富士スピードウェイ開催のWECイベントに学ぶ、集客テクニック! ゴルフ業界も学ぶべき提案とは?

ゴルフ場評価

富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町のサーキット)で、10月13日(金)~15日(日)に開催する2017 FIA世界耐久選手権 第7戦 富士6時間耐久レース。普通だったら、モータースポーツに興味のある人しか行かないところであるが、今回の集客戦略がスゴイ! それがなぜなのか、見てみよう。ゴルフ人口が圧倒的に減っているゴルフ業界が、ぜひ学ぶべき方策であると思う。



WEC富士6時間耐久レースの試み、できるだけ多くの人に!

今回富士スピードウェイは、WEC6時間耐久レースに合わせて、新しいサーキット観戦の提案として『FUJI SPEEDWAY ACTIVE PARK「36 HOURS OF FUJI」』を実施する。

名前なんてカッコつけでこだわってもしょうがないので、集客に悩んでいるのであれば、その内容をじっくり研究する必要があるだろう。

注目はその催し物

ピットウォークやドライバートークショーなど定番のレース系イベントは、今までのファンサービスであるから当然である。

それに加えて、フランスフェア『ヴィラージュ・ボンジュールフランス』、車中泊イベント『CAMP JAPAN』、落語、和太鼓パフォーマンス、プロレス、花火大会など、ジャンルを問わずさまざまな催しが用意されるという。「打って出た!」と言ってもいいだろう。

モータースポーツのファンにこだわらず、できるだけ多くの人に来場してもらい、ついでにモータースポーツの楽しさを知ってもらおうという試みであると思われる。動機はどこから入ってもいいから、とにかく来てもらって、今までモータースポーツに触れていない人にも少しでもいいから見てもらい、その臨場感や楽しさを味わってもらい、気に入ってもらったらまた来てもらおうということだろう。

できるだけ多くの人に体感してもらおうという試みである。

なぜ、そうするのか?

モータースポーツは、車のファンにクルマの愉しさを与える場でもある。しかし、クルマが大衆化して身近になり、何の不安もなく日常使用できるようになると、クルマの本来の性能や仕組みに興味を抱く人が少なくなってしまった。また、デフレが続く中、若者の車離れや都会では車の必要性を感じない人が増え、車の販売台数は横ばいである。

縮小していくクルマ市場で、もう1回シェアを伸ばす必要がある

今回は図を省略するが、市場マトリックスを頭の中で描いてみる。横軸は趣味、縦軸は人数で大まかに描いてみる。その中で車の趣味の集合が縮小していく現状を確認してみる。しかし、他の趣味の集合もいろいろある。そうして見た時、他の趣味の人たちを車の趣味に組み入れようと思い浮かぶはずである。

その具体策が、今回のWEC6時間耐久レースのイベントである。ただの思い付きということではなく、市場をイメージして、他の趣味からの移行を促すことを具体的に考えるのである。

今回の、和太鼓パフォーマンスや花火などは、幅広い年齢層を対象にできる。落語やプロレスは、そのファンの人を対象にできる。車中泊イベントは、クルマのユーザーではあるがモータースポーツは初体験の人を対象にできる。とにかく、市場全体を根こそぎ対象にしてみようとする思い切ったイベントであることがわかる。車中泊や花火などは、サーキットというフィールド(立地)の特徴を活かしてもいる。

その中で新たに、モータースポーツに興味を持つ人を発掘しようというのである。これには、企業のリーダーの意気込みや、体質も影響していると考えられる。

ゴルフ業界との差

今年発表された「レジャー白書2017」での数字は衝撃であった。

年間に1回以上コースでゴルフをした人は、2015年には760万人と前年より少々増えていたが、2016年は550万人と210万人も減ってしまった。1年間に27.6%減となり、「ゴルフ場業界存亡の危機」と言える。

車市場以上に深刻な状況であるが、その中でPGA(日本ゴルフ協会)は資料を出して、「コアなゴルファーにターゲットを絞る」方針といっている。

ターゲットを既存客に絞る危険

PGAの言っている「コアなゴルファー」は既存客のことである。その既存客の年齢層は、現在60~79歳までの人となる。(それで52.8%も占めているのは驚きである。)

