【トヨタ・C-HR】TNGA第2弾「本物の資金効率」(2)

トヨタ・TNGA

トヨタ自動車のTNGA(Toyota New Global Architecture)に、プリウスに次ぐ適合車第2弾として、C-HRが発売になりました。TNGAについては大きな誤解が社会に蔓延しているようです。以下の記事についてもかなりの誤解があるようで、企業の「資金効率」についての知識として見てみたいと思います。画像出典:http://toyota.jp/c-hr/grade/g/?padid=ag341_from_chr_grade_grade_g_detail_thumb 



日経ものづくり(日本経済新聞 電子版)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO11725360W7A110C1000000/
設計・生産の効率2割向上 トヨタのクルマづくり改革
2017/2/15 6:30

 

改めてTNGAと銘打った理由

ここで、トヨタが改めてTNGAを行う理由についてです。

トヨタは「生産台数世界1位」を目指して展開してきたことで、世界のいたるところで生産販売するグローバル企業となっていました。そこで市場に合わせて車種も多種に及び、また各地に展開した生産拠点の意思疎通の問題もありました。

その時、リーマンショックによって赤字転落し、減産に追い込まれました。そして「致命的な弱点」を認識したのでしょう。

つまり、減産しても「固定費」が思う様に下がらず、そこで気が付いたのが車種ごとの生産体制のムダであったはずです。


そこでトヨタが進めなければならないと認めたのが、減産時に硬直化した生産方式の問題です。つまり、「遊休ライン」と「平準化」の問題です。

グローバル企業であるがゆえ、世界中の生産体制を結び付けた柔軟な生産方式によって、増減産に強く、効率が向上し、資金効率が上がる方策を見出さなければならなくなったのです。

これまでのように、車種ごと地域ごとの分割が行き過ぎた体制ではムダが発生していることは明白でした。リーマンショックのような緊急事態によって減産を余儀なくされたとき、ラインの遊休は人の時間が遊ぶことになり、コスト増加に結びついてしまいます。それまでの車種ごとの生産ラインは仕事量の平準化に問題を生み、総資金量の大幅な増大を招いていたはずです。

そこでトヨタは、世界規模で平準化を進めないとコスト増が自分の首を絞めると気付いたのでしょう。

また、これから本格的に「I o T]の時代に入ったとき、全世界規模での稼働率が問われるはずで、事前にそのシステムを構築しておくことの必要性を痛感したのでしょう。

その目指すところは、かなりきめ細やかな生産体制であり、世界中のどの工場においても、出来ることならあらゆる車種を生産できる体制が必要となり、どんな車種でも受注できる能力を備えることとなるのでしょう。

いまトヨタの「TNGA」は、最新の技術レベルの車を生産できる体制を目指すとともに、信じられないほど柔軟な生産体制を創造しようとしているはずです。

出典:http://toyota.jp/c-hr/performance/?padid=ag341_from_chr_navi_performance

日経ものづくり(日本経済新聞 電子版)

設計・生産の効率2割向上 トヨタのクルマづくり改革
出典:http://www.nikkei.com/article/DGXMZO11725360W7A110C1000000/

上記の記事を書いた記者は大変よくTNGAを取材し、学んだことが伝わってきますが、生産現場を知らないことで、どの時点の生産方式を基準にしてTNGAを見るべきかの基点を誤ったようです。➡【トヨタ・C-HR】TNGA第2弾「本物の資金効率」(3)➡