【日産元会長カルロス・ゴーン逮捕の真の原因】それはフランス・マクロン大統領にある!

日記

現在、有価証券報告書の虚偽記載に加えて会社法違反(特別背任)の罪で追起訴されている元日産会長カルロス・ゴーン。彼の逮捕劇は、日本側日産社員がルノーとの統合に反対しての「クーデター」とも言われている。たしかにゴーン元会長は、「企業の私物化」の点で日本人の常識では受け入れがたい。これが国際経営者の人材の姿であるのなら、二度と日本企業に招へいしてほしくない。



かつてなら「4万人のリストラをしながら20憶円の年報酬をもらう気にはなれない」というのが、日本人経営者の感覚だった。しかし、現代では「実務者」と「経営者」とを分ける考え方が欧米より流入し、株主(投資家)の立場で考える経営者がほとんどになった。それは同時に「投資効率」、つまり株の「配当」「値上がり」などを目的として企業経営がなされるようになったことを示している。しかし、本当にそれで産業が維持発展できるのであろうか?

 

ビジネスモデルとの乖離した金融知識

例1:大塚家具の株主たち

大塚家具が身売りの危機に瀕しているが、大塚久美子社長に経営を託したのが、ファンドを中心とする株主だった。それは見込み違いであったのだが、認めようとしない向きもある。だが、これは当初から指摘しておいたが、大塚久美子社長は「ビジネスモデル」を認識できていなことが見えていたのだ。

大塚家具ピンチ!「商売を知らない?」大塚久美子社長、成長ストーリーがない!(2018.4)

 

大塚家具のビジネスモデルの根幹は、「匠の家具」の販売ルートを切り開いていたことにあり、ニトリが取り扱ってきた量産品の販売ルートではなかった。名簿を持つ会員制の売り方も「匠の家具」を売るための手法だった。

それを、いきなりニトリと衝突するビジネスモデルに変更しても勝てるはずはないのだ。それは仕入れルートの違いであり、ニトリにも量産低価格製品市場を長年をかけて製造販売ルートを開拓してきている努力があるのだ。大塚家具も、「匠の高価格製品市場」を同じように製造販売ルートを開拓してきた。

「開かれた販売方法」と言ったあいまいなメカニズムで理解して、「お嬢様の趣味」のような店舗としても勝算は考えられなかったのは当然ともいえる。

↓↓↓結局、2018年末、中国大手(アリババ関連)の家具屋に買いたたかれることとなる。株式市場でも監視銘柄になっているらしい。

このように、自らのビジネスモデルを認識できていないことが明らかなのに、大塚久美子社長の実力を見抜けなかった投資家たちの見立てとは、いかなるものなのであろうか?? かなり稚拙な議論で経営者交代がなされたのは、あきれるところだ。

 

↓↓↓アマゾンでも書籍売上ランキングの上位にある本。いつまでも無関心でいると、危機は自分のすぐ近くまでやってくるかもしれないと思わせる本。「まさか自分に降りかかるとは??」と言わないために!

 

例2:アコーディアゴルフのGS(ゴールドマンサックス)に選ばれた経営者たち

大塚家具の例は、アコーディアゴルフ(AG)の経営方針について当初の経営陣が持っていた認識とよく似ている。

ゴルフ場運営というビジネスモデルであるのに、「買収屋」と言えるほどの単純な認識のマネーゲームの知識しか持ち合わせていないにもかかわらず、その自らの金融知識におぼれていた節が感じられた。これで、日本のゴルフ市場が縮小していくのを止められるはずもなく、現在も、目前にゴルフ市場全体としての危機を迎えている。やはり、金融知識からの短期間の経営ではどうしようもないありさまだ。

↓↓↓アコーディアも、結局2017年上場廃止となる。その直前からの裏舞台をよく知っているが、事実は闇の中。

この実際のビジネスモデルとの乖離は、アコーディア・ゴルフの旧経営陣だけでなく、ゴルフ業界全体の認識の乖離であると言える。未だにゴルファーに対して、ゴルフ業界関係者は「上から目線」で見ているのが分かる。自分達にとって「お客様」の立場にある一般ゴルファーに対して、商売の立場から無礼であることが認識できていないのだ。

 

ゴルフ業界の高慢体質の根深さが、ゴルフ市場の縮小を招いている

ある著名な企業の経営者がゴルフを始めたとき、「若造にあれこれ言われるのは面白くない」といってやめてしまったことがある。これは、レッスンプロが生徒に対して上から目線で接してしまうために起こる問題だった。

