【紅旗・ホンチー】中国の最高級車が日本に初上陸!!!そのスペックは???

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60年前から中国の要人が乗っていた最高級車が、このほど日本に上陸したという歴史的なニュースです。気になるのはそのスペックですが、どんな内容なのでしょう。まだまだベールに包まれているみたいですが、わかったところから記していきます。



ブランド名は、紅旗(ホンチー)

紅旗(ホンチー)は、中国の自動車メーカーである第一汽車集団が製造した、トップブランドの最高級車です。

紅旗は中国の国産自動車で、1950年代から1980年代まで中国共産党の上層部のためのラグジュアリーセダンとして使われてきたクルマでもあります。毛沢東、習近平国家主席など要人に向けであったブランドなのです。

ラインナップは3種類あって、H5、H7、H9とありますが、今回日本に上陸したのは、超がつく最高ランクのH9です。現在、一般市場で販売されているとしても、ごく限られた需要に対応して造られている最高級車です。日本ではトヨタ・センチュリーに相当しますが、紅旗H9はそれ以上の皇室御用達、いやそれ以上の格付けでありましょう

だから、第一汽車のホームページでも載っていないため、H9モデルのスペックは確認できません。

H9は、2020年8月に発売された超高級セダンです。

また、今回日本に上陸する紅旗(ホンチー)は、EVやハイブリッドではなく、ガソリン車であるということです。

 

ボディサイズ、全長は5メートル超!

出典:Wikipedia(Jengtingchen – 投稿者自身による作品)

紅旗H9のボディーサイズは、全長5137mm×全幅1904mm×全高1493mmと言われています。

 

クルマの全長を他車と比較をしてみると…

トヨタの最高モデルであるセンチュリーのボディサイズが、全長5335mm×全幅1930mm×全高1505mmです。

メルセデスの最高モデルであるマイバッハ 4WD S560 4MATICのボディサイズが、全長5645×全幅1915×全高1495mmです。

ちなみに、車の歴史上、その上をいくクルマがアメリカにありますよ!

それは、リンカーンコンチネンタル3代目(1958年)で、全長5,817×全幅2,035×1,435mmです。オイルショック以前の「大きいことはいいことだ」と公言していた時代です。

搭載されるパワートレーンは?

紅旗H9のエンジンは2仕様

●2リッター直列4気筒ターボ、252馬力

●3リッターV型6気筒スーパーチャージャー、283馬力

トランスミッションは7速デュアルクラッチ(DCT)で、駆動方式はFR。

それに比較して、トヨタ・センチュリーはハイブリッドで、ガソリンエンジン5リッターV型8気筒381馬力、モーターが224馬力、システム最高出力は431馬力。電気式CVT(トヨタ方式)でFR駆動。

 

燃費は?

紅旗H9の燃費は、NEDCモードで2リッター仕様が約14.1km/L、3リッター仕様が11.1km/L。

それに比較して、トヨタ・センチュリーの燃費は、WLTCモードで12.4km/L。(NEDCモードより実燃費に近い)

 

総じてみると、トヨタ・センチュリーに対して第一汽車・紅旗H9は、この基本仕様からは技術的格差はまだ大きいと見えます。でも、中国の誇りであることに間違いないでしょう。

 

紅旗H9の価格は?

31万元から54万元。日本円に換算すると、約499万~869万円ということのようです。

超最高級車としては、意外と安い!という感じですが、日本で販売するときは1000万円くらいの値付けは最低でもしないといけないのでは???

要人が乗ると言われているセンチュリーが2000万円ほど、メルセデスマイバッハが2300~2800万円ほどなのですから。

中国、自動車産業育成の大戦略

西欧や日本の技術を手中に収める

中国の自動車産業は国家プロジェクトとして育成が図られており、外国企業の中国国内での生産には50対50の出資比率である合弁会社が義務付けられています。

このため、西欧各国のメーカーや日本メーカーの技術がそのまま流れている状態なのです。この方式にアメリカ政府は警告を発しており、現在米中貿易摩擦の火種の一つとなっています。

中国政府としては「自動車産業」を国の重要な産業としていくことを目指しています。

そのため太平洋戦争後、共産革命の成功を機に当時のソビエト連邦の支援を受けて第一汽車を1953年設立後、軍用トラックの生産を始めて、1958年に乗用車ブランド「紅旗」を立ち上げています。

