日記 自動車

【トヨタの行く末】自動車産業100年に一度の激変

2017/05/18

週刊・東洋経済 4/29-5/6合併号
「トヨタの焦燥」
トランプ・次世代カー・系列 「三つの難題」

さすがに東洋経済で良く取材してまとめています。大変良くできた記事です。しかし、皆さんはこの記事が「間違い」ではないのですが、「ずれている」のに気付いているでしょうか?

EV(電動カー)移行による部品点数の激減は、一つの産業が消滅するほどのショックを社会に与えます。このショックの概念を捉えられていないようです。20年ほど先になるのでしょうが、日本国の存亡をかけて徐々に産業移行を進めなければなりません。その事態の認識がこの記事では感じられません。

➡【グローバル発注と系列】決め手は部品数激減


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「メルセデス・ベンツ」が昨年言い始めた4つのキーワードをもとに、週刊・東洋経済のこの記事は書かれています。

C:コネクテッド=ネットとの接続・A:オート=自動運転・S:シェア=自動車の共有・E:エレクトリック=電動化の頭文字を取ったものだそうです。全ては日本の私たちの身近にも迫っている情勢です。このキーワードに沿って、この記事は認識しようとしています。

トランプリスクについての認識や、HV(ハイブリッドカー)がエコカーとして認識されなくなる世界の燃費規制の動向、EV(電動カー)の開発の遅れなどで、トヨタは逆風の中に立たされていると解説しています。

そして、もはや系列ではなくサプライヤーからのグローバル発注が進んでいくとみて、トヨタの体制の不備を指摘しています。

これらを詳細な取材をもとに展開しているのですが、トヨタ、ひいては自動車産業全ての最大の課題は「部品点数の激減」にあることを見落としているために、大量の失業者とGDPを失うことを認識できず、これからの対策を見出すことは出来ていません。

トヨタの真の強みとは?

少なくとも現在までトヨタが世界で強さを発揮してきた、その力の元が何であるのか? これについての認識が、なぜか経済の専門家には欠落しているのです。トヨタの強み、日本の製造業の強さがどこにあるのか?経済専門家、政治家が認知できていないのです。

現在の自動車、つまりHV・PHV・FCVまでの自動車の部品点数は、50年前よりも格段に増えています。電子部品の増え方が多いのですが、機械部品の増加もHVで電動・エンジンの両方を積むのですから当然に増えてきました。

しかし、プリウスは競合するガソリンエンジン車・ディーゼルエンジン車と比較して、価格が目立って高いのでしょうか? HV車は数万円の価格差があるようですが、大差は起きていません。これでトヨタはVW、テスラなどに比較して利益率が高いのです。トヨタがEVを造ると利益率の向上が見込まれます。

それは「造り方」にトヨタの真の強みがあり、それが部品点数の減少により発揮できなくなるのです。

系列でこれまでやってこれたのは、サプライヤーと比較してもこれまでは、総合コストが安いので成功出来てきたのです。これが部品点数が減少すれば強みにならないばかりか、メガ・サプライヤーの出現で、生産量の差から、開発費の回収に差が出て、系列の部品製作数ではコスト的にも勝てない状況が出る危険があるのです。

これまでは一歩先を行く生産方式でコストを削減し、高い収益率を誇ってきたのですが、部品点数が少なくなれば、新部品の開発費用の差がでない以上、開発費の回収は生産数が多いことが有利になり、その生産技術のメリットが発揮できず、テスラと同じレベルで競争しなければならないのです。

経済学者も気付かない!トヨタ方式のメリットと今後

■金融緩和効果

産業革命以来、フォード方式(ロット方式)、GM方式(モデルチェンジ方式)、トヨタ方式(多種少量生産方式)と変遷してきたのですが、部品が多量であるほど生産方式に優れた企業が収益率を高めます。トヨタと日本は、このトヨタ看板方式と呼ばれる生産方式で世界をダントツにリードして、GM・フォード・クライスラーなどを追い詰めていきました。高度経済発展はこの生産方式によるところが大きいことを、いまだに経済学者は気付きません。トヨタ生産方式が「金融緩和効果が非常に大きい」ことを理解できないのです。

現在の金融緩和政策の規模より当時は桁の違うほど大きな金融緩和効果が「トヨタのカンバン方式」でもたらされているのです。現在、この生産方式を取らない製造業は「職人技」で生きていける産業に限られます。

■品質管理レベルの低下

そして、もう一つ「大量の部品点数でありながら故障が少なくメンテナンスの手間のいらない製品」であることです。

EVはHVの1/10の部品点数であるとも言われていますが、これは「求められる品質管理技術が次元の違うレベルで済む」ことを示しています。

品質管理は自動化・治具・マニュアルの整備など多種の管理方式で出来上がっています。部品点数が大量であるほど、「品質管理技術が必要」になり、世界に広がる巨大な工程がある中では、「注意します」では済まされない「組織運用」が求められます。このことは、ごく少数の経営者でないとなかなかわからないでしょう。どれほど自動化が進んでも所詮は人間の介在があるのであり、システム化を進めるのも人間です。人間の「やる気」をコントロールできる組織運用が求められているのです。トヨタ生産方式の基礎をなすのが、高度な組織運用であり実現するのが大変難しい技術なのです。

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コンピュータソフトのバグはA I のレベルでは大変危険なことで、ドローンなどの実用化にとっても、大変高いハードルです。

これらの品質を高いレベルにするには、人の意識の管理が出来なければなりません。EVでは部品点数が激減するので、その品質管理レベルも低くて済む範疇になるのです。現在のトヨタの品質管理でも危険なレベルがあるのであり、大量の部品で構成される限り、品質管理のレベルを高めないと危険は回避出来ません。A I による自動運転を進めるのであれば、機械による故障、不良は根絶しておかねば理不尽な犠牲が起きる危険が現状よりも高くなります。

■ファッション産業化・!?

この品質管理技術レベルも、EV化されると現状のトヨタよりも原始的方式でも対応できる可能性が出てくるのです。現状のトヨタの技術レベルの優位性が、業績としてそれほど反映されない産業となっていくのが自動車産業です。もっと商品企画のアイディアレベルで実行できてしまう産業となるのです。

自動車メーカーがやらなければならない仕事が、商品企画やデザインなどに集約されて、製造分野の開発、製造はメガ・サプライヤーの仕事となり、メンテナンスも部品が共通化されることで、メーカーのディーラーで行う必要性がなくなり、販売チャンネルもネットに依存する度合いが増え、自動車メーカーの役割は商品企画に集約されていくのでしょう。すると産業の特質としては、家電・アパレル分野に近くなっていくのでしょう。

自動車産業は、すそ野を電子部品分野に移行しながら、そして機械製造分野の比率を大幅に落としながら、知識集約型産業の質をソフト分野に偏る形で収れんしていくことになるのです。

製造業の本質を認識しない経済専門家諸氏には、EV化が進んだ自動車産業の後に、新規の産業で雇用を生み出さないと、大量の失業者が出ることを認識してもらいたいものです。EV化の進行により、日本の名古屋も「ラストベルト」になるのは目に見えていることです。

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