【Amazon配送システム窮地】素人経営者?組織作りの落とし穴!解決策は?

日記

東洋経済 ONLINE http://toyokeizai.net/articles/-/179788
アマゾン大セール、配送爆増に耐えられるか
今年は30時間、中国ユーザーの動向も大注目
2017年07月10日

➡【万が一の概念】「もしもの時の準備」を信じない人々


■当然の結果と自覚できるのか?

アマゾン(Amazon)がヤマト運輸の撤退で配送システムに混乱をきたしている。ヤマト運輸が従業員の労働環境是正に乗りだし、人手不足が表面化した。アマゾンは独自の配送システムを構築することで、サービス低下を乗り越えようとしている。しかし、結果は最悪の経緯をたどっている。

この結果について、アマゾンの経営者たちは「当然のこと」と認識できてはいまい。出来ていれば「独自の配送システム」を作り上げるには、少なくとも数年は必要であることが分っているはずだし、その間の対策も出来ているはずだ。大いに「素人経営者」と言わせてもらおう。


「デリバリープロバイダ」とアマゾンが呼ぶ地域限定の運送会社の集団をまとめ、これまでの配送システムを維持する手立てを試みている。なんでこんなことが、すぐに可能だと判断したのだろうか? ばかげている。素人が過ぎる。ヤマト運輸がこれまで「伊達」に商売してきたわけではあるまい。地方に分散した組織をまとめ上げる力をどのように築いてきたのかは私も良く分らない。しかし組織運用の問題であることは確かだ。

アマゾンの経営者が「散らばった組織をまとめ上げるノウハウ」を知らなかった証拠だ。

■組織運用をアコーディア・ゴルフの失敗に学べ!

現代の支配者は労働者を人間として扱っていない。そのことに気付くこともない。

「株主と労働者は対等の権利を持つ」と認識できていないのだ。アメリカは民主主義の国と言われるが個人主義が行きすぎて、全ては自己責任の考えでいる。しかし、歴史をたどれば労働者が団結しなければ、資本家に対抗できないのは知れている。その社会システムが民主主義のかなめであり、本来は資本主義、共産主義ともども基本的認識の社会となっているはずだった。

しかし、現在、「ファンド体質」つまり「金による支配」が強くなり、「労働者の権利」を知らない経営者が増えている。中国は本来労働者の国のはずが、現在では資本家が支配する独裁国家と言って良い状況だ。こんな世界情勢の中で経営者はサラリーマン化して、雇われるためには資本家の言うなりとなるしかないようだ。

上場廃止したアコーディア・ゴルフの経営陣には、「労働基準法」が日本の法律であることを知らない人が大部分であった。顧問弁護士がいて、社外取締役に弁護士がいても、労働基準法を守らねばばらないとの認識もなく、労働組合が民主主義の社会には必要な組織であるとの認識もなかった。これは社員についても同様で、人類数千年の知恵の詰まった日本国憲法を意識できてはいない。

大学出身者がほとんどを占めるアコーディア・ゴルフ本社の認識は、まるで「独裁国家」のようであると感じる社員もいなかった。

ここまで「民主主義の社会常識」が逸脱したのは、なぜであろうか?

■組織の長は「命令するもの」と思い込んでいる

「組織の長は命令して部下を動かすもの」と思い込んでいるので、アマゾンの配送システムを作る際には、ネットで連絡が取れる状態で「マニュアル」が整備されていれば、組織は動くものと思い込んでいるようだ。

少々の無理は「発注者と受注者」の力関係で「命令しておけば動いて当然」とする感覚だ。労働者も同じ人間であり、心を持っていることを認識できないのだ。それほど「子供じみた視野」しか感じられない。


社会組織を「ブランド」で評価することしか知らずに、かなり「頭の悪い」ことだ。

「組織の長」と呼ばれると「何でも出来る」と勘違いしているので、スキャンダルや労働基準法違反をしでかすことになる。単純で物事の繋がりが分らないところは「脳機能障害」を疑わせるレベルである。

■アマゾンの配送システムは個別の小集団の集まり

アコーディア・ゴルフも各地に散在するゴルフ場の集まりだ。この集まりをコントロールする技術を知らない。アマゾンも、宅配システムを地域の配送屋を集めれば、すぐにできると考えたのは、極めて高慢な姿勢だ。ヤマトなど宅配業者が数十年を掛けて作り上げたノウハウを想像できなかったのであろうか?ばかげている。

トヨタは世界中に散らばった生産拠点、販売拠点のコントロールに失敗して「TNGA]を打ち出した。しかし、TNGAを進めることが出来る組織運用技術を行っている証拠でもある。数十万人の人間を1方向に動かすことが出来る、しかも世界に散らばっている組織だ。このノウハウを想像すらできないのがアコーディア・ゴルフ、アマゾンの経営者たちだ。

「郵便局」が信頼できるようになるまで30年の時が流れた。かつては、普通郵便だと4~5日かかることが当然で、配送途中でなくなる危険もあり、仕事に必要な郵便物は”速達書留”で出していたことがある。現在では近県では1日でつくのはもちろん、ゆうメールなどポストに入らない場合には、わざわざ玄関口まで来て声を掛けてくれる。ここまで姿勢が違ってきた努力は、労働組合の弊害を乗り越える努力と、トヨタの「カイゼン」を取り入れて組織運用を変えてきたことの成果であろう。

今度は、行き過ぎた労働者軽視を是正して「宅配組織」を確立する番だ。しかし、方法論は同じ組織運用の問題であろう。

アマゾンが立ち直るためには、経営者が「アイディアと資金」だけでは成り立たない人間社会を勉強することが必要だ。

アコーディア・ゴルフ、ライブドア、DeNA、東芝、SONYなどと、最近頻発する経営者の間違いを見せつけられるにつき、ネットの支配する最近の商売では「人間性・人権」などを認識できないものなのか?と考えさせられる。