【トヨタがテスラに負ける日?(2)】「トヨタかんばん方式」が、ガラケーとなるか?

日記

まずは「燃費」「EV」「A I」「I o T」どれをとっても自動車業界に大変革を求める技術革新だ。これだけ一度に要素が重なると、将来は誰が予測しても当たる気はしない。政治情勢が絡むこともあり、変革の要素が全て見通すことが難しいのだ。それでも日本経済にとって、トヨタがこの難関を乗り越えて世界のトップに君臨し続けてくれないと、再生はないであろう。

←【トヨタがテスラに負ける日?(1)】「トヨタかんばん方式」が、ガラケーとなるか?


見落としてないか?自動車はメンテナンスが必要

携帯電話や家電製品と大きく違うのは、車には「重要保安部品」があり「メンテナンスが必須」で省くことは出来ない情勢だ。

EV化により重要保安部品が減り、メンテナンスの必要は減ってくるだろう。それでもEV車が品質を落とすようなことがあると、現在の車の品質レベルを保持できたとして、メンテナンス体制をディーラー無しで造れるのかが課題になる。電動で必要性が落ちるにしても、エアバッグのタカタのようなことを起こさない体制が必要だ。また事が起きたときに責任を持つことも、産業界では必要な体制なのだ。


 

LivedoorNEWS http://news.livedoor.com/article/detail/13140608/
「ガラパゴスの悪夢再び。日本車メーカーがテスラに負ける構造上の理由」
2017年6月1日 4時30分

上記参照の冒頭の記事を読むと、「機械もの(商品)」「機械製造」「機械販売に対する「品質保証」の概念が欠落していて、「論外」の素人議論としか見えない。

販売ルートの革新の可能性はある

これからは、販売店の必要性が下がるのは事実であろう。I o T により、グーグルなどのネットを牛耳る産業が販売の窓口となり、販売店を通さずに直販になる可能性は高い。

それでもメンテナンス拠点は必要で、だからこそ、現在のディーラーの修理体制では、無用の修理をユーザーに押し付け、詐欺商法のようになってしまっている現体制を改めないと、EV修理の専門業が整備されてしまう危険がある。するとディーラーは窮地となる。メーカー直結のディーラーならではの修理体制が必要だろう。

どちらにせよ「通販」と販売店側が「どこに生産させるのか?」まで決定権限が集中してくると、縦の販売ルートは必要なくなり、家電のような横の販売ルートが確立されてしまう可能性が高い。ユーザーは車種をオーダーするのではなく、機能をオーダーして、グーグルのようなネットの支配者が、自動的にどの工場に生産させるのかを決定することが考えられる。I o T の商品企画でも差別化は大きな課題となろう。白物家電と同じ傾向だ。

下手をすると、A I などによる自動運転では、メガサプライヤーの作る部品をユーザーが選び、組み合わせるようになる危険もある。メーカー独自のオプションでなくなる危険もある。自動車メーカーは商品企画だけの世界となるのだ。

その意味では、テスラモータースのビジネスモデルは「品質保証」でつまずかなければ、自動車産業の一大改革になりえるものだ。

参考記事:『和製テスラを目指さない京都発EVベンチャー(日経ビジネスオンライン)』~「トミーカイラZZのエンジンをモーターとバッテリーに載せ替えればいいと単純に考えていたが、実際にそうやって試作車を製作してみて愕然とした」という小間社長の言葉は、部品寄せ集めで「品質保証」を目指す難しさを示している。

 

しかし、今回の提携解消で、トヨタの「品質保証体制・技術」がテスラに渡らなくて幸いと思うほうが正しかろう。

この変化は、多種少量生産・順次生産など中間在庫を減らす努力で、どれほど値段が下げられるかにかかっていると見るべきなのかもしれない。


”メーカー独自の部品からの生産でのコスト”と、”メガサプライヤーの部品を集めただけの商品”との価格差が如実に表れないと、メーカー間の差別なく、顧客が部品を選んでしまうシステムとなる危険が大きい。

どちらにしても、「トヨタ方式がガラパゴス化する」との見解は、的外れで素人が過ぎるのだ。

 ➡テスラ・モータース時価総額は期待値、ビジネスモデルの収益性とマネーゲーム