いま、リアル店舗の「チラシ戦略」が見直されている!(2)リアル店舗の「商圏」はどうやって設定する?

日記

前回の『いま、リアル店舗の「チラシ戦略」が見直されている!』の第1回目で、当然のこととして「商圏」のお話をしました。けれど、大手スーパーやコンビニ以外の商店主の皆さんが「商圏」をしっかり意識していることは案外少ないように思います。自分の店舗の「商圏」をどうやって設定したらいいのかお教えします。そうすれば、チラシ広告を行う地域が見えてくるでしょう。



 

商圏は、業種、業態、商材によって変化する

商圏は一律なものでなく、業種、業態、そして商材によって決まってきます。

例えば、ざっくり言うと、コンビニ、スーパーなどの誰もが必要とする日用品(消耗財)では、商圏はせまく車や建物、土地など1年に1回、一生に1回買うか買わないかのような耐久財では、商圏は広くなってくると考えられます。もちろん、その中間の商材もあります。

つまり、設定した商圏で十分な来客数、来店回数を見込めるかを考えるのです。

もっと説明すると、日用品(消耗財)の購買単価は低いですが、消耗品であるため購買スパンが短く、高いリピート率によって売り上げが成り立ってきます。だから、ある程度狭い範囲のお客様に繰り返しきていただくことが大事になってきます。

逆に、耐久財は購買単価が高く、購買スパンが長く、低いリピート率です。だから、狭い範囲のお客様にリピートを望むことは難しく、おのずと広範囲の商圏を設定しないと、客数不足となってしまう可能性が高いです。

このように自分の店舗で扱っている商材がどういうものかが理解できていると、自分の店舗のビジネスモデルも理解できていることにもなります。

自分の店舗のデータを見て、1か月の購買平均単価がどの程度であるかを把握していれば、1か月にどの程度の来客数を確保しなければならないかがわかってきます。

その結果、購買率が低ければ、より多くの来客数を確保しなければいけないと同時に、店づくりの工夫で購買率を上げ、広告による喚起でリピート率を上げる努力も必要となってきます。それでも、採算がとれなければ、商圏を広げる作業も必要となってきます。

それで、今までの商圏でリピート率を上げる時も、商圏を広げようとする時も、チラシは有効です。

➡いま、リアル店舗の「チラシ戦略」が見直されている!(1)3つの基本ステップ

 

商圏の設定の仕方

それでは、商圏の設定は具体的にどうやって設定したらよいでしょうか。

人口統計データを見てみる

まずは、自分の店がある市町村の人口統計を見てみましょう。近隣の市町村と比べてみることも大事です。

例えば、昼間、夜間人口や年齢別人口を見てみます。調べてみて極端な場合は、昼間人口が夜間人口に比べて少ない、ということもあるかもしれません。そういう場合は、昼間は大半の人が市外に働きに出ていて、お店の実購買能力が低いことになります。これでは、昼間お店を開けていても、お客さんが来ないのは当たり前です。その逆に、工場街や大学などがあって、昼間人口が増える地域もあります。

そうすると、誰を想定してチラシを作るか、配るかがわかってきます。

人口統計を分析して、どのような地域特性であるかを想像するのです。すると、ターゲットにする客層が見えてきて、販売する商材が合致しているのかどうかも分かってきます。違っていたら、それに合った商材をプラスする、切り替えるなどの対策となります。

もちろん、チラシの作り方も変わってくるでしょう。

↓↓↓楽天市場でもチラシ印刷をしてくれるショップさんがあります!

 

 

インターネットで人口統計データを入手してみる

私は店舗を運営していた時、朝日新聞社の「民力」が必需本でした。しかし、2015年までは、朝日新聞社が「民力」という人口統計データの書籍を販売していたのですが、今はなくなっているようです。

現在はネットで入手できますが、自分で見たいデータを選択しなければならないので少し使いにくいでしょうか。

経済産業省や総務省が主管する人口統計/年齢別統計/一世帯あたりの人数統計等を見れる統計ポータルサイト

独立行政法人統計センターが管理運営するe-Stat
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/eStatTopPortal.do

 

↓↓↓こちらは、東洋経済新報社から出ている「都市データパック2018年版」。電子書籍なので、端末で見ることができます。

 

地図を分析してみる(地域のオタクになる!)

