日本のゴルフ練習場はもう古い!ゴルフ人口を増やすには遊べる仕組みが必要だ! 米「トップゴルフ」を検証してみる

アコーディア・ゴルフ

さて、2018年のゴルフ業界の統計資料はどうなるでしょうか? 微増していたとしても、高齢化少子化で、これから爆発的に増える産業ではないことはたしかです。経験のない人をどうやってゴルフするように仕向けるか? 将来に向かって裾野を広げていくしかありません。そのヒントが、アメリカの爆発的な人気のあるゴルフ練習場「トップゴルフ」にありました。どんなことが集客の理にかなっているかを説明しましょう。



「トップゴルフ」は戦略的にしっかりしている

日本のゴルフ練習場は単なる「場所貸し」

まず、日本の練習場は、基本的に「待ちの姿勢」であることを念を押しておきます。単に土地が空いているから駐車場にして、オーナーは何も努力しないで収益を上げるのと同じで、ゴルフ練習の打席を作って場所貸ししているようなものです。オーナーの努力は、基本的に設備のメンテナンスくらいしかないでしょう。積極的に店づくりや広告を行うことはありません。これがそもそも、「商売」ではないと言いたいのです。

↓↓↓「トップゴルフ」のラスベガス店

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それに比べて、アメリカの「トップゴルフ」は隅々まで「商売」が徹底されていると言っていいでしょう。「トップゴルフ」がやっていることを知って比較してみると、どんなに怠慢?であるかもわかるでしょう。

トップゴルフは、現在では施設数を増やして約30店舗ほどで、イギリス、メキシコなど海外にも進出しているようです。

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一方日本では、純粋なゴルフ練習場は閉鎖していっているようです。そのうち日本にも、「トップゴルフ」がやってくるかもしれません。そうすれば、日本のゴルフ練習場が淘汰されてしまうかも。そうならないよう、打って出る必要があるでしょう。

ゴルフ場が閉鎖される一方、最近ではライザップなどレッスンやトレーニングを売りにしている業態が増えているようです。しかし、基本的に人間は教わることが嫌いな生き物なので、そう爆発的に増えるとは考えづらいのです。

「トップゴルフ」には、店づくりのうまさがあり、ゴルフをしない客層でも楽しめる工夫が随所に見られます。「商売」の基本です。”ターゲットを絞る”のではなく、できるだけ多くの人に来店してもらうように工夫するのです。それは、繁盛するに決まっています。

”ターゲットを絞る”方法はマーケティングでもよく言われますが、それは基本的に経営側の都合です。ターゲット絞れば商品開発や人件費などいろいろな意味でコストが下がるからです。しかし、お客様のニーズは様々です。絞ってしまうと、人数的には減るのは当然です。なので、「トップゴルフ」のようにさまざまなニーズに応えるように、作りこむのです。

その成果は、歴然です。「トップゴルフ」は平日でも45分待ち。土日になると3~4時間待ちになると言います。世界に店舗を増やすはずです。

 

「トップゴルフ」のすごい店づくりとは?

トップゴルフは、大きな施設のようです。ラスベガス店では107打席。4階建てのビルで、2階は待合室。3階、4階は打席はもちろん、ラウンジスペースも巨大にあるようです。

ゴルフをやらない人も楽しめる施設

待合室には超特大スクリーンとダイニングがあり、混雑していてもここでゴルフ番組などを見たり、食事したりして、時間をつぶすことができます。

3階、4階のラウンジには、バーカウンターなどがあり、飲食はもちろんお酒を楽しむことが可能です。

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後ほど打席の工夫も説明していますが、ゴルフ練習であってもゴルフをやる人だけにターゲットを絞るのではなく、できるだけいろんな人にいろんな用途で利用してもらった方が、滞留時間も増えてお金も使ってくれるのです。いわば、ディズニーランドのようなエンターテインメント施設に近くなります。

もちろん、ゴルフショップもあります。とはいえ、雑貨やウェアは、ゴルファー以外も購入してくれるでしょう。

打席はと言うと、6~7人が座れるだろうかと言う大きなスペースがあります。日本のゴルフ場は基本的に一人用です。ゴルフをやらない夫婦や子供と行っても、座席は1つしかないので退屈にさせてしまいます。「トップゴルフ」はそういうニーズにもちゃんと応えられています。

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また、ゴルフをやらない友人同士で行っても楽しめます。それは‥?

