【アコーディア・ゴルフ所有と運営の分離(2)】星野リゾートとAG[2]

日記

星野リゾートは北海道トマムも売却、世界の流れは「所有と運営の分離」と星野リゾートの星野社長は語っています。すでに軽井沢の実家も売却して運営会社に特化していく戦略です。

☚【アコーディア・ゴルフ所有と運営の分離(1)】星野リゾートとAG[2]

AGの実態は逆

AGのS-REITを使って資金を調達、自社株買いに至った経緯は、星野リゾートの「所有と運営の分離」とは根本的に違っていて、「運営利益から所有者に純益のすべてを提供する」結果となってしまっている事態なのです。星野リゾートは売却することで利益を得ていて、さらに資金の必要性が減り、これからの金利負担軽減に成功しているのであり、AGは売却することで含み資産を失い、将来に渡って配当金負担を背負っているのです。これは本来、投資家側が負担すべきものです。つまりトヨタのように、せっかく自己資本で回っていたのに、資金を奪われ、金利負担を背負わされた格好なのです。自社株買いは、もっと銀行借り入れの出来る範囲で、5年以内に回収できる規模にしておくべきでした。またS-REITで調達した資金はバランスよく新規事業に投資して、売り上げ・利益を拡大して配当金負担を吸収していく計画ならば良いのです。星野リゾートは事業拡大のための戦略なのです。

トヨタの場合

トヨタが莫大な投資を続けて規模を拡大し続けてきたわけですが、これは「資金力は十分」「運営力も十分」であれば、短期の出口を探しているファンドではマイナスです。5年ごとぐらいに所有者が変わることを前提にしなければならないのは安定しません。また村上ファンドのような資金では、株主からの過大な要求を迫られる危険があり、AGが今抱えているように規模から考えて、過大な配当負担など背負わされる危険があります。トヨタのようにビジネスモデルでの成功だけを考えていけるなら、所有者が変わるたびに、運営側に対する要求が変化するより安定するのは明確です。

せっかくAGのように130コース以上、所有して運営し、利益を出しているビジネスモデルで、分離しなければならない理由はないのです。不安定にしてしまったのは「敵対的買収の動き」でしたが、その対応策で含み資産を失い、将来に「年間純利益ほどの配当金負担を、毎年続けて背負ってしまった」のは判断ミスでしょう。

AGの目指すべき道

社員の立場から考えれば、今AGが目指さなければならないのは「ゴルフ場運営能力」です。これさえあれば、これからも所有と運営を分離されても「運営会社」として生き残っていけるということです。そのためには、現在の管理技術は稚拙すぎるのです。

星野リゾートは業界トップクラスのノウハウを開発してきました。AGは「業界最悪のスポンサー」と言われる状態です。これを脱して、買収者としても運営者としても、ノウハウを構築することに全力で臨むことが必要です。