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空母「クイーン・エリザベス」が日本にくる!アジアに派遣される空母打撃群の威力とは?

2021/07/24

4月イギリス国防省が、英海軍のクイーン・エリザベス級空母「クイーン・エリザベス」を空母打撃群と共にアジアに派遣すると発表しました。その中に、日本も含まれています。なぜ、イギリスの空母が日本にやってくるのでしょうか??(画像引用:BESTHQWALLPAPER


なぜ、イギリス空母「クイーン・エリザベス」はアジアにやってくる?

英空母「クイーン・エリザベス」と、その空母打撃群(CSG)がアジアに派遣されます。5月に出港し、派遣期間はおよそ6カ月と言われています。

日本にも寄港する予定ですが、入港地はまだわかりません。横須賀か佐世保になると言われています。

CGI: HMS Queen Elizabeth with Type 45 Destroyer"CGI: HMS Queen Elizabeth with Type 45 Destroyer" by Defence Images is licensed under CC BY-NC 2.0

 

中国が香港に”手を出した”ことを怒っている!

ご存じの通り、香港はアヘン戦争によりイギリスに割譲された。18世紀のことだ。その後植民地となり、イギリスの資本が投下されていくと自由貿易港として大きく発展を遂げ、香港はアジアにおける要所となった。

そういうことで香港は、中国本土とはまったく違った歴史をたどることになる。

そして20世紀に入り、本土中国では共産党と国民党が政権闘争を行い、蒋介石率いる国民党が香港に入る。その間に、香港では香港ドルが法定通貨になり、日本の統治が4年ほどあったが、再びイギリスの統治下になった。

中国本土をよそに経済発展を続けていく香港は、国際的な金融センターとしても地位を確立していく。

その後、香港は中国に返還されることになる。「1国2制度」の誕生、つまり【中国は共産主義】だが【香港は資本主義】をとることになった。1997年7月、中国は香港(イギリス)に『外交・防衛を除く分野で高度の自治を50年間維持する』と約束している。

50年ということは2047年までということだが、2021年、中国(全人代)は【香港の民主化に歯止めをかける選挙制度改変】を決めた。事実上の「1国2制度」廃止とも思われる。

これに怒ったのはイギリスだ!

中国が、50年という香港(イギリス)との約束を反故にしたからだ。

↓↓↓中国の暴政は続きます!香港の民主派新聞である蘋果日報(通称・りんご日報)が廃刊に追い込まれました。後日中国は、主筆を務めていた馮偉光氏を香港国家安全維持法(国安法)違反容疑で逮捕。中国という国は、『言論の自由』がないのです!

イギリスは、香港の権益を中国に取られたくない!

もう1つの大事な理由は、経済的なことだ。

イギリスの植民地となったことにより香港は経済的発展を遂げ、イギリスにとっても巨大な権益になっていることは、紛れもない事実。イギリスが香港を経済的に育てたと言っても良いのかもしれない。

香港にはイギリス系企業であるスワイヤ、ハチソン、HSBCなどがあるし、今でも金を産む場所なのだ。

しかし、中国がそこに触手を伸ばしてくるとなったら、これからはイギリスも安穏としてはいられなくなるのだ。

でも、そこでなぜ空母派遣ということになるのか? それを以下に説明しておこう。

 

一般常識:「空母打撃群」の威力がすごい!

英空母「クイーン・エリザベス」は、一隻でアジア海域にやってくるわけではない。【空母打撃群】という一大艦隊を引き連れてやってくる。

この空母打撃群というのが国際情勢を把握するには大事なキーワードである。空母打撃群とはどういうものか?一般常識として踏まえておこう。

空母打撃群の世界最強は、アメリカだ。その規模は、米空母打撃群1つで小国の空軍の打撃力と同等であり、それを11空母打撃群も持っている(艦隊は10)。これが世界の海を回遊して睨みをきかせいる。「世界の警察」と言われる所以だ。

つまり、空母打撃群を派遣する意味の1つは、軍事力の誇示、脅威であることを見せつけることにある。それだけでなく、紛争地域に出張っていき支援をすることもある。

今回の空母「クイーン・エリザベス」を指揮艦とする英空母打撃群が、アジアを含むインド太平洋海域に派遣されるのは同様で、軍事力の誇示と同盟国との強化が目的だ。

「空母打撃群がやってくる」とニュースを聞いたら、何か世界情勢が動いているのだなと俯瞰してみるといいだろう。

今回は、もちろん中国の覇権主義に対抗するためと思われる。

 

