自動車整備業界の崩壊?ある整備士が見たブレーキ部品の脱落が語るものとは?

日記

ある整備士YouTuberの告白が暴いた、自動車整備業界の静かな崩壊?…

はじめに——走行中の「異音」が意味するもの

滅多にないですが、走行中、突然聞こえてくる正体不明の異音ほど、ドライバーを不安にさせるものはないですよね。

「えっ、パンク?」「どこかぶつけたかな?」——そう思いながらも、とりあえずそのまま走り続けてしまう人は少なくないかもしれない。
実際、今回取り上げる出来事もそこから始まったらしい…。

香川県の自動車整備工場「大林モータース」を営む整備士YouTuber・大林亮介氏のチャンネルに、ある日一台の車が持ち込まれたという。
走行中に「カコンカコン」という異音がするという訴えだった。お客さんはまず近くのガソリンスタンドに飛び込み、スタッフに見てもらったところ「ブレーキの部品が一個なくなっているようだ(>_<)」と告げられた。スタンドのスタッフは応急処置として仮のボルトを入れ、「大林モータースへ行くといい」と紹介してくれたという。

大林モータースへ持ち込まれた車はリフトアップされ、足回りを覗き込んだ大林氏が見たものは

——ブレーキキャリパーを固定するためのボルトが、一本、きれいに脱落している光景だった。

※本記事は、YouTubeチャンネル『大林モータース』の動画
『【この業界終わるで】ブレーキが外れた車が入庫しました…重大なミスですが、はっきり言って起こるべくして起こった事態だと思うので詳細をいろいろしゃべります。』
の内容を基に、自動車整備業界の課題について考察したものです。

第1章 ブレーキキャリパーボルトの脱落(>_<)——いったい何が起きていたのか?

まず、クルマにあまり詳しくない方のために、少しだけ説明を加えておきたい。

ケンゾー
ケンゾー

「ブレーキキャリパー」とは、タイヤと一緒に回転するディスク(円盤)を挟み込むことで、クルマを減速・停止させる装置のこと。
ブレーキペダルを踏むと油圧が働き、キャリパーの内側にあるパッドがディスクを挟む。この仕組みによって、あなたのクルマは止まっている。

当然ながら、キャリパーは車体にしっかりと固定されていなければならない。そのために使われるのが、今回脱落していた「スライドピンボルト」と呼ばれる固定用のボルトだ。

ケンゾー
ケンゾー

これが一本なくなったということは?
キャリパーがぶらぶらと宙ぶらりんの状態で走行していたことを意味する。

つまり、この状態でブレーキを踏んだら?しかもかなりのスピードが出ていたら?
考えただけでもゾッとする!

大林氏が「カコンカコン」という音の正体を確認すると、キャリパーが固定されずに揺れ動いていた。ブレーキを踏むたびに、本来固定されているはずの部品が動いていたのだ。

「じゃあ、なんで事故にならなかったの?」と思う方もいるだろう。

今回、車にはスタッドレスタイヤが装着されていた。
スタッドレスタイヤはサマータイヤに比べてホイールの内側の空間(クリアランス)が小さく、キャリパーがホイールの内側に引っかかるようにして脱落を免れていた。もし夏タイヤでのインチアップホイールを履いていたら——クリアランスが大きく、キャリパーはホイールごと吹き飛んでいた可能性が高い。その先に何が起きるかは、想像するだけで十分だろう…。

大林氏はこう言った。「起きるべくして起きた事態だと思う」と。

第2章 問題は「ミス」ではなく「その後」だった…安全に対する無知も

リフトから車を下ろした後、大林氏はまず整備記録ステッカーを確認した。

そこに記されていたのは、某大手の名前だった。大林氏は動画内で名指しこそ避けているが、「個人店ではない」「メーカーの看板が上がっているところ」と明言している。つまり、一般的に「安心」の代名詞とされているような場所での作業履歴が、そこには残っていた。

翌朝、大林氏は積載車に車を積み込み、その大手の店舗へと届けに向かった。前日のうちに電話で連絡も入れていた。

到着後、大林氏は車を下ろし、フロントへ歩いた。受付のスタッフが「いらっしゃいませ」と迎え、鍵を受け取った。

——でも、それだけだった………。(ここがミソ!)

