM(オリックス・ゴルフ・マネジメント)をMBKパートナーズに譲渡し、MBKのゴルフ事業持株会社の株式持分約5%を逆に取得する方向で決着したようです。こうした意味は、情報がなく不明です。少なくとも、日本最大のゴルフ場運営会社として、これからはアコーディアゴルフのコースとして営業していくようです。

「OGM」と「AG」のコースの、予約サイトにおける評価の違い!

ゴルフ場予約サイトの口コミを調べてみると、OGM(オリックス・ゴルフ・マネジメント)のコースは、AG(アコーディアゴルフ)のコースと比較すると、全般に評判は良くメンテナンスも行き届いているようです。

口コミでは、OGMのゴルフ場はAGのコースのように待たされることも全般的に少なく、GDO予約サイトの方で評価も平均して良いようです。つまり、ゴルフ場としての品質が高いのです。

例えば、首都圏から近い千葉県のゴルフ場で比較してみましょう。(楽天GORA評価)OGMの「きみさらずゴルフリンクス」の評価は「4.3」、すぐお隣のAGの「アクアラインゴルフクラブ」の評価は「3.8」となっています。

 

アコーディアゴルフとオリックスのゴルフ場(OGM)の口コミ評価を、ガチで比較してみる!

 

「ZOZOチャンピオンシップ」が行われるAG「習志野カントリークラブ」の評価は下がり続けている

AGのコースは、2019年10月24日からアメリカPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」が開かれることになりました。しかし、開催コースに選ばれた”かつての名門コース”「習志野カントリークラブキング・クィーンコース」でも、GDOの評価では総合「4.0」、楽天GORAでも「4.1」が精いっぱい。

実は、その評価は徐々に下がり続けておりその理由にはAGの昔からの運営方針が見えています。↓下記記事を参照:2016年に当サイトが「習志野カントリークラブキング・クィーンコース」を調べた時と比較して、楽天GORAでは評価が「4.3」→「4.1」。GDOでも「4.3」→「4.0」に下がっています。

それと反対に、2016年当初から評価が高かったAG所属ではない「千葉夷隅ゴルフクラブ」は、現在、楽天GORAでは「4.3」→「4.6」に上がっています。GDOでは「4.7」→「4.6」でほぼ維持。これで、ゴルフ場品質に対して努力をしているかしないかが分かってきます。

※参考記事:【習志野カントリークラブ キング・クイーンコース】かつての名門

 

一方、OGMのコースのGDO予約サイトでの一般ユーザーの評価では、総合で軒並み「4.0」が続いており、時折「3.6」などのコースも存在していますが、最高では「4.7」との高評価もあって、おおよそ「4.2~4.4」のコースです。

こうしたOGMのゴルフコースは、プレーを待たされることは少ない。しかし、AGのコースでは、「トロフィア」とAGの中では最上級にランクされる「習志野カントリークラブキング・クィーンコース」でも待たされることがあるようです。バンカーなどのメンテナンスが悪いコースもAGには多くあり、今回のオリックスからAGへの事業譲渡により、ゴルファーとしてもOGMがAGのゴルフ場に準じてしまうのが心配…です

 

オリックス、アコーディアゴルフ(MBK)の合併のメリットとは?

OGM(オリックス・ゴルフ・マネジメント)のメリット

これからゴルフ人口の減少は避けられず、団塊の世代がゴルフリタイヤするピークが、2~3年でやってきます。

OGMのメンテナンス整備の良さ、プレーを待たされないなどの評判の良さは、そのまま経営の苦しさを表している(努力)と言えるのであり、一方、AGは利益を出すために(安易に)サービス低下をもたらしていると言えます。そのため、これからOGMのような良心的なゴルフ場運営では生き残れないことが考えられ、この辺で良い条件であれば売却してしまったほうが良いとの判断があるのでしょうか?

また、海外の観光客(インバウンド)を呼び込む施策や、逆に海外進出を狙うには、AGとの合併が有利に働きます。オリックスはゴルフ場運営会社ではなく、むしろ昔からファンド体質であり、資金運用の観点から、売れるときに売っておくほうが利口ということなのでしょう。

 

アコーディアゴルフ(MBK)のメリット

まず考えられるのは、「数のメリット」です。合併を狙う時、まず規模の大きさによるメリットを考えるのです。しかし、そうは簡単に数のメリットは出てきません。

最近、カルロス・ゴーンの逮捕で話題になっている「ルノー・日産・三菱アライアンス」でも、3社連合によって販売台数「1000万台クラブ」の仲間入りとはなったが、メリットを出す作業はこれからで、そのため合併を急ぐデメリットが背景にあるのです。

