2016年の世界情勢で、車の燃費をさらに向上させることは必須の目標です。ヨーロッパ(EU)の2021年の規制ででは、日本のJC08規制より実走に近い規制で、日本の誇るハイブリッド車であるプリウスの40km/Lでもクリアすることは叶わないと見られています。そこでハイブリッド・エンジンを主として、現在の自動車用エンジンについて、周辺知識を含めて基礎知識を確かめておきたいと考えます。
【ハイブリッド・エンジン(4)】レシプロ・エンジン➡
アトキンソンサイクル・エンジン
レシプロエンジンは、ピストンの往復運動を回転運動に変えて伝達します。内燃機関のガソリン・エンジンやディーゼル・エンジンではシリンダーの中で爆発を起こしてピストンを押します。そのためピストンの動きは圧縮工程と同じ長さに制約されています。それを圧縮工程よりも長い間、爆発に押され続けることが出来れば、もっと爆発の力を引き出すことが出来ます。出来るなら圧縮工程の数倍は長くできれば良いのかもしれません?
それほど長くは出来ませんが、アトキンソン方式は2本のクランクシャフトを組み合わせて、圧縮工程と爆発工程の不当長を実現しています。
しかし、構造が複雑となり、エンジンの体積が大きくなり重量がかさみます。そのため自動車用のエンジンとしては実用化されてきませんでした。
参考:ホンダ・テクノロジー「より少ない燃料でより多くの仕事」を可能にす複リンク式高膨張比エンジン「EXlink」 →動画
ショートストロークが「回転馬力」で出力を稼ぐ必要性を生んでいたのですが、ミラー方式で吸排気弁を圧縮工程で閉めるのを遅らせれば、同じ効果が得られると提唱しました。
電子制御が進歩し、カムシャフトを電動にしたり、燃料噴射のタイミングを調整出来たりするようになり、ロングストロークのエンジンを作り、吸入弁を閉じるタイミングを遅らせて実用化に至りました。
そのため、熱交換率の向上と低速トルクの強化が出来て、日常使用で扱いやすく低燃費のエンジンを作ることが出来てきました。ハイブリッド・エンジンとしては欠かせない技術となってきています。
TOYOTA 2ZR-FXEエンジン
出典:http://www.toyota.co.jp/jpn/tech/environment/hv/
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