責任者は出てこなかった…。整備士も姿を見せなかった…。「どのような状況だったか」の確認もなく、謝罪もなく、説明もなかった。大林氏が店内に滞在したのは10分にも満たなかったという。

ケンゾー
ケンゾー

つまり、大林氏がその店舗に車両を届けた際、受付スタッフによる最低限の対応のみで、責任者や整備士からの状況確認や謝罪、説明は一切なかったという…。
この事後対応の不誠実さに、大林氏は動画内で強い憤りを示している。

もし筆者が店長だったら、休み関係なくそっこう取りに行く。よくちょうにはスタッフ全員にこの件を共有して、来た瞬間に最善の対応ができるように準備しておく。
大林氏もまったく同じことを言っていたが、これってリーダーだったら当たり前の姿勢、マネジメントの基本!

この動画のタイトルには【この業界終わる】ってあるけど、ほんとに筆者も同感だ。
だって、商売になっていないから。信用がないから。
ユーザーから信用のない商売が今後も永く続くとは思えないから。

そして、大林氏は続ける。

『ミスそのものは、人間が作業する以上ゼロにはできない』
整備士も人間だ。ボルトの締め忘れ、確認漏れ——完全に防ぐことは難しい。しかしだからこそ、
「何かが起きた後にどう動くか」が、その店の、そしてその組織の本質を如実に映し出す。

あなたも車を買う時、そして整備をしたい時、そこが信頼できる整備工場かどうかを見極める基準を持ってほしい。
「ミスをしない店かどうか」ではない。「ミスが起きた時に、どう動くか」だ。

だってね、大林氏も机に突っ伏して嗚咽?してだけど、クルマって走る凶器ですからね。

何か順大な故障、つまり彼も言ってたけどインシデントがあったら乗員が死ぬのですから!
だから、
トヨタやホンダも交通事故死傷者ゼロ社会の実現を目指してるんじゃないの?
スバルもアイサイトを開発したんじゃないの?

このミスを犯したディーラーが大手だったとしたら、メーカーはディーラーとの連携をもっと密にすべきですよ。(だいたい営業マンが自分の会社のクルマの名前を知らない時代…。なんかおかしくない??)
自分たちが苦労して作ってきたクルマの信用を落としてしまっているのですから…。

ケンゾー
ケンゾー

最近の社会的問題も背景にあるね。

あまりに企業がコストを重視しすぎてて、「安全対策」をないがしろにしてる。

安全確保のためのコストは直接的な利益を生まないため、過度な経費削減の対象になりやすく、事故リスクを高める原因となりつつある。
最近、工事現場なんかで起きる死亡事故の背景にもなってるね。

第3章 これは氷山の一角——読者から寄せられた同様の体験

この動画のコメント欄にも、似たような体験談が寄せられているようだ。
、YouTubeチャンネル『大林モータース』の動画
『【この業界終わるで】ブレーキが外れた車が入庫しました…重大なミスですが、はっきり言って起こるべくして起こった事態だと思うので詳細をいろいろしゃべります。』から引用しています。
詳しくは動画をご覧ください。

「点検の後、エンジンルームを開けたら冷却水のリザーバータンクのキャップがなかった」
「車検後に異音がして再入庫したけどホイールを外して確認すらされなかった。後でみたら、ホイールナットが全部緩んでいたと判明。下手をすれば死んでいた」

ほかに、キャリパーボルトの締め忘れも実際にあったそうだ。
だから、「もうクルマは買えない…」という声も。筆者も同感…。だって危ないもん…。

自分の最近の経験では、定期点検のついでに営業マンにお願いしてあったタイヤの空気圧アップがなされていなかった。もちろん、大手メーカーのディーラー。実はほかにもあるんだけどね。
なんかね、安心して自分の財産である車を預けられない気持ちになっている…。
これって、ほんとに業界危なくないの??
(せっかく豊田章夫氏がモータースポーツを復活させて、若い子たちもスポーツカーに興味持ち始めたっていうのに…)

ディーラーや大手の整備工場を信頼して預けたにもかかわらず、命に関わりかねないトラブルが起きた——という声は、決して少なくない。
「ディーラーなら安心」という神話は、もはや通用しないのかもしれない。

一方で、こんなコメントも印象的だった。

「昔整備士をしていた時、自分が整備した車両のボルトの締め忘れが気になって、真夜中に先輩に電話した。一睡もできず、朝一でお客さんの家の前から電話して、道路脇で点検した。結果は問題なかったが、先輩から『そのくらい心配症じゃないと、人の車は触れない』と言われた。今も忘れられない」

また「自分も過去に同じミスを2回して、整備士に向いていないと悩み苦しんだ。今はブレーキ関係のボルトはネジロック剤とダブルチェックを徹底している。年齢はベテランでも、気持ちは初心者整備士より」という告白もあった。

誠実に、真剣に、命を預かる仕事として向き合っている整備士は、確かに存在する。

問題は個人の資質ではなく、それを育てる——あるいは潰す——組織の体質にある。

第4章 「ブルーカラーのホワイト化」が招くもの

大林氏が動画の中で使った言葉が、多くの視聴者の共感を呼んでいる!