また、1977年と1981年には「トヨタかんばん方式」の生みの親、大野耐一氏から直接指導を受けています。2005年からはトヨタ・クラウンを生産し、現在ではEVを含めトヨタの中国市場独自のモデルなども生産しています。

ガソリン車の精密技術は難しい、だからEVへ

現在は、順次生産能力の発展を目指しているのでしょうが、世界のエンジン技術は目覚ましい発達を遂げてます。その中で中国は、精密加工技術で欧・米・日本のメーカーに追いつくことは難しいと考えたのです。

そこで、排気ガス規制・燃費競争に一気に勝利して、自動車産業を確立するにはガソリン車よりもEVの方が早いと見立てているのです。現在、中国国内では補助金なども出してEVの普及に努めています。最近になって、トヨタのHVなども「電動車」「排気ガス対策車」と認めるようになりました。

世界最大の中国市場をテコに

中国は、世界レベルの自動車産業とすることを目指しています。そこで、世界最大の自動車市場を抱える国であることをテコとしては国内需要を伸ばし、世界市場の覇権を目指しているのです。

自動車産業はソフト産業と違って、設計レベルだけでなく、製造・生産・整備技術のトータル技術となるので、国の文化レベルそのものが試されることとなます。

テスラのリコール

現在、アメリカのテスラは、最新の装置と謳われているデジタル装置で半導体のリコールを要請されています。家電などで使われている民生品の半導体部品を採用していたのですが、耐久性の限界が短いため交換を必要とされています。

昨今、ロケットなどでも民生品半導体を利用することが進んでいますが、民生品であっても十分な耐久性のある部品であることが重要です。EVの製造が簡単であると言われていても、自動車メーカーである限り、品質管理の時間軸や整備性などにも設計テーマがあることを重要視しなければならないのです。

 

自動車の商品価値は、品質保証にある

自動車のような機械部品において、品質保証は基礎になければなりません。自動車はスピードを出して走る物体です。事故を起こせば、人命に危険が及びます。

かつての三菱自動車の設計不良隠しなどのような低いレベルであると、将来にわたって不具合が見つかることとなります。これらのリコールなど燃費測定や保安基準厳守などを含めた「社会的責任」のレベルは、国の文化レベルそのものを表しており、それで左右されてしまうのです。

中国の自動車製造においても、こうした基礎的なところで十分なレベルに達していないと、不正やリコールが頻発することになります。

現在、テスラに求められているリコール要請は、テスラの文化レベルを表していることになります。つまり、テスラの製品全体に対する信用問題なのです。

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同じように、紅旗H9を見て乗って、その文化レベルを知ることから始めなければならないでしょう。それには時間がかかるようでも、実際には意外と「試乗」だけで分かってしまうものです。

 

自動車ジャーナリストの役割

でも、現在の日本の自動車ジャーナリストの姿勢だと、メーカーに忖度してしまっているし、また製造をよく知らないために正確な情報が国民に提供されていない。

例えば、中国が進めるEV化が進むと、部品点数は半減から10分の1になるとも言われており、ガソリンスタンドなどの周辺産業も含めて、自動車産業全体がなくなる恐れがあることにはあまり言及されない。

アメリカのラストベルト(デトロイトの荒廃)と同じことが名古屋で起きるかもしれないのにだ。

だからそれを回避しつつ、地球温暖化を防ぐ手立てとして、EVではなく水素社会を目指すのがいいのだろう。それもFCVの純粋水素ではなく、「水素と空気中の二酸化炭素を化合させたメタンガス」で、これまでのレシプロエンジンを駆動することが有望視される。

そうすれば、日本の雇用を守れるからだ。

日本には純粋水素を燃料とするFCV(トヨタ)も、ガソリンとメタンガス切り替えて使えるロータリーエンジン(マツダ)もある。

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水素ステーションは設備投資に一箇所5億円程度かかると言われているが、メタンガスであれば現在のガソリンスタンドの小改造で済むようだ。産業保全には好都合であり、電池生産で中国に主導権を握られることもない。

それに、中東の石油依存を解消できて、日本国のエネルギー政策を根本から解決できることになる。

日本の産業政策としてもメタンガスを進めてほしいと切に願う。