例年、世界ランク1位2位を争う、飛ばし屋で有名なダスティン・ジョンソン。そのクラブセッティングは独特ですが、実は、アマチュアには参考になることが多いのです。「ショットする回数の多いクラブを易しくする」のは合理的なんです! 特に、ダスティン・ジョンソンのウェッジセッティングに学ぼう!
飛ばし屋、ダスティン・ジョンソンのクラブセッティング(ウェッジ編)
ゴルフは14本のクラブセッティングでスコアを作るのですが、標準的なクラブセッティングを当然としているゴルファーは多いですね。でも、ダスティン・ジョンソンのクラブセッティングはちょっと変わっています。
【ダスティン・ジョンソンのクラブセッティング:2020】
ドライバー:テーラーメイド SIM ドライバー(10.5度)
(M4ドライバーの時はロフト9.5度も使用していましたが、10.5度を使用するとはやはり米選手は合理的ですね!)
↓↓↓2020年のダスティン・ジョンソンのクラブセッティング!!! んっ、ウッド系が多いような…。
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FW:テーラーメイド SIMマックス3W(ロフト15度)
(M4の時はロフト16.5度)
UT:テーラーメイド SIMマックス レスキュー(ロフト19度)
↓↓↓どうやら2020年は、2本もユーティリティを入れたらしい!
『「RBCヘリテージ」で今度は19度と22度、ふたつのハイブリッドをバッグに入れた』!!!#ダスティン・ジョンソン #ゴルフ
いわゆるユーティリティ2本は初めて!
でもさすが合理的!!!世界のトップの使用クラブに異変!?
https://t.co/mQIhv5Q9IX— kenzo_ogata (@kenzo_ogata) July 2, 2020
アイアン:テーラーメイドP730 DJプロトタイプ(4番~PW)
(以前はP790の3番も入れてたけど、UTに入れ替えたのかな)
ウェッジ:テーラーメイド ミルドグラインド2 (52度-9、60度ー14、60度ー10)
テーラーメイド ミルドグラインド ハイトゥ (64度ATVソール)
これって、飛ばし屋ダスティン・ジョンソンが編み出した、かなり考えられたセッティングと思われます。
最新の情報では、「セントジュードクラシック」での試合前、ドライバーは「M3」と「M4」を両方バッグに入れていたようですが、今回はM4を使用することを決めたようです。使い分けているようです。また、普段はロフト9.5度のようですが、今回は10.5度を使用しています。
これは、飛ばし屋でフェードヒッター、そして割と易しいコースとの相性を考えてのことだと推測できます。今回はあまり飛ばしすぎないため、10.5度を選択したのでしょう。
というか、飛距離重視ではなく、プロだからコースマネージメント重視ですよね。アマとは違って( ̄▽ ̄) 10.5度は定着しそうです。
↓↓↓こちらが、ダスティン・ジョンソンの使用クラブ。ウェッジには、「DJ」と刻印されてるのが分かります。(2018年)
特徴あるウェッジ・セッティング
飛ばし屋であるがゆえ、ダスティン・ジョンソンのドライバーショットが多く取りざたされますが、彼のクラブセッティングで、最も特徴ある部分はウェッジです。
52度-9、60度ー14、60度ー10、64度ATV(後の数字はバンス角)とあって、PW(ピッチングウェッジ)まで入れるとウェッジ5本セットとなっています。
その代わり、FWの3W(16.5度)と3アイアンの間は空いています。また、64度ウェッジを入れているとこなどから、米PGAツアーのラフのセッティングの厳しさが伝わってくる感じです。
↓↓↓こちらが、D・ジョンソンが使用するテーラーメイド「ミルドグラインド ウェッジ」。日本正規品ですが、60度のバンス角は10度しかラインナップされていません。14度はやはりダスティン用ですかね。
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↓↓↓2019年モデル「ミルドグラインド2」のブラック仕様(クロームもあり)。昔も一時流行っていたガンメタですが、打感が柔らかく感じられるし、反射がない分、夏には構えやすくいいかもしれません。
ダスティン・ジョンソンにとって、60度ウェッジは100ヤード以内のクラブということになるでしょうか。おそらくは、60度―14がバンカーショットに主に使われるのだと思われます。64度は、ATVという(All(全ての)-Terrain(地形) Versatility(対応))ソールとなっているところから、グリーン周りのあらゆる小技について引き受けているのでしょう。
ダスティン・ジョンソンの64度ウェッジ