「ブルーカラーのホワイト化」

かつて日本の職人は、自分の技術に誇りと責任を持っていた。整備士であれば、自分が手をかけた車が安全に走ることへの強烈なこだわりがあった。
「俺が仕上げた」という矜持が、品質を担保していた。

しかし今、多くの整備現場ではその空気が薄れている。

ノルマをこなし、時間内に台数をさばき、指示された作業をこなす——まるでオフィスワーカーのような働き方が、現場にも浸透しつつある。ある視聴者は「某ディーラー系のガレージショップが、整備員を時給1,000円で募集していた」と指摘した。

命を預かる仕事に対して、社会が与えている価値がその数字に滲み出ている。

別の視聴者からはこんな証言もあった。「20年ほど前、某ディーラーに勤めていた。現場を理解し、経営側に現場の声を届けようとしていた上司が、リストラ名目で飛ばされた
技術職としての専門性への理解はなく、人材の使い捨てが続いた。嫌になってやめた後、そのディーラーは経営不振で吸収合併された」。

これは自動車業界だけの話ではない。
建設、製造、物流——日本のものづくりを支えてきた現場の人間が軽視され続けた結果、「まともに仕事ができる人がいなくなっていく」という現象が、あらゆる業種で静かに進行している。

大林氏はこう断言する。「このまま行ったら、この業界は終わる」と。

誇張でも煽りでもない。
現場でリアルに起きていることへの、一人の職人の率直な危機感に筆者は感動した。ちょっと涙出た…。
そして、素直に動画にしてくれたこと感謝だ。

これによって社会が少しでもいい方向へ動いてくれたらと思う…。

第5章 それでも希望はある——職人の価値が見直される時代へ

暗い話ばかりを書いてきたが、最後に別の角度からも考えてみたい。

AIや自動化が急速に進む現代において、逆説的に「手を動かせる人間」の価値は上がっている
プログラムはブレーキを締められない。
AIはエンジンの異音を肌で感じ取ることができない。
どれだけテクノロジーが進化しても、実際に車の下に潜り込んで、自分の目と手で点検・整備できる人間の存在は不可欠だ。

大林氏自身も「ブルーカラーの職人系の方が、今後すごい可能性を持っていると思う」と語っている。問題は、その可能性を引き出すための環境が整っていないことだ。

適切な賃金、適切な評価、適切な教育——そして「この仕事は人の命を預かっている」という意識を育てる組織文化。これらが揃ってはじめて、「整備士に自分の車を安心して預けられる」という当たり前の信頼関係が成立する。

誠実な整備士は今もいる。
真夜中に締め忘れを心配して先輩に電話する人が、過去2回のミスを糧にダブルチェックを徹底する人が、現場にいる。そういう人たちが正当に評価される業界になることが、すべての出発点だろう。

おわりに——あなたのクルマは、誰が触っているのか

クルマは、使い方次第で人を傷つける。自分だけでなく、道を歩く誰かを、乗っている家族を。ブレーキが効かなければ、それは走る凶器になる。

だからこそ、整備は「信頼できる人に頼む」ことが大前提だ。

では、どうやって信頼できる整備士・工場を見つければいいのか。

一つの答えは、「何かトラブルが起きた時に、どう対応するか」を見ることだ。
ミスをしない完璧な工場など存在しない。しかし、ミスが起きた後に誠実に動ける工場は確かに存在する。

ケンゾー
ケンゾー

飛んで来る、すぐに説明する、全力でリカバリーする——そういう姿勢を持つ人間と自動車販売店・整備工場を、探すべきだね。
自分や家族の命を守るために…

今回の話は、一人の整備士YouTuberの単なる「グチ」じゃない。
日本の整備を含めた自動車業界、そして日本の現場全体が抱える構造的な問題を、一件の事例を通じて鮮やかに映し出した、一つのドキュメントだ。

クルマが好きなら、整備の世界も一緒に支えてほしい。適正な価格で、信頼できる工場に依頼すること。その積み重ねが、誠実な職人が報われる業界をつくっていく。

あなたのクルマは今日も、誰かの手で支えられている。

今回の記事で引用させていただいた動画

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