AI自動運転技術に見る「産・学・軍」共同開発の是非を問う! アインシュタインも言っていた「科学者の良心」とは?

日記

学問の自由とは、「学問的活動において外部からの介入や干渉を受けない自由」のこと。しかし最近は産学協同または連携が当たり前となってきた。その中で、大学が軍事研究を辞退する動きが盛んになってきた。京大もこの姿勢を明確にしたようだ。学生運動が下火になって以来、長年、関心が薄れてきた「人類史上に関わる命題」だろう。



 

 

 

 

 

 

「産・学・軍」共同開発の是非

いま、「産・学・軍」共同開発の是非が問われている。

長い人間の歴史の中で、むしろ当然のように行われてきた「産・学・軍」共同開発だが、先の第1次、第2次世界大戦で、戦争による犠牲者が多大になるに従い、軍事研究に対する疑問も出始めていた『科学者の良心(科学者の社会的責任)』との言葉が打ち出されて、産業界、軍事研究とは大学が一線を引いた姿勢が当然となっていた時期もあった。現在はむしろ昔に回帰して、「産・学・軍」共同開発を疑問視する意識も遠のいている。

そんな中で、AIによる自動運転技術は、今や花形産業だ。そしてその応用は、むしろ軍事技術として利用価値が高い。

いまや兵器のAI化は避けることはできず、急速に進歩している。AIの処理能力は人間をはるかにしのぎ、いずれは人間の能力を上回ると言われている。映画「ターミネーター」は、タイムマシンはともかくも、現実の世界となる可能性を秘めている。

※上記にある最近のニュース(2018.3.14)で、グーグル(Google)は、AIとドローンについて、国防総省(ペンタゴン)と契約を結んでいることを認めたが、詳細は明らかにしていない。多くの従業員を不安にさせた。

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核兵器開発は何を教えているのか?

最も身近なのが、「核兵器」の研究だ。現在も、北朝鮮の核兵器の脅威にさらされているのが日本の立場だ。また、過去にアメリカ軍の核攻撃を受けたのも日本であり、いま核兵器の脅威から日本を守っているのも、アメリカの核の傘だ。

かつて、オッペンハイマーが中心となり、現実の核爆弾を製造し使用しようとしていた時、核エネルギーの予言をしたアインシュタインは、核爆弾開発に反対した。
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アインシュタインは、

「私は人生で一つ間違いを犯した。ルーズベルト大統領に対し、原子爆弾を作るよう勧める手紙に署名したことである。」

「たとえ国家が要求しても、良心に反することはしてはならない。」

と言っている。

アインシュタインが核兵器の脅威について認識していたかどうかは、はなはだ疑問だが、彼が理論的に核エネルギーの存在を示した動機は、純粋な科学者としての探求心であったことだろう。理論物理の世界であるので、核兵器がもたらす世界情勢までその時、理解していたとは思わない。

↓↓↓こちらの本は、あのフロイトとアインシュタインが戦争、そして人間の本性について真摯に語っているもの。人間の攻撃や破壊への欲望は、生来備わっているもので、戦争はなくならないということ。また、「良心」でさえ、攻撃性の内面化から生まれるという。

 

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「科学者の良心」とは? 国産ロケットの父に学ぶ

かつて、日本の宇宙ロケット開発に大きな貢献をした、当時の東京大学宇宙航空研究所の糸川英夫博士は「慣性誘導装置」の開発を拒んだ
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それは、人工衛星打ち上げロケットは即座にICBMになるからだった。彼は、慣性誘導装置の替わりにスピンを用いたが、ライフルの弾と同じで、風などの影響があると軌道を修正出来ずに、人工衛星の打ち上げは幾度となく失敗を重ねた。現在の人工衛星打ち上げ用ロケットは日本でも慣性誘導装置を備えており、ICBMへの改装は容易だ。

しかし、糸川英夫博士は科学者として核戦争の道具の開発を拒んだのである。

当時は、「学問の自由」についての認識が現在と比較にならないほど高く、「兵器の軍学共同開発」など思いもよらなかったのだ。

↓↓↓こちらは、1974年10月に発売され、80万部以上の売上を記録したベストセラーの復刻版。「国産ロケットの父」と呼ばれ、「はやぶさ」が目指した惑星「イトカワ」の由来者としてもしられる糸川博士である。

 

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※上記、糸川英夫博士の「逆転の発想」は、40年以上も前の出版物であるが、今、読んでも非常に参考になる内容を含んでいる。彼の自由で独創的な思考は、現在の世の中を予言しているといってもいいだろう。これでこそ、本物の科学者ではないのか?