60~79歳までの既存客は今後どうなるだろうか?と考えてみる。自然の摂理であるから、どう頑張ってもゴルファーからリタイヤしていく人たちである。すると、そのまま放っておくとゴルファーは減っていく(自然減という)。市場としてもしぼんでいく一方である。ゴルフ業界・産業の危機である。

だから、PGAの「コアなゴルファーにターゲットを絞る」は大いなる間違いである。

マーケティングでは、潜在客を既存客に移行していく方策を同時にとっていかなければ、「自然減」を補えなくなってしまうことがわかっている。だから、「WEC6時間耐久レースのイベント」のような方策が必要なのである。

こういうと、自然増を待っていればどうにかなると思うかもしれないが、少子化が進む中、また給料が上がらない中、放っていては期待できない。

↓↓↓2017年プレジデンツカップの観客席。日本もこのようにできるといいですね。

リーダーの牽引力が必要

富士スピードウェイの運営は、トヨタ自動車の傘下に入っている。そして、豊田章男社長、つまりリーダーが「いいクルマをつくろうよ」とスローガンを打ち立てそれを貫き通している。全社をあげて自動車業界を盛り上げようとしている。18年ぶりに世界ラリー選手権(WRC)にも参戦し始めた。ル・マンにも力を入れている。

リーダーの強い意志がないと、全体は動かない。現在のPGAの牽引力では、頼りない。

スター頼みでは能がない

これまでゴルフ業界は、ジャンボ尾崎、石川遼、宮里藍などのスター選手に望みの綱を託し過ぎていた。だから、スター選手がいなくなると、業界全体がしぼんでしまう。しかし集客は、普段からの努力の積み重ねでなければならない。

スター選手以外の魅力を作る努力をしなければならない。トーナメントの集客も、ゴルフ場の集客も、練習場の集客も、ゴルフギア小売りの集客も、普段からそれぞれの魅力を把握し、それを顧客にアピールし続けていなければならない。もちろん、その魅力づくりのために、経営品質も安定していなければならない。

トヨタの経営はクルマそのものだけでなく、「カイゼン」という経営手法についても世界的に第一線をいく特徴のある企業である。日々従業員が作業改善に意識があり、それが品質を安定させ、コスト削減にも役に立っている。だから、世界企業でいられる一面があるのだ。日本人であるのに、そのことをよく知らない人が多すぎる。

とにかく、不定期なスターの出現を待つだけの経営は博打でしかない。日々の努力が必要なのである。

魅力のある、真面目な商品作り

富士スピードウェイの運営は、トヨタ自動車の傘下に入っている。豊田章男社長は「いいクルマをつくろうよ」とスローガンを打ち立て、全社をあげて自動車業界を盛り上げようとしている。18年ぶりに世界ラリー選手権(WRC)にも参戦し始めた。ル・マンにも力を入れている。

そもそも、モータースポーツはただの趣味ではない。モータースポーツの場は、自動車会社にとって開発現場であるのだ。新しい概念・技術にもチャレンジしたりして、もっと「いいクルマ」を作るための研究開発の場であるのだ。かつてホンダの本田宗一郎氏もそう言っていたのを思い出す。ゴルフ業界でも、特にゴルフ場はゴルファーが快適にプレーできる環境を与えることができなければ、いい商品を作っているとは言えない。

 

では、ゴルフ業界の具体的な集客方策はどうしたらよいのか?だが、機会を改めてお知らせしようと思っている。

それから、今回のWEC富士6時間耐久レースのイベントの集客は、お客様が本当のファンになってくれるまでの「道のりの初めの一歩」でしかない。先には長い道のりがある。来てくれて興味を持ってくれた顧客に対して、次の一手、お土産を帰りに持たせなければ意味がない。そうしなければ、それで道は終わってしまう可能性が高いからだ。次の割引券や何かほかのメリット、つまり顧客が容易く次の一歩を踏み出してくれるように演出しなければならない。

 

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