自動車産業はゴルフ場運営のように単純ではなく、「知識集約産業」と言われるくらいで、「製造(生産)技術のメリット」が出ないと合併は失敗してしまいます。『第4次産業革命』と言われる現在、「自動運転やEV」などの開発技術だけではどうにもならないのです。製造に手間取るテスラの苦戦を見れば明白なのですが、金融やソフト開発の分野の専門家には「製造」の仕組みが捉えられていません。

 

そこで、AG(MBK)側の合併のメリットを、どのように経営陣が読んでいるのかが問題です。MBKが買収する前の旧AG経営陣には、買収・合併での規模の拡大のメリットを正確に理解できている人を見かけませんでした。ゴルフ場運営会社の規模拡大のメリットを、単に「取り扱い資金の拡大」程度に捉えていたようです。それで、買収が進むほど派閥争いやスキャンダルを起こすなどして、規模拡大のメリットをいかすことが出来ていたとは到底評価できません。

当時、旧AG幹部が言っていたように、(ゴルフ場は全国に広がっているが)「AGはPGMより大都市圏に集中しているので有利なんだ」と言った単純な捉え方では、メリットを生かせません。

 

例えば:ゴルフ場メンテナンスの職人を地域で共通化することを考えてみましょう。

現在では、グリーン・キーパーを1コース専任で雇っておくことは少なくなってきたようで、掛け持ちでメンテナンスをしているようです。これを常態化するには、どのくらいの距離なら兼務できるのか?どのくらいのメンテナンスのレベルなら、どのくらいのコースを兼務できるのか?など、データ化しておく必要があります。

その上で、OGMのグリーンの整備レベルとAGのレベルと比較して、どれほどのコスト差があるのかも見極めなければなりません。大規模になればデータは豊富に取れます。しかし、データ化のできる人材を配さなければなりません。しかし、かつて(3年ほど前)のAGの経営者には全く管理データの概念はありませんでした。あるのは単純に利益の数字だけで、「減価償却」の意味も理解しておらず、メンテナンス費用の考え方は、行政の「水道事業」」のように「お小遣い帳」のようでした。複式簿記の概念が良く理解できてはいなかったのです。

 

経営者、中間管理職がこの知識レベルでは、規模の拡大のメリットを生かすことは不可能です。ゴルフ場運営ビジネスモデルにおいて、規模の拡大を活かすには、購買部門の合併だけでは弊害すら生まれてしまうでしょう。一流経営者と言われたカルロス・ゴーンでも良く理解できていないようです。

 

 

MBK、OGM両社のファンド体質

オリックスは、半世紀も前から「資金運用」の感覚が強い会社です。個人向け融資事業でも「危ない橋」を渡ることを躊躇していない社風です。また、経営者が村上ファンドへの出資者であったり、MBKパートナーズとの付き合いもかなりあるようですので、公表されない事情も多々あると考えておかねばなりません。

MBKも、AGに2017年1月25日、1,500憶円規模で投資しているので、そろそろ資金回収の時期となってきます。

例えば、MBKは2013年コメダ珈琲に出資してから、2016年には資金回収に動き始め、元金を回収して2017年には事実上撤収しています。これは見事な資金運用で、3年でコメダ珈琲の利益率を倍加し、投資は大成功でした。現在、MBKが、AGからどれほどの配当を受けているのかは分かりませんが、5年ほどで資金回収するのがファンドの鉄則で、そろそろ目途を求めているはずです。

コメダ珈琲店のシノノワール

 

本当の狙いは、「S-REIT」???

MBKパートナーズが考えているのは、その中での規模の拡大なので、さらに利益率を求めていかざるを得ないのが現実のはずです。

すると、OGMのコースの整備費用などの削減が心配となります。太平洋クラブが買収されようとしていた当時、太平洋クラブ会員が不安視していた内容です。(ゴルファーとしては、ゴールドマンサックス(GS)が買収を始めた時と同様、いいゴルフ場を失う可能性が出てくる!)

また、マネーゲームで考えると、これもAGの時と同様に、S-REIT(シンガポール証券取引所に上場している不動産投資信託)の活用も考えられます。株式上場ではなく、再び、コースの敷地を債権として売却して、資金回収をする方法があります。この方法が現実的で、OGMのコースも売却の対象とすれば、オリックスにも何らかのメリットを出す約束なのでしょう。すると、オリックス側が5%のMBK関連の株式を取得した理由も分かってきます。

どちらにしても、アコーディアゴルフの親分である、MBKパートナーズのマネーゲームの腕前を見せてもらうこととなるのでしょう。

しかしながら、こうした短期間のマネーゲームの範疇では、日本のゴルフ人口を増やしていく施策にはならず、ゴルフ界全体として長期的見通しを持てないのが現実です。

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