2019年のホンダF1マシンの走りを見て、ホンダエンジンのポテンシャルが上がってきたと感じた!うれしいことだ!このままいけば、2020年ももっと勝利を勝ち取ることができるだろう。しかし、NHKの番組を見た途端、落胆してしまった…。ホンダの企業風土において、真のホンダ魂を失っていることだ…。
2019年、ホンダF1のポテンシャルが戻ってきた!
【1月1日夜】F1で劇的な復活優勝をとげたホンダ。2015年に復帰以来、低迷にあえいできたが、6月のオーストリアGPで13年ぶりに優勝。
19年シーズンのレースを振り返るとともに、舞台裏を記録した初公開映像も!ワンチームで新技術を追求する日本企業の姿を伝えます。[BS1]https://t.co/p1EF9uoqX2— NHKドキュメンタリー (@nhk_docudocu) December 29, 2019
ホンダ、13年ぶりに優勝!!!
ホンダは、2019年F1オーストリアグランプリで13年ぶりに優勝。ドライバーは、マックス・フェルスタッペン。
優勝は、2006年ハンガリーグランプリ以来のこと。
レジェンドなってしまったアイルトン・セナが、最強マシンであるマクラーレンホンダを駆る黄金時代の姿が瞼に焼き付いている世代にとっては「やっとか~…」という気分である。とてもとても長い時間だった…。
しかし、今年のホンダF1マシンの走りを見ていると、あのポテンシャルが蘇りつつあるのだと思う。他チームの評価を見ても、2020年のホンダF1に期待を持たざるを得ない。
しかし、なんとも不安がよぎるのは、ホンダF1チームの体制に内在するものだ。これは、以前のNHKスペシャル番組を見た時と同質のものだ。それはホンダF1黄金時代のものとは違うし、本田宗一郎氏が率いていたホンダという企業体質とも違うものだ。
ホンダの文化「ワイガヤ」はもうない!?
NHK BS1スペシャル「13年ぶりの栄冠!ホンダF1はなぜ勝てたのか」を見てみたら、やはりホンダの病が見えた。
パワーユニット改良にホンダジェットからの助け
【F1-Gate】 ホンダF1 特集 | ジェット機部門がすぐに見抜いたMGU-Hの問題点: ホンダのF1パワーユニットの信頼性の向上にはホンダジェットの航空エンジン部門の助けがあった。… https://t.co/RYMIOaCDpD #F1JP pic.twitter.com/NjUarBtyP8
— レッドブル・ホンダ NEWS (@F1JP_News) January 3, 2020
2019年レッドブルと組む前のマクラーレン時代には、大きな問題を抱えていた。マクラーレンからの要求で狭い空間にエンジンを納めるため、物理学に反したエンジンを作り続けていたのだ。それについては、以前の記事でも指摘している。
➡【ホンダF1エンジン、瀕死】マクラーレンはメルセデスと契約か?
その後、そのことに気付いたのか?私が指摘したとおりにホンダは、『パワーユニットの設計を大幅に見直した。MGU-Hを大型化し、パワーアップを目指した(上記事引用』。
しかし、そうしたことによって今度はシャフトに問題が生じた。
『そこで浅木泰昭はホンダジェットのエンジンを開発する部門に助けを求めるという異例の決断をする。ホンダの航空機を開発する部門がF1に関わるのは初めてのことだった(上記事引用)』。
「本当にこれ回ってたんですか???」
航空機のターボファンジェットエンジンと、F1パワーユニットのMGU-Hとは構造や仕組みが似ていて、ホンダジェットのエンジン開発担当者はトラブルの原因はすぐにわかったという。
彼曰く『本当にこれ回ってたんですか???』『あー、やっぱり』
って、物理をわかっていたら気づきそうなもんだけどな…と、私も思う!
シャフトには固有の振動数というものが必ずできて他の部品の振動数と共振してしまう。その振動数を制御することくらい思いつくだろう。
だから、ホンダジェットエンジン開発担当者は、シャフトを場所によって太さを変えてみたり、ベアリングの位置を変えたり増やしたりして共振を止めていったのだ。
エリートと標榜するホンダ社員、それも研究所スタッフの質について、SNSで危惧する投稿もあったのもうなづける。
※現在の「ホンダの危機」を象徴するような記事を見つけてしまいました。『新卒で入社した本田技術研究所をたった3年で退職しました』です。彼の想像していた会社は「本田宗一郎のホンダ」でしたが、実際はそうではありませんでした。記事を読んでいると、現在のホンダの病の様子がよくわかります。
※もう1つ、BS11(ほかAbemaTVなど)でも最近毎週放送されるようになったディスカバリーの「名車再生!クラシックカー・ディーラーズ」のエド・チャイナっていう名うてのエンジニアリングを見習ってほしい!
今夜の名車再生クラシックカーディーラーズはマセラティ3200GTをやるから必見だな😎👍 pic.twitter.com/5nUmaj6sep
— 🐍Alfa🍀 (@FerrariHn17) January 4, 2020
伝統の「ワイガヤホンダ」にセクショナリズム???!
もう1つ驚いたのが、『ホンダの航空機を開発する部門がF1に関わるのは初めてのこと』というのを聞いた時だ。
オヤジ(本田宗一郎氏)が生きていたら、きっと「お前ら、なにボヤボヤしてる!!!」とお叱りを受ける場面だろう。同じ「仲間」に助けを借りないなんて!もはや、今のホンダに「ワイガヤ」はない…。
おまけに、F1開発責任者が語ったのは、『一発で直ったのはすごかったですね。びっくりしました。自分の会社ながら、わが社のなかには凄い技術力があるんだなという、正直凄いなと思いましたね』…。
「助けを求めるという異例の判断」?「初めてのこと」?
そんなことはないだろう。本来(かつての)ホンダにセクショナリズムはないはず!
「自分の会社ながら」?
ホンダの誇りはどこへ行った?!仲間意識もぜんぜんない(>_<)!
「前例が無い」「当社としてふさわしくない」「ルールがこうなっているから」なんていうのは「お役所のお決まり文句」であって、本田宗一郎が一番嫌がることではないのか???
とにかく、結果的に、ホンダF1エンジンはホンダジェットの力を借りることができ、本来あるべき力を発揮することができた。しかし、こういう病がホンダに残ってしまっていることも事実。
これからは、その処方箋を自分たちで見つけるしかない。これを機に「ワイガヤ文化」が戻ってきてほしいものだ。
さて、ホンダF1は黄金時代のような結果残せるようになるのだろうか?
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