東洋経済ONLINE http://toyokeizai.net/articles/-/169931
ゴルフ人気復活の鍵が「練習場」にあるワケ
国内ゴルフ人口は10年で3割減少
上記東洋経済の記事でも、ゴルフ人口減少に対する危機感と「練習場」の重要性を認めていますが、実は「練習場」の重要性に対する認識が、もっと根本的で戦略的なものであることを見逃しています。つまり積極的に市場を開拓していく場面では集客の戦略的立場にあると言うことです。その技術的な側面をさらに見てみましょう。
➡【ゴルフ事業の戦略(1)】ゴルフ市場を無視してきたゴルフ業界
ライフスタイルに働きかける
「ゴルフに関心のない人々の心の中に、どうしたらゴルフへの関心を目覚めさせらるか?」を考えると、この記事の初めに記した、「統計数字の解釈の姿勢」(→ゴルフ市場を無視してきたゴルフ業界)が問われるのです。
国民生活白書に現れている「余暇の過ごし方の7%弱がゴルフに関心を示している人々である」、「3大都市圏にあるゴルフ場が集客がある」などの数字の読み方では、市場(人々の心)に働きかける動きにはなりません。
そうじゃなくて、人々のライフスタイルをゴルフ場や練習場が知り、そのライフスタイルの中に取り込んでもらう必要があるのです。
すると例えば、車がない、余暇を過ごす予算が少ない、という一般的にデメリットと思われることがあったとしても、ライフスタイルに溶け込む要素があれば、優先して予算を回す動機が生まれてくるのです。
つまり、事業者側が人々のライフスタイルの中で優先順位を変えさせる働きかけをすることがポイントです。
人々の余暇の過ごし方、ライフスタイルは無意識な心の中にあります。だから、その動機を現す物理的尺度を探します。
「ゴルフの特性」について、改めて考えてみる
まず初めに、ゴルフの特性について考えます。
・すぐにラウンドできない(金銭的・地理的など)
・ゴルフに触れるには用具の用意にコストがかかる
・ゴルフ場に一人でぶらりと行ってみて、試してみることもできない
・初心者にとってかなりハードルが高い
などなどが挙げられますが、これにはゴルフ場側が段階を設けて、少しづつお客さんに上ってもらう段取りが必要です。
それで、物理的に近い位置にあるのが練習場です。ゴルフ場、ゴルフコースよりも人々の生活の場に近く、気軽に訪れてみるならコースよりも格段にたやすいのです。
しかしそれでも、ゴルフに関心のない人々といきなり触れ合うネタがありません。
そこで、「物販」も役割が出てきます。衣類の販売(つまり、スポーツウェア)などは、練習場と人々の生活のつなぎ役です。
関連記事:【ゴルフ場、倒産急増!】集客を増やすには、もう「アスレジャー」を活用するしかない!再生にはトレンドに乗る!
ゴルフ市場の中心に練習場があることを認識せよ
地理的に、戦略的地域に練習場はあることが分ったでしょうか?
そして、練習場がゴルフコースと一体であることを理解しなければなりません。まず、練習場という階段を一段上ってもらう必要があります。その上段に「ゴルフ場・ゴルフコース」があるのです。
ゴルフ場がネット予約、LINE予約を採用しても、それはすでにゴルフに親しんでいるゴルファーにとって便利ですが、関心のない人々とは触れ合うこともできないのです。
しかし、練習場の場合、人々の生活の場の中心にいます。これを利用する方策を考えないことは、集客しようとする立場からみて有り得ません。
関連記事:星野リゾート代表・星野佳路氏の提言「マイクロツーリズムの時代」~新型コロナの影響
ゴルフ人口を増やすために、ゴルフコースが練習場をシステムの根幹として捉えないこと、練習場がゴルフ場との連携を考えないこと、レッスンプロがゴルフ練習場、ゴルフコースとの連携を考えないこと、ゴルフコース、練習場がレッスンプロとの連携を考えないなど、言語道断です。
アコーディア・ゴルフにも多くのレッスンプロが所属しています。彼らとの連携を考えずにきたことは、ゴルフ場側の怠慢であり、レッスンプロがゴルフコース・練習場とのコラボを考えないことは、プロの資格はないと言い切っても良いでしょう。
ゴルフ市場の縮小を止め、再び拡大させるためには「連携」が絶対必要です。
『これまでさまざまな利害関係もあって、例えばポスター1枚作るにしても、なかなかまとまらなかったのがゴルフ業界の常だった。新型コロナへの危機感では一致しているのは確かだ。』#ゴルフ業界が新規客を集められないワケhttps://t.co/O4JvxKeTcr #東洋経済オンライン @Toyokeizaiより
— kenzo_ogata (@kenzo_ogata) June 23, 2020
大局的にゴルフ市場を眺めること
これまでゴルフ市場関係者は、バブル期の「売り手市場」の楽な思いを味わってきただけに、「構造不況業種」と考えられる現在、目先のファンドのやり方に追従しては、ビジネスモデルを壊してしまってきました。
その点に苦しんでいるのがアコーディア・ゴルフです。ファンドの視野は、あまりにも短絡的で狭いものです。
自らのビジネスモデルをよく理解して、縮小する市場の情勢を正面から受け止め、努力する必要があります。【次は→【ゴルフ事業の戦略(4)】PGA「ゴルファーライフスタイル調査」】
➡【アコーディア・ゴルフのMBKパートナーズによる買収について(1)】
➡【アコーディア・ゴルフのMBKパートナーズによる買収・実践編(1)】
→【知恵の輪サイト】で評価したアコーディア・ゴルフ系列のコース➡