【労働者の団結権[2]】

アコーディア・ゴルフ

株式上場会社の配当金で年間10兆円を超えるのですが、ベースアップがほとんど行われていません。中小企業つまり日本国内の企業の95%と思われる企業の数字を統計に加えたら、果たしてベースダウンになるのではないのか?疑問に思います。その原因と思われるのが、労働組合の組織率です。はたして全労働者の何パーセントが組合に属しているのか、属している組合の内「御用組合」を除くと一体何パーセントの労働者が、株主と対等に話し合っているのであろうかと考えると、暗たんとしてしまいます。おそらくは、数パーセントでありましょう。これでは社会全体として「富の配分」が公平に行われるはずもありません。

企業の業績が好調でも実質給与が上がらないメカニズムでは、国内景気は上がるはずもありません。

国民全体で労働運動を、UAゼンセンのような労使協調路線を含めて、再考する時期でありましょう。労働者の権利は「団結」しなければ機能しません。このことを理解してない人が多く、「考えられないお人好し」労働者が増えているようです。

【労働者の団結権[1]】➡

 

階級闘争

階級闘争を認めてきたのは、世の中には歴然と「階級」が存在していることを示しており、それが「差別」となって「公平ではない」と認識されているからです。

実際に株主は企業に対して強大な力があります。アコーディア・ゴルフ(AG)の筆頭株主となった村上ファンドは「自社株買いを行わないのであれば、取締役を入れ替える」と圧力をかけていました。S-REITで含み資産を売却して、大きな配当負担を背負って資金を作り、自社株買いを行いました。その過程で手続きが逆転し、社員の移籍の承諾を得ることが遅くなりました。社員から訴えることがなかったため問題とはなりませんでしたが「不当労働行為」の要件が構成されています。いわんや「組織を分割して移籍などの場合、社員の事前の承諾を必要とするとは「思いもよらなかった」のが現経営陣です。社会常識の欠如を反省すべき立場です。

この時点で配当金負担をしてまで株主還元をするには多くの異論があるはずです。とくに生活の安定を願う社員の立場からは、不利益と思われる動きであるからです。また短期間の株式保有だけで莫大な利益を得る株主と、永年努力して保有してきた含み資産を掃き出し、さらにボーナス減額を受け入れた社員の立場は、どう見ても公平とは感じられません。

社会インフラとしての企業経営にあたる、経営者の社会的責任を自覚せねばなりません。

株主に対等に対抗できるのは労働組合だけ


株主と対等なのは労働組合だけです。もう少し正確に言うと、「団結した労働者」でしょうか。

取締役は基本的に株主の代理人と理解できます。労働者の雇い入れや解雇、人事などの業務上の権限は取締役にあります。しかし、労働者も条件付きですが、「業務権限以外」では対等の権利を保障されています。その条件を解釈すると「実質的に団結した労働者」には、株主と対等の力が保証されています。そうです、労働者の権利は「団結」しなければ、実質的に保証できないのです。もちろん「社員代表」を公明正大に決めて、話し合うことが法律にも記されていますが、団結していなければ実質的に無力です。

そして「株主が取締役を入れ替える」権限を持っているのですから、「自社株買い」に正面切って反対するには、社員個別では解雇されるのが現実です。そこで社員が団結して、ストライキも覚悟して団体交渉すると、社員全員を解雇するわけにもいかず、株主と対等の力を発揮できるのです。

この力関係が法律で保障されているのが現在の日本社会です。もっとも、今回の自社株買いの一連の動きが、自分たちに不利益なことであると認識できないレベルでは、何も始まりませんが・・・

【労働者の団結権[3]】➡