【豊洲市場問題から学ぶ(6)】投資とマネーゲーム[1]

アコーディア・ゴルフ

築地市場を豊洲に移転しようと結局どのくらいの投資をしたのかは、関連周辺も合わせると6,000億円程度では収まらないのではと思いますが、中止を含めて検討するとなると、これまでの投資額は無駄となることもあり得ます。このような場合、投資をどのように捉えるのかを考えてみましょう。

マネーゲーム

「ハゲタカ・ファンド」などと呼ばれる投資家が行う、投資して5年以内の短期間でどれだけ回収できるのかを争うような資金運用を指しているのでしょう。株式投資でも短期間の株価上昇を狙って行うのと、長期間の配当をあてにした投資とは違ってきますね。でも投資とは相場の上昇を狙って行うものでしょうか?

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「なぜ、マネーゲーム」と呼ばれるのでしょう。実例で見てみると、アコーディア・ゴルフ(AG)やPGMなどゴルフ場の買収劇は、とても分かりやすいでしょう。

「破たんした」と言っても、保証金の償還が出来なくなったゴルフ場で、保証金を返済せずになかったこととして、営業方針を転換して、会員制を事実上なくしてパブリックとして、値段を安くします。予約サイトで募集するなどで、営業成績は向上してきます。整備費を節約し、さらに設備投資を凍結して、利益に計上し、決算内容を良くして、AGの場合は10年ですが、株式市場で高値で売りさばきました。

ゴルフ場買収の場合、一度に投資するのではなく、順次買収していきますので、10年であれば資金の金利負担は、一度に投資した場合の1/2の期間と見ることが出来ます。つまり5年です。

その間に、クラブハウスの、整備や建て替え、バンカー排水設備の整備凍結など必要な整備費や、設備投資をせずに利益を出して配当してきました。配当の基となる利益は、本来整備費などに投入されるべき費用で、これを配当原資としたことは、実質的に赤字を背負ったことです。これから順次投資していかねばなりません。

ビジネスモデル、つまり商売に必要な投資をせずに、本来、経費となる金額まで、配当や自社株買いをしてきたことになります。株主が行う、商売とは直接かかわりのない資金の動きで、利益を出そうとするので、本末転倒の意味合いも込めて「マネーゲーム」と言われるのです。そのおかげで、ビジネスモデルの企業が、実質借金を背負っていくのを、ファイナンスの専門家が分らないとでも言うのでしょうか?AGの場合は、さらに組織を分割されてしまい、意思決定が現場に即さないマネーゲームの世界でなされることとなりました。これは将来の最も懸念材料であることは、経営者なら常識でしょう。

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