【集客の達人No.44-2】立地条件の期待値が分かったら…それに合わせる努力なのか?期待値を上げる努力をするのか?

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前回の記事で、店舗のある立地条件に潜む住民の期待値があることが分かったと思います。もちろんそれは一律ではなく、その土地それぞれに様々な期待値が存在します。これは、私が店舗運営をして経験の上で培った理論で、マーケティングの教科書には出てこないかもしれません。しかし、私はこれで成功しました。次の段階では、その期待値を店舗側でどう扱い、集客につなげるかです。それには2つの方法があるのでお教えしましょう。



(どんな小さな店舗でも、店づくりとチラシ作りは重要です。ただ漫然とやるのではなく、実際に大きな売り上げを上げた実績をもとに、そのコツをお伝えしたいと思います。この記事は、すでにメールマガジンで発行したものに、現在の動向に合わせて加筆や画像を加えての再掲載です。)

お客様の期待値に合わせるのか? それとも期待値を高めるのか?

店舗がある土地、つまり立地条件の期待値が何であるのかが判ったなら、その期待値をどう扱うかが次の段階です。

それは、店側が

①お客様の期待値に合わせる努力

②お客様側の期待値を高める努力

の2つの方法です。

この選択には、オーナーさんの見極めが必要となってきます。立地条件をよく観察したうえで決定すれば、売り上げアップを成功させることができるでしょう。

前回の記事に挙げた駄菓子屋さんであれば、近隣のスーパーに集まってくるお客様の『期待値に合わせる』努力が必要でした。それは、「おしゃれな駄菓子」をコンセプトにして「②お客様の期待値を高める努力」をするより、そこにたくさん集まってくる『①お客様の期待値に合わせる努力』の方が売り上げを早く上げることが可能だったからです。

 

「購買意欲」を掻き立てるには、立地条件を把握する

前回も言いましたが、とにかく店舗オーナーは漫然とお店の実務をこなしていくだけではなく、自分の店のある立地条件について、よく観察し、把握することが必要なのです。

同じイタリアンレストランを出店するにも、立地条件によるお客様の期待値によって、購買意欲の掻き立て方が変化するのです。だから、全国展開するチェーン店であっても、一律の運営方法では成り立たない店舗が出てくるのは当たり前なのです。

 

平凡な住宅地にあるイタリアンレストランの場合(コンサル例)

都心から1時間ほど離れた住宅街にある、おしゃれなレストランの立地の見方です。

都心の企業に通うサラリーマンを中心とした平凡な住宅街にある、大変おしゃれなイタリア料理のレストランです。外装内装ともよくデザインされた統一性があり、料理も専門家が高く評価しているレストランでした。

しかし、夕食時は繁盛していたのですが、ランチタイムはいつも閑散としていました。 その店以外にイタリアレストランは近所には見あたらず、駅前に床面積の小さな店が一つあるだけでした。

この店の立地条件を調べていくと、1キロ以内の徒歩で来店可能な近距離であっても、また車での来店可能な中距離であっても、十分な住民の数がありました。商品である料理の値段の点でも標準的範囲にありました。

夕食と昼間の集客に差があることに着目すると、近所のファミリーレストランとの関係に気づくことになりました。 商圏にある昼間のファミリーレストランは、主婦層を中心に大変盛況なのです。

そこで、よく観察してみます。そのファミリーレストランで昼間過ごしている主婦たちは、子供連れであったり、グループであったりしますが、いずれも着飾った様子はなく、普段着で自宅の居間からそのまま出てきたようでありました。

その様子と、おしゃれな当該イタリアレストランはいかにも不釣り合いで、主婦層を中心とした「昼間のお客様の心構え(普段着)」と、「店のコンセプト(オシャレ)」は明らかにズレがあることが判明しました。

しかし、これが夜になって、「おいしい夕食を食べたい」との気持ちで出かける客層にとって、オシャレで美味しくてあまり高くない値段のイタリアレストランは、かなり魅力的なものとなっていたのです。それで、夕食時だけは繁盛していました。

このように、お客様の期待値がそのときの購買意欲となって現れてきます。立地条件を把握しようと努めると、いろんなことが分かってきます。

そこで、このイタリアンレストランでは、

「昼間の時間帯」についての対策で、

①店側の体制を、メニューの内容を含めてオシャレなレストランから、”自宅の居間”に近づけるのか。(①お客様の期待値に合わせる努力)

②お客様の気持ちを、より高める広告などの手だてをするのか。(②お客様の期待値を高める努力)

選択することが必要となってきました。

このイタリアンレストランの店舗オーナーは、オシャレな店を選んで、広告によってお客様に来店してもらう努力を選びました

その後、チラシ広告の効果が表れ、ランチの時間帯もにぎわうようになりました。

 

しかし、広告によって、お客様の方から敷居の高さを乗り越えていただくのは、容易ではありません。
上記の例では、集客に苦労する地域ではなかったのが功を奏し、「オシャレな店」を演出しながら、≪食べ放題≫などの企画と、親しみやすいスパゲッティなどの≪特集≫などメニューの工夫によって、②お客様の期待値を高めるというよりも、店側が①お客様の期待値に合わせることが基礎となる事例でありました。

このように、お客様の立場でとらえることが、商売の基本になければならないことであります。

マーケティングでもよく言う「お客様目線」「お客様視点」「顧客視点」ということですね。同じ店舗であっても、昼間の購買意欲と夜の購買意欲は当然違ってくることも知ってください。
前提には、(何度も言いますが)その土地に対する期待値があり、その期待値を知ることが立地条件を知ることになるのです。

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