【スバル・新型レヴォーグ試乗記】これは本物GT! 正確な情報を伝えるハンドリング、ハイレベル加工技術の新1.8Lエンジン!

スバル

スバルの新型レヴォーグの実際を確かめたくて試乗してみた。期待したのは「強大なトルク」でもなく「豪華内装」でもなかった。期待したのは「AWDのハンドリング」と「アイサイトX」であった。それは想像以上の「こだわり」を感じる出来栄えである。



2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤーは伊達じゃない!

2020年12月、スバル・新型レヴォーグが「日本カー・オブ・ザ・イヤー」に選出された時のことだ。

「意外」とは感じなかったが、実は少々の違和感が残った。しかし、試乗して実際に運転してみると、感覚的には「なるほど」と感じさせる出来栄えである。

インプレッサが2016年にカーオブザイヤーを受賞した時も操縦性に感動したが、さらに進歩しているのを感じる。

価格ドットコムでも、「人気・注目ランキング」3位。「満足度」も4以上を獲得している。

 

●インプレッサがカーオブザイヤーを受賞した時の記事↓↓↓
【インプレッサ・カーオブザイヤー(1)】威力あり!グローバルプラットフォーム
【新型スバル・インプレッサ試乗記(1)】別次元の挙動[1]

 

ドライバーズカーと言える、シャレた操縦性能!

クルマというものは「操縦性」があるレベルにないと、他の機能が優れていても高く評価することはできない。私が「デザインなんかは二の次」という理由だ。

それは、「操縦性」がクルマの基本性能であるからだ。

過不足のないバランスの取れたエンジントルク、応答性の良いハンドリングなど、100点満点である車はない。

だが、今回のスバル・新型レヴォーグは、かなり高レベルにまとまっているようだ。

 

まず、クルマは、サスペンションセッティングとの相乗効果で「ハンドリング」の味が決まってくるが、サスペンションセッティングの味は、ボディー剛性と非常に関係して出てくるのは道理である。

新型レヴォーグのスバルグローバルプラットフォーム(SGP)はさらに強化されているようで、ドライバーに不安を抱かせない

↓↓↓新型レヴォーグのカタログP55。【高剛性シャシー】の欄には「SPGの採用に合わせて、サスペンションも新設計」となっていて、カタログ通り!と思わせる。

 

ハンドルの切り始めの反応はというと、「クイック」の感触はない。「少々重い」と感じるぐらいだ。そこで、いつも私が試乗する時に試す方法だが、「ハンドルを2本の指でつまみ」中央線の白線に微妙に沿わせるように調整してみる。

すると、新型レヴォーグは、ドライバーの微妙な調整に素直に反応しておりハンドリングは見事なものだと思う。それでいて「少々重く」感じさせる。

エンジンパワーはさほどの大パワーではないのだが、十分なトルクが低回転機から出ていると感じさせる。カーブにさしかかってハンドルを切り始めてから、コーナーを抜けてアクセルを踏み込むとき、その加速の仕方から「上品」なしぐさと感じさせる動きがある。

「洒落ものだね!」と思わず評してしまったスムーズなハンドリングが感じられた

 

車線維持機能で安心なアイサイト-X

今回は普通の試乗なので、緊急ブレーキの性能テストはやはりできなかった。

でもこれは、運転支援装置の基本性能であるので、各ディーラーはユーザーが気軽にテストできる準備を整えるべきであると思っている。特に、スバルは2眼式カメラによる先駆者であり、最新式のアイサイト-Xも一歩先行した性能を有するのだから、もっとアピールすべき立場にいるのではないか。

 

今回試乗した時は、追従装置を試させてもらった。初期の追従装置では追従車間距離などに違和感が生じていた。だけど、アイサイト-Xになって試してみると、ごく自然に馴染めるようになっていた。

中央線を認識し車線を維持する機能では、正確にトレースする。自分の運転(手動時)で自分の感性でカーブをカットして走行するのと比較すると、違和感があるが、スピードを出していなければアイサイト-Xに任せておくほうが遥かに楽である。

 

ハイレベル加工技術の結晶、新1.8Lエンジン

スバル・新型レヴォーグの新エンジンは1.8Lにしてきている。

そして、このエンジンの特徴は、日本の精密な加工技術を駆使して全長が短くなったことだ。(詳しくは別記事で!

↓↓↓新型レヴォーグのカタログP25。「全方位で進化させた新世代BOXERエンジン」と書かれている通り、スバルの力を随所に結集させたいいエンジンのはず。

水平対向ボクサーエンジンレイアウトにこだわっているスバルなので、どうしてもフロントエンジンではオーバーハングが長くなってしまう。また縦置きであるので、これにトヨタ方式HVのトルクミックスミッションを付けると、居住スペースを圧縮することになる。

その弱点を回避しているのだろうと思われる。

その理由は…???