 

 

「学問の自由」の絶対的価値

学問の自由(がくもんのじゆう)は、研究・講義などの学問的活動において外部からの介入や干渉を受けない自由。(ウィキペディア

「学問の自由」は、一部の人にとっては現在では死語とも思われる言葉だろうが、これほど人類にとって貴重なものはあるまい

時の権力の目先の都合で利用されるのではなく、「人類の永続的な発展のため」だけに貢献するのが「学問」であるという認識が必要だ。そのため「大学の自治」も尊重され、時の権力が直接、間接に関与することを警戒しなければならない。

学生運動華やかかりし頃、東大などで学生の学内デモの行動に対して、はじめ大学は機動隊の導入を躊躇した。それは、大学内に時の権力を象徴する警察機動隊を入れることは「大学の自治」ひいては「学問の自由」を放棄することになるからだった。

しかし結局、学生たちデモ隊の暴力行使に遭って、やむなく機動隊を入れて学内の秩序を回復することとなった。現在の学生たち、教授たちの常識では、「暴力を用いた者が悪」との認識であろう。(ネット社会を始め保守的な論調が強くなっている)

しかし一方で、「暴力でしか変えられない時の権力が存在する」ことも忘れてはならないのだ。つまり「テロリストの存在は、権力が作り出す」ものなのだ…。

↓↓↓こちらはいい教材になる本。右翼左翼の観点で、日本の歴史を勉強することができる。皆の考えているような単純なものでないことだけはわかるだろう。ただ、「人権」を重視するのがどちらなのか?よく考えてみよう。

 

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物事の判断が現在でも揺れる世界情勢の中で、人類がとるべき道において、立場や時の権力におごることなく見通せる力が、「学問」にだけあることを認識しなければならない。

現実での”妥協”があるとしても、全てを「ディール(取引)」と割り切ることは許されない。そのことを世界最高権力者のアメリカ大統領は踏まえて、核武装解除を北朝鮮に求めることが必要だ。そこに、核武装の先輩であるアメリカの「核拡散防止」についての矛盾がある

 

AI自動運転技術は人類すべてのもの

さて、前置き(事前知識)はこのくらいにして、本題だ。

現在、AI自動運転技術の開発競争はし烈だ。その中にどっぷり浸かったように、技術的先進性のみを問題としている大学教授が多くいる。これらの教授は「学問の自由」の普遍的価値など、全く関知していない。「学問の番人」の自覚を大学教授の資格とする必要があるのだろう。いかにして資格を問うのか考えると暗たんとした気分になる。

AI開発が進んでくると、まず間違いなく「AI戦士」が生まれる。

これは戦場の機能に限定されるので、車の自動運転よりも容易いかもしれない。逆に「戦闘で人間性を問う」のであれば、車の運転より高度であるのかもしれない。しかし、どちらの研究も境は不明で、現在は技術を利用しあう方向で進んでいる。

国の指導者たちに、今ほど理知的能力を求められている時代は過去にあるまい。

日本においても、そのエリートたちが起こした「公文書改ざん」をみると、「教育の間違い」が鮮明になってくる。その教育は、現在の日本の受験体制で良いはずはなく、真のエリートを選ぶ基準を求めることが先であろう。

AI自動運転車開発過程で起きる事故を見て、技術的間違いを評価できない技術者が大変多いように感じさせる。産業革命の基準が「資金効率」でも、人間性の基準は「テロのない世界」なのかもしれない。

AIの技術は、世界に平等に開放すべきなのかもしれない。

そうすれば「兵器開発で先行する」ことが難しくなるからだ。クルマの自動運転などの技術は、世界共有の技術として国連で管理することも必要なのだろう。「核兵器」技術関連はそうすべきなのだ。

↓↓↓AIを用いた軍事技術の研究センターを設置した大学、韓国科学技術院が、「開発をしないと確約するまで絶交する」と世界の研究者たち(ロボット研究の中村仁彦氏も含まれる)から絶交宣言を受けた。まだまだ、「科学者の良心」は健在である、と思ったのだが、その後、”開発が行われないことを確認した”として絶交宣言は解除された…。危うい…。