英空母「クイーン・エリザベス」は最強ではない

さて、今回のニュースで、よく「最新鋭」空母と評されている「クイーン・エリザベス」だが、世界で「最強の空母ではない」から勘違いしないようにしよう。イギリス海軍史上最大ではある

以下、米原子力空母の最新鋭「「ジェラルド・R・フォード」と比較すると一目瞭然だ。

アメリカ原子力空母との比較

【英空母「クイーン・エリザベスのスペック】

基準排水量 45,000トン
満載排水量 67,669トン
全長 284m
最大幅 73m
水線幅 39m
吃水 9.9m
最大速力 26 ノット
航続距離 10,000海里(18,520 km)
乗員 約1600人 うち操艦要員:679名[1]
兵装 ・ファランクスCIWS3基
・30mm単装機銃4基
搭載機 F-35BV/STOL機
・ヘリコプター
(合計して平時約40機、戦時には最大48機)

【米空母「ジェラルド・R・フォード原子力空母」のスペック】

満載排水量 100,000トン以上
全長 332.84m
最大幅 78m
主機 蒸気タービン 4基
原子炉 A1B加圧水型原子炉 2基
推進 スクリュープロペラ 4軸
最大速力 30kt
乗員 個艦要員2,180名
航空要員2,480名
兵装 ・ファランクス CIWS 3基
・ESSM短SAM 8連装発射機 2基
・RAM 近SAM21連装発射機 2基
搭載機 75機以上
レーダー AN/SPY-3 多機能型 1基 AN/SPY-4広域探索型 1基

※ここで特筆しておきたいのは、「ジェラルド・R・フォード」の運用効率がニミッツ級空母に比べて3割上がったというから、これはすごいことだ。最近、アメリカの空母打撃群はそうでもなくなったようなことを言う記事も見かけるが、つまり、これはオペレーション技術が成熟して効率が上がったということ。ビジネスにおいても、効率を考える上でまた応用できることなのではないかと考えている。

 

英空母「クイーン・エリザベス」の特長

では、空母「クイーン・エリザベス」の特徴を簡単に挙げてみよう。

艦橋が2つある

前方は航海用で、後方は航空管制用。通常は、艦橋は1つのことが多い。

クイーンエリザベスの動力は原子力ではなく、ガスタービンで発電機を回す統合電気推進方式を採用している。(電気モーター2基で10万馬力の推力)

ここは、最新鋭と言えるかもしれない?

これは日産自動車のeパワーのようなもので、艦のスペースを有効に使えるため、艦橋を1つにまとめることなく重量半分を自由に行えた結果ではないか?と思われる、

 

スキージャンプ型飛行甲板

下画像のように、飛行甲板がスキージャンプ台のようになっている。↓↓↓ちょうどF-35Bが離艦するところが面白い!

スキージャンプ型飛行甲板を持っている空母で最近話題になったのが、中国海軍の遼寧だ。カタパルト技術を持っていないためと思われ、まだまだ未熟と言われている。

しかし、先進国の英空母がカタパルトを装備できなかったのは、コストの問題か?

 

近接防空 CIWS(シウス)など兵装が軽微

空母「クイーン・エリザベス」の艦載兵器には、近接防空システムのファランクスCIWSと機銃しかない

それは、空母に極々接近した対艦ミサイルなどを落とす力しかないということになる。射程距離が長い防空については、イージス艦に任せておけばいい?と言いたいところだが、最近の最新鋭の軍事オペレーションの考えは変わってきているようだ。

最新鋭の米空母「ジェラルド・R・フォード」を見てみると、射程距離による3段階の防空兵装まで持っている(上記)。

それは、対艦ミサイルの性能が上がっているからだ。つまり、近接防空システムだけでは空母を対艦ミサイルから守れなくなっている

そうなると、やはり英空母「クイーン・エリザベス」は最強とは言えないのだ。

大雑把にまとめてみました。

もう1つ、英空母「クイーン・エリザベス」はフランスとも協力して、ヨーロッパの代表として運用されていることも注目しておきたいところです。

そして、日本にとって、今回の英空母「クイーン・エリザベス」のアジア派遣は、日本が民主国家として中国の覇権主義に対抗するために、力強い味方でもあります。

※もっと「空母打撃群」のことを知りたければ【トランプ大統領にとっての武力攻撃(1)】最強!アメリカの空母打撃群



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