高度経済成長期の日産スカイラインのお話です。キーワードは、BC戦争、クール、羊の皮をかぶった狼、スカGね~です。
高度経済成長期のBC戦争とスカイライン
日本の高度経済成長期(1955~1972年ころ)、諸説があるのですが、「国民平均月給の10か月分で車が買えるようになる」とモータリゼーションがやってくる」と言われていました。
モータリゼーションとは、簡単に言うと、一般的にクルマが普及した社会になることです。
皆さんは、BC戦争って知ってますか? Bは日産ブルーバード、Cはトヨタコロナのことです。
その高度経済成長期の当時、BC戦争と言われた小型車クラスのトヨタコロナと日産ブルーバードの価格が70万円程度であった頃は、スカイライン1500も同クラスの車両でした。
そこに、販売価格が50万円前後の大衆車クラスでカローラ、サニーが登場したため、日本にも本格的なモータリゼーションが訪れていました。
そんな時、スカイライン2000GTの販売価格は100万円を超える値段でした。
えー、スカイライン2000GT高い!!!
現在のBMWやベンツなどの500~600万円クラスの車の受け止め方であるのとよく似ています。当時の輸入車はアメリカ車がほとんどで、ポンティアックで600万円ほどでした。現在でいうと、1,200万円くらいの車の扱いでしょうか?
そんな高度成長が始まった日本市場で、あこがれのアメリカ的外観のロングノーズをひっさげたスカイライン2000GTが、レースでポルシェなどに挑んだのです。
出典:ウィキペディア/スカイラインGT-B
https://ja.wikipedia.org/wiki/日産・スカイライン
スカイラインは、「羊の皮をかぶった狼」だ!
スカイライン2000GTが登場した時、「羊の皮をかぶった狼」との言葉がはやりました。これは外見は何気ないセダンにしか見えない車が、走ってみると狼のように猛々しい姿を称したものでした。現在の日産GT-Rは「狼の皮をかぶった狼」?と言えますが、これは世相を理解してみないと分りにくいものです。
2000年代は、オリンピックの選手でも「必ず優勝します」などと壮行会で断言するのが「カッコよい」のでしょう。でも、スカイラインGTが登場した時代は、謙そんしていながら結果を出すのが「カッコよかった」のです。それで「クール」という言葉がはやりました。
現在は、テニスの松岡修造氏のように熱血漢であることが強くなる方法でしょうが、その当時は闘志は内に秘めて冷静に狙っていくのが良かったのです。
そんな世相の中で、日産スカイラインがハコスカ(箱スカ)と言われたように、外見は普通の箱型のセダンでありながら、走ればスポーツカーであることが「スカGネー~!」と流行り言葉になりました。クールだね~!と言う意味です。
そんなふうにスカイラインGTを称えいた時代でした。
今だと「かわいい~!」「カッケ~(かっこいい)!」と言うでしょうね。
出典:ウィキペディア/スカイライン2000RS(DR30型)
https://ja.wikipedia.org/wiki/日産・スカイライン
1981年スカイライン2000RS(DR30型)
そして、高度経済成長期を抜けると、日本にバブル景気がやってきます。
1981年に、スカイライン2000RSが発売されます。直列4気筒4バルブDOHC FJ20Eエンジン(150PS/6000rpm、18.5kg/4800rpm)。
1973年から途絶えていたスカイラインGT-Rの登場かと騒がれましたが、4気筒エンジンであったこと、性能がそれほど向上したわけでもなかったことなどからGT-Rを名乗りませんでした。
当時、GT-Rの名は日産にとってすでに神聖化していたのでしょう。
私も、このスカイライン2000RSを試乗してみました。
街乗り程度ですので実力は分りませんでしたが、重心が腰高の印象を受けました。大型化したボディーの影響でしょう。なので、購入には至りませんでした。・・・➡【日産GT-R物語(6)】羊の皮をかぶった狼[2]