【資金効率(4)】アセットライト[1]

アコーディア・ゴルフ

星野リゾート、アコーディア・ゴルフなど「資金効率の面」からアセットライト経営を目指す動きがあります。ファンド全盛の時代、企業が取り組まなければならない課題でもあります。

【本物の資金効率(1)】  【資金効率(1)】3つの業種[1]などでご紹介した資金効率を考えた「アセットライト経営」について、見ておきましょう。


トヨタ(製造業)のアセットライト

自動車を作り出したトヨタは、もちろん投資金額を抑えて、最大の収益を上げようと努力していました。そこで「下請け」制度を自然発生的に取ることとなりました。部品製造の工場を自己資本でなく株式を一部所有するだけで事実上、自社工場と同じように稼働させる仕組みです。これで部品製造工程に投下する必要性のあった土地、建物、機械などの資金を減らすことが出来ます。

ここで明確にしておかねばならないのは、ゴーン日産のグローバル発注との差です。「最も安いものを世界中から選んで買えばよい」と「全くサプライヤーに資本を投入しなければ資金効率は最高」と考えるのでしょう。しかしグローバル発注は不要な資金を必要とするのです。それは運搬にかかる在庫量・期間負担です。それをトヨタは多種少量生産方式で劇的に下げてきました。

例えば、タイヤをメーカーから購入するのですが、それを一台分4個づつラインに投入することは出来ていませんでした。タイヤはゴム製品でロット生産しなければならなかったためです。それを技術開発して一台分ずつラインのそばで製造することが出来るようにしました。これで中間在庫を減らすことが出来て、在庫に必要な土地建物運搬手段などを省いて、かなりの資産を不要としています。これが製造業の基本的なアセットライトのパターンです。

グローバル発注をしている場合、船便で輸送していると1台分ずつの納入は出来ないのでロット納入となります。すると倉庫スペースの土地、建物、搬送機器、人件費、管理手間など製品の単価以上の資金が必要となって、アセットライトとはいかなくなる影響もあります。どちらが効率的かは、部品の値段だけでは判別できないのです。さらに下請けでは「独自の生産技術の開発が工程間の断絶なく」考えられます。

さらにグローバル発注をしている場合と比較すると、独自の生産技術開発に有利に働きます。工程が連結していると大幅なコストダウンを実現する生産技術に気付くことがあります。これはかなり効果的で下請けあるいは、独占的サプライヤーでなければ実現できません。

製造業のアセットライトの実例

サービス業ではアセットライトと言っても施設そのものしか思い浮かばないようです。しかし、ゴルフのアセットライトもそれだけに限定する必要はないはずです

【資金効率(5)】アセットライト[2]➡

【市場を掘り起こすとは?(1)】ライフスタイルに提案[1]
【本物の資金効率(1)】
【資金効率(1)】3つの業種[1]
【市場を掘り起こすとは?(1)】ライフスタイルに提案[1]
【グローバル発注と系列】カルロス日産と章男トヨタの戦い[1]
【アコーディア・ゴルフのMBKパートナーズによる買収について(1)】
「東芝、横須賀の植物工場を12月末に閉鎖。レタスなどの生産・販売も終了」[1]
【ゴルフ場の立地条件(1)】たまに集客の達人!