【EV比較】ポルシェ・タイカンと日産・リーフ 重たい車重をもろともしないタイカンvs実用車リーフ

ポルシェ

スポーツカーの雄、ポルシェが作ったBEVポルシェ・タイカンが登場。2021年からは欧州を中心にBEV発売ラッシュが続く。テスラの高級車に対抗する姿勢だ。その一方、BEVは航続距離などで実用車として未だ使える状況にはないが、実用車で世界のトップを行くのが日産・リーフとテスラだ。BEVの現在と未来に関する問題点を洗い出してみよう。



ポルシェ・タイカンはBEVになっても「ポルシェ」!

ポルシェ・タイカンは、「ポルシェ」に相違なかった!

低速トルクの強いモーター駆動の特徴を生かして圧倒的な加速力、0-100km/h加速は2.8秒を示している。それだけでなく4輪駆動のためかハンドリングは、RRの911より718のミッドシップに近い素直な特性。その他の技術はエンジン車と変わりはない。

現状では、電気自動車のため充電時間が長くかかること以外、実用的に不便はないようだ。航続距離の延長と充電時間の短縮が進めばガソリン車の実用性に近付くと見られる。

出典:ポルシェ公式サイト

タイカンの航続距離は?

新しい情報(2021年1月)では、ポルシェ・タイカンの航続距離は、満充電時WLTPモードで412kmとなっている。

バッテリーの重たさを凌駕しているタイカン

目下、電気自動車の問題点、デメリットは、重いバッテリーを積むため車重コストの高いバッテリーを積むため価格、そして充電時間だ。

現在、電気自動車に使われているバッテリー(リチウムイオン電池)はガソリンと比較してエネルギー密度、つまり必要とする体積・重量が大きくなってしまう。そのため、車体の床下にぎっしりと敷き詰めるなどスペースを確保しているが、それでも重量がかなり重くなってしまう。

ガソリン車と比較すると、400kmほどの航続距離を得るためには、体感レベルでは700kgほど重くなってしまうのだ。

ポルシェ・タイカン 全長 全幅 全高
4965mm 1965mm 1380mm
ホイールベース 車両重量
2900mm 2370kg

EVの車重が、ガソリン車と比較してこれほど重いと通常は、運動性能に影響していると思われる。

だが、ポルシェ・タイカンは、モーターの低速トルクの強さ、タイヤやサスペンションセッティングのうまさで補っている。それどころか、バッテリーの床下搭載で重心位置が下がることのメリットを生かしているようだ。

さすがはポルシェだ‼

↓↓↓ポルシェオリジナルマグカップ‼

 

 

ポルシェ・タイカンの価格

Taycan Turbo 

車両本体価格(消費税込)20,231,000 円

0 – 100 km/h加速 (ローンチコントロール時) 3.2 秒

ローンチコントロール時オーバーブースト出力 500(kW)/680(hp)

最高速度260 km/h

 

Taycan 4S 

車両本体価格(消費税込)14,481,000 円

0 – 100 km/h加速 (ローンチコントロール時) 4.0 秒

ローンチコントロール時オーバーブースト出力 390 (kW)/530(hp)

最高速度250 km/h

※ローンチコントロールとは、停止状態からスムーズに素早く発進させる自動制御技術。エンジン回転数を制御してホイールスピンをさせないようにする。つまり、発進時のロスをなくす制御。

 

全固体電池に期待!

今後は、EVの車重が重いというデメリットも、全固体電池の実用化で解消できる見通しだ。

現在、トヨタがパナソニックと共同で開発している。

↓↓↓昨年4月には、パナソニックと車載用電池の開発会社「プライムプラネットエナジー&ソリューションズ」を立ち上げ、全固体電池を柱の一つに位置づける


しかし、どうやら中国のNIO(上海蔚来汽車)が2020年には、全固体電池搭載の車種を発売する予定であるとしている。NIOは、「中国版テスラ」と呼ばれるEVベンチャー。VWが50%出資しており、中国市場の覇権争いが繰り広げられている。

全固体電池で充電時間も短く

EVのデメリットである充電時間も、全固体電池の実用化でガソリン補給とそん色のない程度まで時間短縮できる見通しが立っている。

しかし、価格についてはすぐには解消できないようだ。が、それも近い将来ガソリン車並みに抑えることで競争が激しくなってくるだろう。

参考記事:スポーツカーを制す者は電化を制す──新型ポルシェ・タイカン試乗記(GQより)

 