ダスティン・ジョンソンが使用している64度ウェッジの、バンスがATV(All-Terrain Versatility)と表示されているのは、ヒールとトゥ側のバンスを削っており(グラインド)、開いた時にはバンスが効かないようになっています。
↓↓↓こちらが、D・ジョンソンが使用するテーラーメイドの「ミルドグラインド ハイトゥ」。ヘッドはカッパーメッキで銅色。64度の他に、58度、60度もあり。2018モデルの日本仕様。
このクラブは、例えば、トゥ側はヒールアップに構えてチップショット、ヒール側はロブショット、ソール全体を使えばフェアウェイからのショット、ソールの後ろ側はバンカーショットにつかえます。
↓↓↓60度ソールのグラインド具合を見てみてください。普通のウェッジとちょっと違います。
引用:https://www.taylormadegolf.eu/Milled-Grind-HI-TOE-Wedge/DW-WZ733.html
実はミズノの名器TN-87から受け継がれる
ATVというと、テーラーメイドの独自テクノロジーと思ってしまいますが、実は、この仕組みは昔からあって、アマチュアゴルファーでも個人的に自分に合わせてバンスを削って作り直したりしていました。昔は、クルマの趣味でも、自分でエンジンまで分解していたい人もいたくらいで、現在とはずいぶん違います。
また市販品では、名器であるミズノの中嶋常幸モデル(TN-87)の52度に施されていました。バンスを効かせたり開いて使ったりなど、いかようにでも対応ができるので便利ですが、ゴルファーの正確さも要求される仕組みです。このミズノのクラブは古くて、アマチュアゴルファーには難しいのですが、現在でも手放せないでいます。
参考記事:【第9回ギア!名勝負】国産マッスル“三つ巴”対決(みんなのゴルフダイジェストより)
ダスティン・ジョンソンが使用するテーラーメイドの「ミルドグラインド ハイトゥ」も、もしかしたら?将来名器になるかもしれません。
このテーラーメイドの「ミルドグラインド Hi-TOEハイトゥ」他にも使用する上位プロは多いです。J・ローズ、J・ラーム、R・マキロイ、J・デイなどが使用していますが、いずれも64度ではなく60度のようです。
ダスティン・ジョンソンのドライバー飛距離は400ヤードを超すこともありますが、データを見ると平均飛距離311ヤードほどのようです。しかし、ロングホールでも2オンを狙うのが当たり前で、2打目またはアプローチショットでは距離が近いショットが多いのだろうと思われます。データを見ても、125ヤード以内のショットの彼のグリーンオン率は、PGAの平均よりも高くなっています。
米PGAツアーのセッティングが厳しい(グリーン周りのラフが長い)のと、距離が近いショットが多いことを考え合わせると、ウェッジではロブショット中心となるはずで、60度、64度を多くセットするのは極めて合理的だと思われます。
アマチュアゴルファーの参考になるところは、夏のラフが深い時は”60度ウェッジを使うのもあり”ということです。ただし、ロフトが寝ている分、ダルマ落としになってボールが飛ばないこともありうるので、ライの状況をよく見る必要があります。腕に覚えがある人は、即購入してみてもイイかもしれません。
↓↓↓「フェデックス セントジュードクラシック( TPCサウスウィンド・テネシー州)」3日目のダスティン・ジョンソン。正確なショットをご堪能ください!
Another 54-hole co-lead for @DJohnsonPGA.
Check out his stellar third round in less than 🖐 minutes. pic.twitter.com/GqWYq3Z6vR
— PGA TOUR (@PGATOUR) 2018年6月10日
アマチュア・ゴルファーも、ブランドや見栄などにこだわらずに、自分がよく打つ飛距離、ショットに対して、クラブを易しくしていくのが当然でしょう。
余談:P/S(ピッチングサンドあるいはAW)はジャンボ尾崎の発明
P/S(AW)はジャンボ尾崎の発明品(ジャンボMTN3プロモデル)です。若いころのタイガー・ウッズのセッティングはPW(48度)とSW(56度)でした。そうすると、コントロールショットが多くなって不利になるので、ジャンボが日本で使い始めてしばらくすると、アメリカPGAツアープロもP/S(AW)を使用するようになったのです。そしてさらに、アメリカのコースセッティングでは重要な、ロブ・ウェッジ(60度)を入れるようになっていきました。
アマチュアのクラブセッティングは、自分がよくプレイするコースに合わせて、出来るだけフルショットで済むように本数を集中するのがコツだと思います。その面で、コースを14本のクラブでカバーするときの考え方として、3Wのロフト16.5度を入れるなど、ダスティン・ジョンソンの合理的考え方を、アマチュアが参考にするのは望ましいことだと思います。