2004年に考えた日本の課題 富の分配・食料自給率・エネルギー源・軍事費

日記

2004年に考えた日本の課題を覚書として記しておきます。主に、富の分配・食料自給率・エネルギー源・軍事費についてです。時が経ったとき、日本そして世界はどう変わっているでしょうか?



富の分配

世界人口の80%が発展途上国(開発途上国)に住んでいます。

引用:OECDのリストに基づく発展途上国の分布(ジェトロアジア研究所)

一方、日本は先進国と呼ばれて、世界の中でGDP第2位、一人当たりGDPで第6位の経済大国であります。幸せな国民生活であるはずです。

※2021年、日本はGDP3位(2位は中国)。2020年推計、日本は19位。(参考:1人当たりGDP、日本は19位 20年度推計・日経新聞)

その日本社会の中で成功者といえる人々はどのくらいいるのでしょうか。長者番付には7万5千人余りが載っています。日本の人口全体に占める割合は、たった0.059%程度です。

そして、世界の人々の中で1.18%の人々が成功者と呼ばれることになってます。

つまり…、それ以外の約99%の人々は“虫けら??”として??死んでいくのです??

 

日本の軍事費(2004年調べ)

日本は、軍事費ではGDPの1%枠を守っていますので、世界第4位です。それでもイギリス、フランス、ドイツなどを上まわります。

軍事費1位のアメリカがGDPの3.2%、2位ロシアが4.3%です。

もし、日本が2~3%間で増額し本格的に軍備を進めた場合、ロシアを抜いて世界第2位の軍隊を持つことが可能となります。アメリカの第7艦隊のような空母機動部隊を2~3個と戦略ミサイル搭載潜水艦隊などを保有することが出来ます。

技術レベルから見ても、北朝鮮など問題とならないほどの戦力となりましょう。これは、中国としたらどうしても避けなければならない事態です。

日本の食料自給率(2004年調べ)

一方、日本は、穀物を76%を輸入に頼っています。

ドイツ、イギリス、フランスなどは農業拡大政策を進めて自給率100%を越えてきています。これは、グローバル経済と関係が深いと見なければなりません。

企業が多国籍となるにつれ、国の利益と企業の利益とが必ずしも一致しないことが考えられます。自動車をアメリカに売り込みたいとき、トウモロコシや小麦を輸入する必要が出ることがあります。しかし、これらを国内で生産する方策を採ることが新しい産業となり得ることも判っています。これをコストが高いと切り捨てて良いのでしょうか。

 

日本のエネルギー源

日本の石油への輸入依存率が、ほとんど100%に近いことはやむを得ないことのように思えます。

引用:主要国のエネルギー輸入依存度(日本はエネルギー輸入依存度88% 主要国と比べると過度の依存度なのだろうかYAHOOニュース)

しかし、これさえも発電エネルギー源として石油に頼らない方法を強力に押し進めていけば、風力、波力、地熱など実用化を早めることが出来るかも知れないのです。

高コストの高速道路を造るのであれば、穀物自給率を高める努力や新しいエネルギー源を育てるために、補助金を出してでも税金を投入してくるべきでありました。アメリカの穀物戦略などを考えても、石油戦略による国策の制約に加えて穀物戦略による制約を受けるべきではありません。イラク戦争についての関わり方を見ても、制約が大きすぎるのではないでしょうか。

日本の軍事費と産業

日本では軍需産業は育っていません。

国家予算を押さえてきているからなのですが、その替わり建設関連産業が著しく拡大しています。

ブッシュ政権などアメリカの政権で軍需産業の影響力が大きいのは、国家予算に占める軍事費が大きいからであります。一方、日本においては、ゼネコンの政治に対する影響力の大きさは察してあまりあると思います。土建国家と言われるところです。

日本が途上国であった時には、生活や産業に寄与する投資がそれらによって直接出来たのであり、あながち悪いことではありません。しかし、大国となり多国籍企業が多くなってきた現在、軍需産業を含めた軍事力を持たない場合の国際関係での不利が目立ってきました。