ゴルフクラブが打席ごとにおいてある

「トップゴルフ」の打席には、キャロウェイのゴルフクラブが男女用それぞれ7本ずつ置かれています。重いキャディバッグを担いでいかなくても練習ができるのです。これだと、会社帰りにちょっと練習したいと思っても、すぐにできますね。

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また、ゲーム方式になっており、グラウンドのにあるグリーンはターゲットになっていて、そこにボールを当てればポイントが付くシステムになっています。これならば、ゴルフ経験者はもちろん目標ができてモチベーションが上がるし、スイングが定まっていない非経験者もゲームとして楽しむことができるのです。そのうち、スイングもちゃんとしたものになってくるかもしれません。

↓↓↓気軽にできるのか、裸足でクラブを振る人も! グリーンがダーツのようになっているのがわかります。

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↓↓↓夜間は、イルミネーションできれいな感じに!

 

ゴルフ人口の裾野を増やす戦略

アメリカの「トップゴルフ」のこれらの施設の工夫を見るだけで、これは最初から緻密に練られた戦略であることが分かります。そうでなければ、ここまで作りこみができないからです。

明らかに、ゴルフをしない人でも楽しめる客層を取り込む仕組みであり、まずはゴルフをどんな形でもいいからやってみて、ゴルフというスポーツを知ってもらい、楽しさを知ってもらい、将来ゴルフ場でプレーできるようになってほしいという願いがあるように思います。

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それに比較すると、日本のゴルフ練習場、いやゴルフ業界は何もやっていないことがお判りでしょうか? ゴルフ練習場は、ゴルフを始める人のための大事な入口のはずです。もっと積極的にならなければなりません。

現在、ゴルフをやっている人(ゴルファー)以外の人たちは、潜在顧客です。ゴルフをやるかもしれない人々です。この「トップゴルフ」のように、その人たちに向けての施策を早々に開始すべきです。とってつけたような小さな戦術では、市場は動きません。

PGAでも、トーナメント内での工夫をようやく始めたようですが、それでは全然足りません。前から言っているように、業界(PGA、トーナメントプロ、レッスンプロ、ゴルフ練習場、ゴルフ場、ゴルフメーカー)で連携して、裾野を広げるように「打って出る」戦略を考えなければなりません。

一部では、現在ゴルフをやっている人を大事にしようと言う動きがありますが、これはつまり顕在顧客をターゲットにする施策であって、潜在顧客に対する戦略はないことになります。すると、現在の顕在顧客は自然減(つまり死亡)でいずれいなくなるわけで、今のうちに潜在顧客を顕在顧客としていかなければ、将来本当にゴルフ業界はダメになってしまいます。

 

店舗内での広告活動

「トップゴルフ」が商売を徹底しているな~と思うのが、店舗内でもスタッフは営業活動に勤しんでいるということです。

スタッフはお客様の各ブースに出向いて行って、さらにゲームを加えます。もしターゲットに当たれば「カクテルサービス」、お酒の飲めない若者であれば「キーホルダーを差し上げる」など、コミュニケーションを図るのです。

こういった期待以上のサプライズサービスが「固定客化」を促すわけで、とても理にかなっています。例えば、ディズニーランドに行くと、お掃除のスタッフが地面に「水絵」を書いて子供を楽しませるということがありますが、これもお客様にとってサプライズで期待以上のサービス(おもてなし)となります。実は、ディズニーランドのこの行為は、もっと高等技術で、「だからごみは落とさないようにきれいに使ってね」というメッセージも込められています。

↓↓↓こちらは、USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)の水絵。ディズニーランドだけでなく、今ではいろんなところで真似されています。

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どちらにしても、このような努力は「あの店がおもしろいから、また行きたい!」と再来店を促し、固定客化となって安定売り上げにつながっていくのです。

 

マーケティングであまり語られない「事前期待」の話

お客様と言うのは、無意識ですが、お店に行く前、つまり事前にある種の期待を持っています。その期待に沿ったものであれば満足するし、期待外れであると満足しません。満足したのであれば、「また行きたい」となって再来店します。満足しなければ、二度と行かないかも知れません。まったくゴルフに興味ない人にも、どうやってこの事前期待をつくっていくのかが広告のポイントでもあります。

これを、集客の達人では、「市場はお客様の心の中にある」と言っています。

この「事前期待」をよく把握して、店舗経営をすべきです。上記の「トップゴルフ」のように、期待以上のサービスやおもてなしがあった場合は、完全にお客様の心をつかみ、「固定客」となっていきます。そしてそれは、安定した売り上げにつながっていきます。

お客様の満足感は、現在ではSNSの口コミにもつながるでしょう。SNSがない時代、かつて筆者が店舗を営んでいた時、面白い施策がお客様の間で話題になり、喜んで話しているのを小耳にはさんだ経験があります。自分の試みた施策が功を奏しているのを確信したものです。

普段の店づくりも、お客様の期待に副える形になっているか? いつもチェックすることが大事です。

 

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