【ホンダ・ジェット出荷数で世界一】MRJはボーイングから国産機を取り戻す戦い(1)

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あれから30年の月日がたったようだ。ホンダのビジネスジェット開発計画を知ったとき「まさか!?」と感じたのだが、「ホンダだね」と納得もした。自動車メーカーが航空機部門を持つこと自体驚きだが、「エンジンを自社開発する」と聞いて「さすがに本田宗一郎」と信じられない気持ちだった。それは「無理だろう!」「失敗して本田宗一郎の名に傷がつく」と感じたりもした。「晩年の偉大な経営者が犯す過ち」とも感じた。(アイキャッチ画像引用:http://www.honda.co.jp/jet/gallery/)



しかし、宗一郎の育てた技術者魂は脈々と生き続けていた。小型ジェット部門(5.7t以下)で出荷機数1位となったようだ。NSXでもシビックでも納得がいかないが、「ホンダジェット」には納得させられた。もちろんまだまだこれからの課題もある。まず「ホンダジェット(HondaJet)」を眺めてみよう。

 

■ホンダジェットの空力、奇妙な?外観(1) 目立たぬ「層流翼」

ホンダジェットは、見ての通り、翼の上にパイロンを設けてエンジンを載せている。

キャビンを広くする工夫だそうだが、苦労もあっただろう。説明はあまりされていないが、翼の断面を見ると「層流翼」となっているそうだ。ホンダはこれを「自然層流翼」と呼んでいるようだが、何が「自然」なのかは分らない。

層流翼とは、ゼロ戦など多くの航空機で使われている「クラークY型」に比べると、抵抗が少なく、スピードが出て、燃費が良くなる翼断面だ。しかし、揚力が少なくなるので、ジェット戦闘機など高速を目指す場合に用いられるのが普通だ。それを小型機に用いたのは大したものだ。

■ホンダジェットの空力、奇妙な?外観(2) 目立つ主翼先端の返り

最近、旅客機の翼の先端が、反り返っているのにお気づきであろうか? 少し昔からジャンボ機にも採用されていたので実際に見た人も多いことだろう。あれは何だ?となるのだが、何より、先端を反らせるだけで燃費が4~7%ぐらい良くなると言う。ウイングレットと呼ばれている。ホンダジェットもそうなっている。

それは新しいこととは言えないので良いのだが、その一体加工が出来る工作機械が日本の技術でもあるのだ。

翼端のカーブを作るとき、強度がいるので、下手をすると翼が重くなって効果が相殺されてしまうことになりかねない。一体加工で軽くできるに越したことがないのだ。また必ずしもウイングレットにしなくても防げるのだ。

 

■ホンダジェットの空力、奇妙な?外観(3) 目立つエンジン配置

翼の上にエンジンパイロンを設けるのは冒険であったであろう。キャビンのスペース確保を最優先課題としたことで工夫したのであろう。エンジンを翼の下につるすのが一般的だ。あえて上にしたのは、重量のかさばる脚が短くて済むので軽量になる。それはホンダジェットにとっての最優先課題に即していた。しかし、パイロンの形を良く見ると、その苦労が窺える。

私は、戦後初の国産旅客機の設計製造メーカーに居たことがある。

その時、翼についたYS-11のエンジンナセルの形状の複雑さの話を聞いた。もう一つC-1と呼ぶ小型国産輸送機の設計もしていた。その設計主任に聞いたことだが、翼からつりさげされたエンジンポッドの形状に苦労したと話していた。確かに微妙にくねっている。ホンダ・ジェットのパイロン・エンジンポッドも微妙な形状だ。風洞実験を繰り返しながら空気抵抗を最小にする形状を探したのであろう。胴体との干渉があり微妙な曲線となったのであろう。

 

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あれほどパイロンが高いのは、よく見れば「リアジェット」(胴体尾部にエンジンを積んだ形式)と同じ推力軸に合わせているのだ。パイロンが高いと重量的に不利になり、良いことではない。利点は方向性が良くなるだけのことであろう。

また現在の段階では問題とならないが、「エンジン整備」のやりにくさを解決しておく必要があろう。小型ビジネスジェットなので特殊な作業車を用意することは避けなければならない。どのようなローカル空港で整備の必要が出るかわからないからだ。軍用機などでは、万が一の事態では木の枝を使って、エンジン交換が出来るようになっている機種もある。(ホンダオリジナル、ターボファンエンジンとは、びっくり仰天!

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