実用車でリードする日産・リーフ

高級車の発売ラッシュが続くが、日本では、実用車として断然日産・リーフがリードしている。

EVはガソリン車に比べて割高感があり、実用車として普及は限られるが、やはり自動車メーカーがBEVを造ることは容易なのであろう。リーフのクルマとしての完成度は既に実用車である。

 

初代日産リーフに試乗したことがあるが、買い物車としても走行安定性に問題があると感じていた。モーター駆動のため「スポーツカーよりも加速性能が良い」と営業マンに進められて試乗してみたのだが、FFのために、発進でフルスロットルにはできないほど前輪が暴れてしまう。

コーナリングの安定性、ハンドルの応答性も「買い物車」丸出しだった。しかし、モデルチェンジで2代目リーフは生まれ変わったようだ。

日産・リーフ


全長 全幅 全高
4480mm 1790mm 1560mm
ホイールベース 車両重量
2700mm 1490~1520kg
室内長 室内幅 室内高
2030mm 1455mm 1185mm

 

日産・リーフの航続距離は?

日産・リーフには、バッテリー容量の小さいリーフ(40kWh)と、バッテリー容量の大きいリーフe+(62kWh)がある。

リーフe+の航続距離はWLTCモードで458kmとなっているが、安全を見て、最大で350kmくらいと思った方ががいいだろう。

遠出のゴルフ場(100km)の往復は、満充電で可能かと思うが…。

高速道路のスピードの出し方によっては電力消費が早いらしいため、行きは時間も間に合わせなければならないため焦りそうだ。

ゴルフ場は、プレー中にチャージできるところでないとだめだろう。だがそれも、EV使用が増えてくると空いているとは限らない!

 

日産・リーフの価格は?

-リーフ e+(バッテリー容量62kWh)-
e+ X:4,162,320円
e+ G:4,729,320円

-リーフ(バッテリー容量40kWh)-
S:3,243,240円
X:3,661,200円
G:3,999,240円
NISMO:4,032,720円

日産・リーフの問題点はタイカンと同じ

問題点は、やはりポルシェ・タイカンと同じで、バッテリーの重さだ。

今後、全固体電池の登場によって、技術的にガソリン車に追いつくことが出来る見込みがある。その後はバッテリーの価格が下がることで、最後の問題である車両価格の高さは解消できるだろう。

2020年10月に発売されたホンダeのような、航続距離短距離専用の考え方も、全固体電池の実用化が出来れば必要性がなくなってくるかもしれない。(ホンダeの航続距離は、300km弱)

近い将来には、ガソリン車のような実用的使い道の区分では同じになるのではなかろうか。全固体電池の登場でBEVの実用性は一気に前進するものと考えられる。

 

EVの真の社会問題は「雇用減少」

BEVがクルマの主流になるかどうかは、むしろ発電の問題であり、エネルギー政策の方針に関わると考えられる。

そして、BEVの負の問題点としては、実用化が進むほど「雇用問題」が出てくることだ。バッテリー産業が大きくなってもエンジン、ミッションなどの産業規模ほど大きくないため、クルマ産業の半数の雇用が損なわれると見られている。

IT産業などへの転換が求められるが、製造工程のないIT産業では余った雇用は埋められないと考えられる。さらに、AIによる雇用の減少が重なると、社会問題化するものとみられる。

 

水素社会確立に向けて

こうしたBEVの実用化で問題となる雇用の消失には、水素を燃料としてレシプロエンジンを残し、クルマ産業の規模を維持することが考えられる。すると原子力発電を増やす必要もなくなり、エネルギー政策全般にも良い影響があると考えられている。

 

欧州は純度99.99%の純粋水素と、空気中のCO2を反応させてe-gas(メタンガス)として石油に代わるエネルギー源とする技術開発に乗り出している。炭素循環(ZEV)で自然エネルギー発電の弱点も補うことが出来、ガソリンスタンドの小改造でe-gasに対応できることから、インフラ整備も容易で、これまでのクルマ産業の規模を維持できる見通しだ。

日本にとって水素社会のメリット

水素社会は良いことづくめだが、日本にとっては中東石油依存を解消できる最大のメリットがある。さらに純粋水素を使うFCV(燃料電池車)の開発は日本のトヨタであり、e-gasで動かせるエンジンでガソリンと切り替えて利用できるメリットを持つのがマツダ・ロータリーエンジンだ。

日本の技術が生かされることとなり、さらにエンジンなど精密機械技術て世界をリードしてきた日本の自動車産業自体を維持発展させることが出来る。中国産業、アメリカGAFAなどの産業と競争力を保持していくには、日本の死活問題となるであろう精密機械技術を活かせる唯一の選択肢だ。