トヨタのHVミッションを積む準備?

将来、現在のボクサー配置の4気筒、6気筒エンジンにトヨタ方式HVトルクミックスミッションを積むのであれば、今回のようにエンジンの全長を縮めることには価値があるだろう。きっとそのために、極めて正確な加工技術を駆使しようとしているはずで、現場の加工技術者の努力が見て取れる。

 

CB18型新開発エンジンでは、言ったようにFB16型より全長40mmほど短くなっている。

これはロングストロークエンジン化が目標としても、とても大きな数値だ。建設機械の部品工場を経営していた私が見た限りでは、かなり難しい加工が必要であったろうと思う。ムリがあだとならなければ良いのだが…。

スバル車にも長年乗っているので、スバルのボクサーエンジンはさほど静かなエンジンではなかった。バランスが悪いのか、BMWのストレート4気筒のエンジンの方が滑らかに回る。FB16型はスムーズさでは、あまり褒められなかった。

今回、新型レヴォーグでCB18となって、感動するほどスムーズになったわけではないが、無用な振動は少なくなって、吹き上がりもスムーズになっている。エンジン車としては、CB18は大事な商品力であり、是非ともボクサー型式の良いところを発揮してもらいたい。

 

こだわりのワゴンスタイル

スバル・新型レヴォーグで気になることがある。

出典:スバル公式サイト

SUVスタイルが好まれる時代に、あえてワゴンとしたことの「こだわり」の理由は分からなかった。

多分、フォレスター、XVとSUVのラインナップが揃っているので、メーカーの車種構成からであろうと感じる。これは少々不満だが、営業政策からすれば当然と感じる。いまや、アウトバックでさえSUVもどきスタイルとなってしまっているのだから、当然にワゴンスタイルを選んでいくのであろう。

でも疑問もありつつも、ワゴンはSUVと比較すると、荷室の高さはなくても面積が広い特徴がある。荷物を積むとき、縦の体積よりも面積が広いと日常的には使いやすい特徴がある。車中泊を考えるときも、後席を倒すと長大になるのでベッドにもなり意外と使えるものだ。だから、新時代のGTをいつまでも提案するワゴンであってほしいのは私だけではないだろうと思う。

 

スバルよ、電動化に乗り遅れるな!

スバルは、なぜか国内ではトヨタ方式HVのパワーユニットを発売してこない。マイルドHVのユニットはあるのだが、目立った働きを感じさせないので、不評であるのだろうか? カタログ燃費性能でも、マイルドHVでは差を感じられない。

フォレスターとXVを1時間ずつ試乗させてもらったのだが、その時も、ガソリン車との明確な差を実感できなかった

それは、モーターのサポートが上手で自然に感じられるため、目立ったモーターのサポートを検知できないものと評価している。でも、「これはたしかに燃費が良くなった!」と実感できるほどの燃費の差もない。

スバルは資本提携してトヨタグループに入り、HVなどのシステムを使うことが出来るはずだ。また、アメリカではXV(米国名:クロストレック)のハイブリッド、PHEVを発売している。それなのに、日本市場に投入しないのは、販売台数が少なすぎるから見捨てているのだろうか?

電動化できていないこと!これが、新型レヴォーグの唯一の弱点であると感じている。

↓↓↓スバルXV(米国名:クロストレック)の」HV、PHEVは、アメリカで2021年に新型投入のニュース。

スバル・新型レヴォーグを試乗した結論

まず、ワゴンスタイルを好むものとしては、新型レヴォーグは理想的なGTワゴンであると感じる。

GTとは若い人には聞きなれない車用語なのかもしれないが、まさに、グランドツーリング、「長距離のドライブを快適にすることのできる動力性能と操縦性を持つ車」であると感じる。

↓↓↓新型レヴォーグのカタログP57。【多彩なシートアレンジ】のページを見ると、ゴルフバッグはもちろん、後席を倒せばロードバイク(自転車)まで積むことができる。

長距離の旅に出るにはワゴンは最適だから、レヴォーグには十分な荷物を積んで長旅に出かけたい。長距離ドライブには安心安全なアイサイト-Xの装備と、快適なクルージングを保証するCB18エンジン、ワインディングロードでは正確なハンドリングを見せるサスペンションセッティングなど、新型レヴォーグの「日本カー・オブ・ザ・イヤーは伊達じゃない」と感じさせる。

やはり、現在のベストカーの一台である。