次に、地図を広げてみましょう。まずは、お店を中心に市販の地図をコピーして、設定した商圏の地図を手作りすると、イメージがしやすくなります。

25,000分の1以下の地図では、団地などもわかりますし、何処に人口が集中しているかが分かります。そして、高速道路、一般道路や山坂などを注意深く観察し、どの地域の人々がお店に来やすいか、来にくいか、徒歩が便利なのか、車が便利なのか、などをシミュレーションしてみるのです。

そして、時間帯を分けて、自分の足で歩き、車で回り、実態とシミュレーションを合わせます
そのようによく見てみると、川や車の渋滞が弊害になっていたことも判明したりするのです。お客様は無意識にそんな障害を避けようと行動しているものです。そのため現実には、行きたいと思っている店でもなかなか足が向かないちいうことも起きています。

ゴルフをやってる店舗オーナーさんだったら、プロが使っているヤーデージブックをご存知でしょう。プレーするコースの詳細メモを記入するためのもので、ホールやグリーンの形状や上り下りなどが試合の時のアドバイスになる大切なものです。

↓↓↓こちらは、ゴルフ場のヤーデージブックなるものです!

 

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経営している自店の周辺地域のヤーデージブックに相当するものを、オリジナル地図で作ってみるのです。

ただ、漠然とお店でお客様を待っているのではなく、地域の特徴を知って、お店の持っているポテンシャルをよく理解していなければ、何も始まらないのです。

では、地図を眺めて深堀してみると何が分かってくるかの例を挙げてみましょう。

 

例1・昼間の渋滞がひどい!

1つ目の例は、店舗周辺に主要幹線道路が通っているため、昼間の渋滞がひどい場合です。

それでお客さんの自店へのアクセスに影響していることがわかったので、昼間よりも渋滞が緩和する夜間に重点を置く(営業時間の変更もあり)ことで、集客アップした例があります。

この場合、チラシ作りする時も、夜間は空いていることをアピールすることで、来客数が大幅に増えたという実績があります。また、営業時間を夜間にシフトしたという例もあります。

 

例2・高速道路が盲点!

2つ目の例は、地図をよく見てみたら、高速道路のアクセスが良く、意外に遠くからお客様がやってきているということに気づいた場合もあります。

そのため、「高速なら5分」とチラシに書き入れ、最寄りのインターよりも前後のインター付近にチラシをポスティングして来客数が増えたという例があります。

余談ですが、車でやってくるお客様が多い地域なのに、駐車場が少ない、あるいは駐車場の場所について十分に案内できていなかったということも、よくあります。チラシ(ネットと併用)でよく告知しておくべきです。

このように、店舗の商圏について良く把握していないと、見落としがよくあるということを肝に銘じてください。

まずは、なにもやらずに集客できていないと諦めるよりも、人口統計データを眺めてみる、周辺地図を眺めてみる事から始めてみてください。

 

↓↓↓こちらは、チラシを作るコツが書かれた本。「繁盛店が必ずやっているチラシ最強のルール 小規模店だからできる!」 自分でワードなどでチラシの原稿を作って、ネット印刷屋に原稿データを送れば、あとは待つだけ!

 

高額なコンサルタント料を払う前に!

ネット上でも、「マップマーケティング」などコンサルタント料を払えば、自分で分析しなくてもそれなりのデータを得ることはできるかもしれません。

でも、自分のお店の問題なので、まずは労を惜しまずに自分で分析してみましょう。その分節約もできます。マーケティングの最先端では「インハウス化」というそうです。つまり、外注に頼らずに、自社でマーケティングを行ったほうが、効率的だしスピードアップできるということらしいのですが、昔からの商売人であれば当たり前のことです。新しい言葉に惑わされないでください。

また、巷のコンサルティングでは、地図を使って自店を中心にコンパスで1キロ・3キロ・5キロなど真円を描いて商圏を設定したりしていますが、実際は真円になることはありません

上記で言った通り、高速道路の利便性などがあった場合はぜんぜん違ってきてしまいます。要は、お客様の自店へのアクセスのしやすさなのです。なので、ごく近くに大きな川が通っていた場合などは、橋の数がルートを邪魔しており、どんなに近くてもその地域は商圏となりにくい場合もあるのです、

地図とにらめっこして、商圏を自分で歩いたり、車で視察したりしながら、お客様となりうる地域を開拓してください。そのうちにこれまでより愛着もわいてきて、お店でお客様と接する時もライフスタイルを想像できるようになります。

そうなってきたら、あなたも商売のプロです。

➡次は、その土地特有の【地域ストーリー】についてです。いま、リアル店舗の「チラシ戦略」が見直されている!(3)へ

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