メールマガジンバックナンバー 大人の車学

【トヨタ・日産、比較検証】統一されたコンセプトは、いずれ市場が価値を決める!~世界が惚れたセルシオv販売不振に終わったインフィニティQ45~

2019/03/13

2018年11月、東京地検特捜部に金融商品取引法違反の容疑で、日産元会長・カルロス・ゴーン氏が逮捕されました。当方は、2000年に創刊したメールマガジンで、日産とトヨタの違いについて記事にしていますが、ある意味、これは日産とトヨタの違いを表す象徴的な出来事なのかも知れません。



この記事は、2000年8月18日にメールマガジン「集客の達人」に掲載されたものです。経営コンサルタントとして執筆しています。今回は、2000年8月18日にメールマガジンに掲載した記事を、画像、関連記事などを加えて再掲載します。

日産「インフィニティQ45」、トヨタ「セルシオ」の比較

日本の自動車の歴史の中で、バブルの象徴であるのが、セルシオ(1989~1994年)でありましょうか。 むろん、日産も対抗車種であるインフィニティ(1989~)を持っているのですが、その販売、実績、知名度から言って足元にも及びません。

トヨタ・セルシオのコンセプト

引用:トヨタ・セルシオ初代(Wikipediaより)

発売当初のある日、永年親しんだトヨタの営業マンに「一度セルシオに乗ってみてくれませんか」と言われて、予約注文が殺到する中、彼が苦労して用意した試乗車に乗ることになりました。試乗してしばらくしてから、「ナチスの行進の音が聞こえる…」と評すると、彼は「ギョッ!」と声が出るほど驚いていました。

「いやいや、すばらしく統一されていると言うことですよ。」と付け加えても、ベテランの営業マンである彼でさえ顔色を変えて、今にも掴みかからんばかりでありました。

しかし、本当にセルシオの足回りの路面の捉え方は。<安全にVIPを運ぶ+スポーツ>フィーリングに統一され、ボディー剛性とあいまって、しっかり感に感心するところがあったのです。

 

日産・インフィニティQ45のコンセプト

引用:日産・インフィニティQ45(Wikipediaより)

一方、比較するために、日産のインフィニティにも試乗してみました。

インフィニティの足回りは、アクティブサスペンションと言う、ロール、ピッチングを抑える高級なシステムを持っているのですが、当時のドイツ車的能力を持たせようとしているのか?<VIPを運ぶ>乗り心地に絶対の中心を置いたのか?、 コンセプトがどちらか判然としませんでした

実際の試乗した感覚も、何故かアクティブサスペンションの動作遅れの違和感ばかりが印象に残ってしまいました。

 

コンセプトの統一感は大事、その後のトヨタと日産の差

トヨタ・セルシオと日産・インフィニティの両方に試乗してみたところ、総評すると、好みの問題は別にして、外装、内装ともに統一感はセルシオが圧倒的でありました。 インフィニティについては、高級車だから許されたのであろうコスト的余裕を、”技術者の遊び”に使い果たしてしまった感がありました。

セルシオの決定打は、その「静粛性」であります。 その設計内容から「静粛性」をテーマとして、そこにコストを傾注していることがユーザーにもはっきりわかります。単に乗るだけなら不必要にも思われる静けさですが、それまでの自動車市場におけるニーズを≪叩き落す≫ほどの決定打でありました。

(↓↓↓このことは、後々世界の自動車製造にも影響を与えたことが、各メディアで確認できる。)

アメリカのあるジャーナリストは、当時こう語った。「こんな乗用車はかつて見たことがない。確かに、メルセデスSクラスを思わせるデザインだけど、実は室内の静粛性、走行時の快適性、室内とトリムの品質レベルとパワー感については、メルセデスもBMWもはるかに凌いでいる。ドイツのメーカーに危機感を与えるクルマだね」と。(上記事より引用)

 

セルシオおよびLS400の大ヒットは、海外の高級車メーカーにもインパクトを与えた。とくに走行時の高い静粛性や樹脂パーツの仕上げのよさ、そして製作時のコスト面などが脚光を浴び、結果的に従来の高級車造りの概念を大きく変えることとなる。デビュー後はトラブルの少なさ、装備品の信頼性の高さ、メンテナンス性のよさでも注目を集めた。さらに「大衆車メーカーでも高級車のカテゴリーに進出できる」という事実が証明され、後のフォルクスワーゲンなどの車種戦略にも多大なる影響を及ぼしたのである。

引用:【中年名車図鑑|初代トヨタ・セルシオ】きめ細やかな造りで世界中に衝撃を与えた“至上”の高級車

一方で、インフィニティは販売に苦戦しました。

インフィニティQ45は販売面では必ずしも成功したとはいえず、1993年のマイナーチェンジでグリルレスのデザインがグリル付きに変更するなどのテコ入れを図ったが、販売が回復することはなかった。

発売翌年の1990年には1万台を超える台数を販売したが、その後は年々尻すぼみ傾向を強め、1997年までの間に販売されたのは2万5000台弱にすぎない。

引用:松下宏のCroooober名車図鑑・インフィニティQ45(G50型)

つまり、「コンセプトの統一感」の良し悪しが、市場での価値を決めた例です。それが、経営の在り方にも影響するのは当然です。

 

大ヒットの生まれるコツ

その市場の人々が意識していなくとも望んでいる欲求を、どのような形で表現するのか?

それは、全体が1つのコンセプトに傾注し、統一されていることが大事で、≪目玉≫と思われる表現の決定打があって、大ヒットは生まれます。

「セルシオ」と「インフィニティ」の比較で見えることは、トヨタはそれを忠実に実行できており、日産はそれができていなかったのです。

残念ながら、<技術の日産は、”技術者”の日産>にすぎませんでした。

ビジネスマンなら知っておきたい、トヨタとマツダ資本提携のホントの意味



 

-メールマガジンバックナンバー, 大人の車学