【プリウス・リーフなど電動車】実は低速域の事故がこわい!そのトルクとパワーの強さが人命をうばうかも?!

日記

「大津の園児死傷事故」や「市原の公園突入事故」など交通事故の話題が多い昨今ですね。日常的に運転するドライバーにとっても、慣れているからと言って、やはり油断できないことを痛感させられます。そこで、「最近のクルマの仕組みの特徴」が事故原因の1つであることを皆さんにお伝えしたいと思います。運転する時も頭の片隅においてもらえれば幸いです。



 

エンジン車と電動車の違い

以下のグラフを見てみると、エンジン車というのは、低回転時にはトルクが小さくて発進の出足が遅いのがわかります。実際に運転しても、アクセルを踏んでいるのになかなかスピードが上がらない感じがします。これがマニュアル車(MT)だったらなお大変で、エンストしてしまうこともしばしば。でも、高回転で回せるので最終的に最高速は高くできるのです。

逆に、プリウスのようなHV、またはリーフのようなEV、つまり電動車はモーターで動くので、出足からトルクが大きくパワーも出せるので、停止状態からアクセルを踏むと低速トルクが強く、ものすごい勢いで加速していきます。日産リーフ(純粋EV)などは、そのスポーツカーのような加速力を売り物にしているほどです。ユーザーからも「モーター駆動の気持ち良さ」は絶賛されているといいます。

つまり、HVやEVなどモーターで走る電動車は、エンジン車と比較して、瞬発力がスゴイのです。

↓↓↓こちらは、「日産・ノートeーPOWER」と2Lターボエンジン車の加速度と時間の関係を表したグラフです。これをみても、エンジン車の加速よりも、モーター車の方が、ダントツに加速度が高く速いことが分かります。

引用:日産ノート公式(走行性能)

これが、モーター車の踏み間違え事故の被害を大きくしている可能性は否定できません。

参考記事:「パワーとトルク」今さら聞けない基本の基本(東洋経済)

参考記事:日産の国内販売の救世主 “あり合わせ”のノートe-POWERがヒットした4つの理由」(SankeiBiz)

 

発進後の飛び込み事故は、電動車のほうが被害が大きい? 電動車の発進時のトルクの強さ

ここで、市原で起きた公園突入事故を振り返ってみましょう。

この事故では、トヨタ・プリウス(電動車)が障害物を乗り越え、園児が遊ぶ公園に飛び込みました。ちょうど道路の反対側にある駐車場で料金精算中に、急発進してしまったようです。

事故の第1要因はもちろん、アクセルとブレーキの踏み合間違いです。

でも、もう1つ、「電動車」であることを加味して考えてみます。

事故を起こしたプリウスは、道路を横切って、歩道と車道の20センチほどもある段差を容易に乗り上げ、公園にあった柵までもなぎ倒して砂場まで到達しています。乗り上げた段差は、駐車場の車止めよりも高いです。

しかも、料金精算中の停止時(時速0km)から低速域(20km程度)です。

すると、上のグラフから考えても、エンジン車だったら20センチの段差で止まるかもしれませんが、プリウスやノートなどの電動車であると容易に同じようなことが起こってしまう可能性が高いのです。

 

また、最近の自動車はタイヤの径が大きくなっています。プリウスでも17インチあるモデルもあります。なので、段差を乗り越えやすくなっているともいえます。

しかし、それでも低速で20センチもの段差を乗り越えられるのは、モーター駆動の低速トルクの強さと、FF(前輪駆動)であることに起因していることが考えられるのです。

上記グラフで示されている通り、モーターはエンジンと違い、駆動して1回転目から最大駆動力を示す特徴があります。純粋EVではないトヨタ・プリウスなどHV車の多くも、発進時にモーター駆動であることが多いので、踏み間違え事故には注意すべきです。

 

電動車のメリット・デメリットをよく把握しておこう!

トヨタ・プリウスや日産・ノート、リーフなど電動車の特性は、モーターがガソリンエンジンの低速トルクの弱さを補って、平坦路面でもラフロードでも、発進時や低速走行においての自由度が大きく乗りやすくなっています。そしてこれは、エンジン車にはない特性なのです。スバル・フォレスターなどのマイルドHVも同様です。

なので、ドライバーはHVやEVなど電動車の特徴を普段からよく理解しておくべきです。CO2を出さない電動車は人間の進歩の証であり歓迎すべきものですが、「長所は短所」とよく言われる通り、その特性が使い方によって良くも悪くも変身してしまうことを理解しておくべきでしょう。

また、ドライバーが理解したうえで運転に注意することと同時に、アクセルとブレーキを間違えたときの緊急ブレーキシステムの整備を急がなければなりません。

 

覚えておこう! 事故の多くは「低速域」で起こっている!

もう1つ、知っておいたほうが良いことがあります。

自動車の交通事故は「スピードの出しすぎ」で起こっているイメージを持っている方も多いかと思いますが、実は、「低速域」での事故が多いのです。

それは、警察庁の「平成29年中の交通事故の発生状況」の統計データを見ればわかります。

その中で、「危険認知速度別の状況」(免許保有者10万人当たり交通事故件数)を調べてみる(全件数543.5件)と、

時速10km以下での事故件数:212.8件(39.1%)

時速20km以下での事故件数:126.3件(23.2%)

時速30km以下での事故件数:71.3件(13.1%)

となっており、時速30kmまでの事故件数は、全体の76%にまでなっていることにびっくりなのです。いかに、低速域での交通事故が多いかわかってきます。

ドライバーとしては、低速域だから大丈夫だろう…といった油断があるのかもしれませんが、低速だからと言って交差点での安全確認を怠ったり、ノロノロ運転だからといってよそ見をするなど漫然運転しないように気を付けたいものです。

なので、市原の事故のように、クルマが停止しているからといって、料金支払いしているときは必ずパーキングに入れるよう心掛けましょう。