【「長時間労働を脱する?」その意味(3)】

日記

残業なし、定時退社などが叫ばれて久しいのですが、長時間労働による過労死労災認定が続いています。産業別の「労働時間悪質度」ともいうべき査定では、銀行が昔から「サービス残業の巣」であり、最先端IT企業がワーストランキングの上位を占めています。

☚【「長時間労働を脱する?」その意味(2)】

残業なしは減収

企業は、経費節減のため残業なしには取り組みます。しかし、それは効率を上げることが前提となり、残業代を給与の内と、当てにしてきた人には、減収となるのです。

一家の大黒柱を一人で背負っていては、減収は痛手となります。定時退社は残業代を上乗せして実質ベースアップしない限り難しいのです。この実現には、夫婦共働きで両者の時間の都合が優先するのであれば理想です。でも一人だけ働くのでは、減収は避けられません。

女性の社会進出を目指すのであれば、給与の基礎を上げることと、企業が生き残れる効率アップと、矛盾する両方の条件をかなえなければならないのです。競争社会の中にある企業の現実を考えると、韓国、中国企業の台頭の中では、結局は減収とならざるを得ないのでしょう。給与レベルは国際競争にさらされています。

皮肉なことに軍事産業が夢を叶える!?

効率アップだけでは叶えられません。配当金、自社株買いなどの資金を、給与に振り向ける必要があるのです。「配分の見直し」が将来を分けるのであり、労働基準法の適応だけでは難しいのです。配分の改善を前提とするならファンドとの戦いなくして労働条件の改善はありません。

グローバル競争にさらされていない国内産業が、案外、労働条件をよくできる可能性が残っているかもしれません。いえ、物流、サービス業などの国内産業が、効率が低いまま生き残っていられるのはそのためです。例えば防衛産業は、日本製品は高性能で品質が良いのですが、高価でなかなか売れません。これからは、皮肉なことですが、国外で造るわけにはいかないのですから、軍事産業を輸出産業にできれば、定時退社は軍事産業で叶うかもしれませんね。