「先生なんだからゴルフが上手で当然なんだから」とレッスンプロに言うのだが、生徒に対して「自分はゴルフが上手なのだ」と「生徒を見下す態度」を改めない。さらに、「生徒と言っても、それぞれ違った分野でプロなのだから・・」と諭すのだが、あまりこれを言っているとレッスンプロとは付き合えないのだ。でもこのことは、生徒側も先生側もかなり稚拙な人生観を持つ時代になっている表れなのかもしれない。

私のような企業コンサルタントが、「自分の商品は、お客様の知らないノウハウを提供することだよ」と教えてみても、教わる側も「知らないことを教えられるのは嫌い!」と言ってしまう。それを、一人前の企業家と認識してしまっているのが現実の変な世の中なのだ。「料金をいただいているので商品を受け取ってください」と言っても、意味を介すこともせずに拒否してしまう企業家が多い。つまり、「意味のない突っ張り」が自己主張になっているのだ。「子供の喧嘩」と言えるのが日常なのだ。ゴルフのレッスンでは、少なくとも「見下した態度」を改めないと生徒はいなくなる。

 

まして、アコーディアゴルフの旧経営陣のように、一般ゴルファーを社会的立場でランク付けして上から目線でさげすむ姿勢では、上質の「分かったお客様」は逃げてしまう。

『ビジネスモデルは必ずお客様との関係性』なので、「ファンド感覚、ブランド意識」ではビジネスが長期で成り立つことはないだろう。

 

マクロンの強引な手法が日本側の反発を招いた

さて、本題に戻ろう。

フランスでは、大規模なデモが続いてきた。

↓↓↓デモの参加者は8万人を上回っている。「黄色いベスト運動」とも言われる。

マクロン大統領の「金持ち優遇政策」ともとれる政策が、国民の多くの反発を買ったようだ。もう一つは、彼が「エリートづら」していたことだった。

そのマクロン大統領が、カルロス・ゴーン日産元会長に望んだことは、”フランス国内の雇用を増やす”ために日産車の生産をフランス国内の工場に移すことだった。しかし、これはルノー・日産・三菱連合のアライアンス集団の利益に必ずしも一致していない。インドで生産したかった製品を強引にフランス工場に移し、マクロン大統領のご機嫌を取ったのがカルロス・ゴーンだった。

 

マクロン大統領の認識不足は、「所有株比率で日産自動車をどうにでも動かせる」ことにあった。(これも金融知識に偏った間違い)カルロス・ゴーンの独裁体制なら出来るはずであったのだろうが、マクロン大統領の「日本人の利害を調整しない高慢さ」がゴーン逮捕に至ったと見てもよいだろう。

「従業員は株主に従うもの」と無意識の常識が出来てきているが、少なくとも、日本側がクーデターに打って出る最後の動機付けは、合併に向かったことであった。

『会社は株主のもの』と言った割り切りが、「金融知識信奉者」にはある。

しかし、実際には企業を構成するのは社員などの人間だ。このまま市場経済、資本主義経済が続くと、「一部の金持ちと大多数の無用な人々」が出現してしまうと言う。

↓↓↓こちらは、現在一部の熱狂的なファンを持つユヴァル・ノア・ハラリ氏の「サピエンス全史」。すべてを合点するわけにはいかないが、現在世界が持つ矛盾をついている部分も散見できる。「特定の穀物を主食にして歴史を紡いだつもりが、実は穀物の奴婢として使役されていたのでは?」なんていうのは「人間疎外」の概念につながるところで、人間の「進歩」や「知」とはなんぞやと、改めて考えさせられる。

始末に負えないのが、『金持ちが、持たない人々をさげすんで差別し、生身の人間と認識できずに迫害する』ことだ。既に世界で起きているのだが、これでは「自由・平等」の原則の「民主主義」は消え去ってしまう。

 

マクロン大統領が性急に動かず、民間会社の実力のままに、現在、実力を持つ日産自動車の独自性を尊重して、ルノー・日産・三菱のアライアンスをカルロス・ゴーンに任せていたのなら、日本側の危機感は生まれなかったであろう。

 

オリンピック招致の問題いかんでは、日産の件の「仕返し」でなくとも、フランスとの外交問題となるやもしれない。

最近の韓国の国際法を無視した振る舞いと言い、世界は「自分だけ」の衝突となって行くのかもしれない。それこそがグローバル化、新資本主義の終わりになるのだろう。

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