【NISSAN GT-R物語(20)】新型ホンダ NSXと何が違うのか?[1]

日産とGT-R物語





NSX

出典:http://www.honda.co.jp/NSX/webcatalog/styling/design/ 

GT-Rの口コミを読んでいると、スーパーカー世代が多いような気がします。また、世界の車市場のニーズをよく表しています。

個人的趣味の範疇では、好みでどれほど評価しても構わないのですが、「客観的な車の出来」を評論するとなると、自分の好みを前面に出すのは禁物です。

例えば、2017年モデルのGT-Rのデザインについては、私は「大嫌い」です」。自分の好みじゃないのです。これは、一般に【主観的】と言われるものです。だから、コンセプトカーが発表されたときから、それが原因でスペックなど内容を調べることにも関心をなくすほど嫌いなのです。

でも、「GT-R物語」を書くとなると、R35GT-Rがどんな車であるのか【客観的】に評価する必要があります。だから、ある程度の基準を決めて評論せざるを得ません。

これはどの車についても、どのような事柄についても同じことです。「個人の好みは客観的ではないため普遍的価値を持たない」ことを肝に銘じるべきです。

 

車は生産方式を買う

 

フェアレディーZ

出典:http://n-link.nissan.co.jp/NOM/ARCHIVE/02/

私が自分の稼ぎで買った初めての車は、日産フェアレディーZでした。1970年代の話です。

当時は住む場所を親に提供してもらって、食事もかなり食べさせてもらってました。なので、自分の稼ぎの中から、自分の生活費以外を全てつぎ込んだ車だったのです。でも、Z432(初代 S30型系 ・1969年-1978年)は買えませんでしたし、買う気はありませんでした。あまりにも実用にならないからです。

その当時の日産は、フェアレディーZもスカイライン2000GTもブルーバードSSSも、足回り、ミッションは共通でした。それだけでなくエンジンも基本は共通で、その代り性能やスタイルの割に安くできていたのです。

GT-Rもその基本はスカイライン2000GTで、特別なのはエンジンでした。

これは、量産車の部品を使って高性能車を作り出すことにより、自動車の普及を図るためで、現在のGT-Rも基本はそこにあるはずです。

 

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出典:http://www2.nissan.co.jp/GT-R/exterior.html

あまり宣伝しないので知られていないのですが、これは、その車を理解するためには大変重要なポイントです。

GT-Rはラインにのせられて作られます。詳しく発表されませんので、明確ではありませんが、基本装備までは他の車種と同じラインにのせて作られているようです。これが、別の意味で日本車の得意な部分です。これに注目されないのは、ジャーナリストが車の生産方式について関心がなく、無知であり、それでよいと判断しているからです。

しかし、時代背景の強い車の性格ですので、生産方式はその車の性格を決めてしまいます。つまり、工業製品は先進技術の塊であって、その時代を表しているということです。あまり言われませんが、生産技術もれっきとした技術の1つです。

HONDA NSX/ボディー素材

NSXボディー素材

出典:http://www.honda.co.jp/NSX/webcatalog/performance/driving/

例えば、クルマの軽量化を図るには、ボディーの素材を変える必要があります。これまでは鉄が主流でしたが、現在は一部カーボンやアルミニウム、強化プラスチックなどが使われるようになりました。上図のホンダNSXにも、カーボン、アルミニウムなどが使われていますね。

しかし、そういった軽量素材を使用すると、シャーシを共通のラインで流せなくなる可能性が高く、手作りとする必要が出てきます。コスト高となります。

そこで登場するのが、トヨタのTNGA、マツダのスカイアクティブ・テクノロジーなどです。クルマをできるだけ安く作るためには、生産方式がすべてを決めます。現在、これが一歩進んでいるのがトヨタとマツダです。

けれど現在のところ、日産やホンダは新しい生産方式を産みだせていないので、限界をつくってしまっています。

なので、「車は生産方式を買う」と覚悟すべきなのです。

 

日産フェアレディー240ZG

Nissan-Fairlady240ZG

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Nissan-Fairlady240ZG.JPG?uselang=ja

当時のフェアレディーZは、北米の販売数が日本国内の販売台数に比べて10倍近くあったと言います。

「ダットサン240Z」として、ポルシェ911の半額程度で売られていたのでそれは大変人気となりました。半年待ち、そしてプレミアムがついて話題になっていました。

もともと量産車の部品を使って高性能車を作るやり方はアメリカのもので、緻密で高度な技術よりも、安くて豪快なものを好むアメリカ人の気質が、240Zをヒットさせたのでした。

R35GT-Rコンセプトカー

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出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/日産・GT-R

R35GT-Rコンセプトカーが発表になった時、「スカイラインGT-Rのモデルチェンジ」としか見えなかったのは、「この路線を引き継いだ、日本車らしい繊細な煮詰めをした車」に思えたからです。

5人乗りクーペの基本シルエットを崩さず作り上げたデザインだったので、当然にスーパーカーには見えません。

「羊の皮をかぶった狼」に徹しきれなかったのは、時代の要請に応えたからでしょう。デザインとしては、個人的には大嫌いです。

やはり、「スカイラインGT-R]として開発されたものを、営業政策の変更によって、そしてカルロス・ゴーン社長の命で「NISSAN GT-R」に変更したと感じます。スカイラインの名が消えたのは、残念でなりません。・・・➡NISSAN GT-R物語(21】HONDA NSXと何が違うのか?[2]

 

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