【2016 NISSAN GT-R物語(9)】初代スカイラインGT-R[3]

日産とGT-R物語

日産倒産の原因か?

C10GT-Rの技術的注目すべき点は、エンジンのほか4輪独立懸架のサスペンションと、あまり紹介されないところでは「サーボシンクロ(ポルシェシンクロ)MTミッション」にあります。

【日産GT-R物語(8)】初代スカイラインGT-R[2]➡

独立懸架のメリット

ISUZU公式サイトから引用:http://www.isuzu.co.jp/semi/truck/05_2.html

独立懸架式(インデペンデント・サス)

それぞれの車輪を別々のサスペンションで支える方式。操作性にすぐれ、快適な乗り心地とすぐれた小回り性を発揮します。小型トラックは、市街地を走ることが多いため、フロントのサスペンションとして採用している場合があります。

 独立懸架
車軸懸架式(リジット・サス)

左右一体の車軸を支える方式。構造がシンプルで耐久性にすぐれていることから、多くのトラックに採用されています。しかし、片方の車輪が受けた路面のショックが、他の車輪に伝わるため、乗り心地が悪いという欠点があります。

 リジットアクスル

トラックではこのように考えられていますが、乗用車、さらにはスポーツカー、GT、レースカーとなるとコーナリング限界などの性能がよりシビアに現れてきます。そのため現在ではトラック、SUV以外ではリジットアクスルの採用例がほとんど見られません。
しかし、初代スカイラインGT-Rが登場した当時では、トヨタ・コロナ1600GTでもリジットアクスル、ワーナーシンクロでありました。その当時のブルーバードSSS、スカイラインGTでは全輪独立懸架でポルシェ・シンクロでした。

写真出典:日産自動車公式サイト/フェアレディーZ6MT

http://history.nissan.co.jp/Z/Z34/1207/performance_mission.html

フェアレディーZ6MT

写真は現代のフェアレディーZ・シンクロレブコントロール付6速マニュアルトランスミッションです。これはシフトダウンしようとすると自動的にエンジン回転と同期するようにコントロールされ、あたかもダブルクラッチを踏んだようになります。

スカイライン2000GTーA・Bが登場した当時、乗用車はタクシー仕様を中心にコラムシフトになっていましたが、スポーツタイプではフロアシフトが良いとされていました。レースでは素早いシフトは必要不可欠で、それを実現するためレーサーもダブルクラッチなどで対応していました。

それはギアチェンジの際には歯車の組み合わせを変えるため、歯車同士が同じ回転にならねば破損してしまいます。歯車間でクラッチのようなもので押し付け合って摩擦させてシンクロさせる構造になっています。これはCVT以外では現在も基本的に同じ構造です。

写真出典:wikipedia/シンクロメッシュ

https://ja.wikipedia.org/wiki/シンクロメッシュ

MT図

このクラッチとは別に、図にはありませんがギヤ間のクラッチの役割をするのがシンクロナイザーで、ポルシェが発案したと言われる、シフトレバーを動かすとシンクロする力が強くなる構造をしたものをサーボシンクロと呼んだのです。これで素早くシフトレバーを操作してもギヤを破損することはなくなるのですが、シフトフィーリングはむしろ「グニャッ」とした感じになり嫌う人もいました。しかし、当然にコストがかさむのであり採算は低下します。

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ブルーバード、ローレル、フェアレディーなどの4輪独立懸架、ポルシェシンクロと言い、日産はコストがかさむのをいとわず、技術的にはトヨタを大きくリードしていたのが当時の情勢でした。市販車のサスペンション・ミッション・エンジンではトヨタとは大差があったと感じます。しかし、この考え方が、後に日産の倒産の原因となるのです。すなわち、マーケットリサーチにより、お客様が望むものは「至れり尽くせり」として、お客様が評価できないものは「過剰品質」と捉える考え方でした。・・・つづく

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