軍事力の間接的影響

北朝鮮による日本国民の拉致に関して、有効な手だてを30年も打てなかった理由の一つが軍事力がないことでもあります。

最近のニュースでもあったように、リビアが核開発をあきらめたのは、アメリカの強大な軍事力をアフガニスタン、イラクで見せつけられたことが大きいのです。

国際関係は現在でも“戦国時代”と考えてよく、最後は力なのです。

多国籍企業が海外に進出出来る背景には、やはり最後は軍事力の背景が必要です。イラク戦争で見せたドイツ・フランスとアメリカの石油利権に関する攻防がよくそれを示しています。アメリカは、旧フセイン政権との契約を反故にしかねないのですから。

2004年に考えた、日本の課題4つ

2004年現在の日本の課題は、大きく見ると、

  1. ケインズ経済学からの脱出。
    小さな政府、地方交付金の見直しなど。
  2. ケインズ経済学からの脱出。
    小さな政府、地方交付金の見直しなど。
  3. エネルギー源の石油、原子力発電からの脱出。
    石油戦略の束縛からの離脱、地球環境問題に対する対策。
  4. 予算の建設関連から軍事費への移行の程度。
    多国籍企業の増加にどの程度対応するべきなのか。

と考えるべきでしょうが、本当は経済一辺倒の価値観から、どの様な文化的価値観へ移行すべきかの選択であると思います。

“99%の虫けら”は、あくまでも経済的尺度で見た場合の話であります。

私と同じように商売での成功を目指すみなさんには、正月早々冷水を浴びせることになりますが、無邪気に利益を上げることだけを考えていればよいものでもありません。

商売で成功する秘訣を追いかける前に、「自分が何をしているのか」を見つめる必要があります。

例えば、日本が石油にこれほど依存していれば、自衛隊のイラク派兵に議論の余地はありません。だから、民主党の理論も選挙目当ての空論にしか聞こえてきません。外務省のアメリカに“へつらう外交”を批判するのも空虚であります。

自分たちが現在の生活レベルを望むのなら、石油を得るために誰かを犠牲にイラクに送り出すしかないのです。反対意見を述べるのなら、夜は節約して電気を消さねばなりません。いやその程度で凌げるものではありません。

そして、グローバル経済などと無批判に浮かれるのであれば、軍事力を整備しなければなりません。

つまり、各人が自分の都合の良いことばかりを“つまみ食い”して全体が成り立つものではないのです。

経済的により発展したければ、アメリカを見るしかありません。アメリカのように“強く”なるのか、アメリカに“へつらい”続けて属国となるのか。中国、ロシア、インドなどが経済的に発展してくる中で、“きれい事”では済まされないことは明白です。

商売で成功を目指すことが、“一体何をもたらすこと”となるのか、自覚せねばなりません。
イラクに人道支援のために行く。それがどれほど空論であることか自覚せねばなりません。

 

お金では買えないもの…

昨年暮れも押し迫ったころ、ある事業家に会いました。鎌倉の日本料理の店で食事をしました。

彼の第一声は、「私は悪党です」との自己紹介でありました。

高齢であるのですが、第一線を退く気はないとのことです。がむしゃらに事業を大きくして成功をおさめたのですが、一方で、2年前奥様を亡くされたことが影を落としていました。

「お金で片づかない問題はない。」と豪語しているように、悠々自適の晩年であります。

しかし、ポツンと…。

「女房が倒れたとき、お金で命だけは買えないことを思い知ったよ。何でも買えると思っていた。おごり高ぶっていた。思い知らされたよ…」

「理屈では誰でも命は買えないものであることは判っているのであるが、実感としては何でも買えるように感じていた」とのことでしょう。

これはなかなか言えない言葉です。一方で、自分は悪党ですと言い、何でも買えるとおごり高ぶっていたと言えるのには、かなりの認識が必要です。

彼が、単に年齢をの積み重ねてきたのではないことがよく分かりました。人生観を感じます。

 

昨年、級友と「『自分は必ず死ぬ存在なのだ』と本当に自分自身解っているのだろうか?」と話し合ったとき、友人は「当たり前じゃないか、解っているよ」と言い切っていました。しかし、実際には…自分が死を迎えたとき、初めて知るのかも知れません。

 

「どうすれば儲かるのか?」「商売繁盛の秘訣は?」「売れ筋商品は何か?」。それだけを考えて過ごせるのは無邪気としか言いようがありません。

経済的にだけ人間を捉えているとしたら、自分も「99%の虫けら」になってしまうからです。

『自分は何をしているのか?』 これが今年の私の命題です。