【旧陸軍航空隊・三式戦闘機「飛燕」の復元】首なし飛燕の物語[1]

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川崎重工業が戦争中の三式戦闘機「飛燕(ひえん)」を復元したそうです。かなり精密にオリジナルのままに復元したようです。記事の中では飛行可能であるのかはわかりません。先のとがった美しいシルエットを見せる、当時、日本の戦闘機では唯一のシルエットでしたが、国際的には、むしろ多くの事例が見られる姿でした。



出典:YouTube https://youtu.be/wtfaWmpzJ7M

Car Wathch ニュース http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1024728.html

産経 ウエスト http://www.sankei.com/west/news/161013/wst1610130072-n1.html

 

飛燕は、日本唯一の国際規格の戦闘機?

(1)ダイムラー・ベンツからのライセンス生産エンジン

飛燕は、ドイツ・メッサーシュミットBf109のエンジンと同じダイムラーベンツDB601エンジンをライセンス生産した「ハ40」を装備したことが、一大特徴を作りました。

まず水冷エンジンであったこと。ゼロ戦などと比較して、先端のとがった空気抵抗の少ないデザインで、日本唯一の水冷エンジン戦闘機であったことです。また、ゼロ戦などに採用されていた水滴型風防(キャノピー)ではなく、Bf109と同じような形態の角ばった風防となっていたことです。水滴型と比較すると、「後方視界・滑走時の前方視界など視界の点で劣る」と当時の日本のパイロットからは嫌われていました。

↓↓↓ドイツのメッサーシュミットbf109。角ばった風防であることが分かる。
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その風防は諸外国ではあまり問題とされることはなく、唯一、イギリスでは少々、言われることがありました。

↓↓↓日本の零戦。曲線がきれいな水滴型風防になっている。 

しかし、結局のところアメリカ軍でもP51など、その後の戦闘機では水滴型が常識となり、ジェット戦闘機の現代でも続いています。視界の良さは操縦にとって有利な条件なのは確かなことです。

しかし、その当時の戦闘機では、世界は大きく2つの考え方でくくられていました。

(2)戦闘機の戦いー騎士道と武士道

戦闘機での戦いの【2つの考え方】とは、「格闘戦」と「一撃離脱」の戦法でした。

ドイツとアメリカは「一撃離脱戦法」、一方、日本とイギリスが「格闘戦法」と色分けできており、その戦法の考え方に沿って戦闘機が設計されていることが、非常に興味深いことです。

それは、イギリスと日本は「騎士道」「武士道」のお国柄で似ているところがあり、ドイツとアメリカは「合理主義」のお国柄であるからです。この「体質」とも言うべき「お国柄」が、戦いの戦法に強く表れ、モノの造り方を決定付けていることは、現代社会でも通じることです。

(3)国際規格の設計

そんな中で、ゼロ戦は軽量化と翼面荷重の低減に努めた、真に水平面の格闘性能を重視した機体でありました。武士道よろしく「一騎よく多騎を制する」の考え方で・・・・・➡【旧陸軍航空隊・三式戦闘機「飛燕」の復元】首なし飛燕の物語[2]