【アコーディア・ゴルフ所有と運営の分離(1)】星野リゾートとAG[1]

アコーディア・ゴルフ

星野リゾートは北海道トマムも売却、世界の流れは「所有と運営の分離」と星野リゾートの星野社長は語っています。すでに軽井沢の実家も売却して運営会社に特化していく戦略です。

所有と運営分離の理由

世界はファンドの活動が激しく、資金の運用を考えている「金持ち」は、「実務は行いたくないが投資はしたい」と考えています。昔ならば「不労の利益」と非難される考えですが、格差が広がり金持ちはより金持ちになる時代では、企業家はどちらかを選択しなければならないのでしょうか?

世界的ファンドの見る目は、「星野リゾートよりはヒルトンに運営を任せた方が良い」と考えるし、ゴールドマン・サックスには資金力で対抗しようがないと言えます。これは必然的に富の集中を招くシステムですが、現在の世界の資金はGDPの6倍が動いていると言います。星野リゾートとしても「選択の余地はない」と言える経営判断です。

アコーディア・ゴルフの所有と運営の分離

さて、この流れに乗ってかアコーディア・ゴルフ(AG)も「所有と運営を分離」しました。これはリゾート業界の世界的流れと同じと見てよいのでしょうか? もちろん経営陣は「このシステムのほうが良い」と社員に説明しています。また社員の多くは同意しているように見えます。組合も同調しているようです。

この「所有と運営の分離」の前提をよく見ておく必要があります。

星野リゾートの星野社長とは、私も直接話したこともありますし、社員の裏話も聞いています。その中で確実に言えることは「星野リゾートは運営ノウハウを持っている」と言うことです。施設買収に当たり、星野社長は「自分たちのノウハウで再生できる施設と、出来ない施設がある」と明確に述べていて、決して「買収屋」ではないことです。顧客満足度も良く、お客様にも支持されています。これが運営企業の最低限の条件です。

星野社長の判断の前提には、「星野リゾート拡大のスピードに必要な資金力でGSにはかなわず、運営会社として生き延びていくには、実家を所有・運営しているだけの星野リゾートには、依頼は来ない」との判断があり、前提条件として「事業拡大を進める」ということがあるのです。実家の星野リゾートを運営していくだけならば「所有と運営を分離する」必要は資金量から考えて、ないはずです。

星野リゾートは、後戻りの出来ない拡大路線に進んでいるとも言えます。

AGの実態は逆

AGのS-REITを使って資金を調達、自社株買いに至った経緯は、星野リゾートの「所有と運営の分離」とは根本的に違っていて、

「運営利益から所有者に純益のすべてを提供する」・・・・・・

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