GT-R歴史の幕開け
1969年、C10形式の3代目スカイラインからGT-Rは生まれました。初代スカイラインGT-Rです。
レーシングカーエンジンから実用性を加味したディチューンにより、出来上がった初代スカイラインS20エンジンは160馬力と公表されています。
現在のR35GT-Rは550馬力、2017年モデルでは570馬力と公表されています。
初代スカイラインGT-Rから現行35GT-Rまでの、馬力の変遷をちょっと見てみましょう。
✅ GT-Rの歴代モデル別「馬力・トルク」一覧表
| 世代 | 型式 | 年式 | エンジン形式 | 馬力(PS) | トルク(kgm) |
|---|---|---|---|---|---|
| 初代 | PGC10(4ドア) KPGC10(2ドア) |
1969〜1971 | S20型 2.0L 直6 DOHC | 160PS / 7,000rpm | 18.0kgm / 5,600rpm |
| 2代目 | KPGC110(通称ケンメリGT-R) | 1973 | S20型 2.0L 直6 DOHC | 160PS / 7,000rpm | 18.0kgm / 5,600rpm |
| 3代目 | R32 GT-R | 1989〜1994 | RB26DETT 2.6L 直6 ツインターボ | 280PS / 6,800rpm(自主規制) | 35.0kgm / 4,400rpm |
| 4代目 | R33 GT-R | 1995〜1998 | RB26DETT 2.6L 直6 ツインターボ | 280PS / 6,800rpm(同上) | 37.5kgm / 4,400rpm |
| 5代目 | R34 GT-R | 1999〜2002 | RB26DETT 2.6L 直6 ツインターボ | 280PS / 6,800rpm(同上) | 40.0kgm / 4,400rpm |
| 6代目 | R35 GT-R(初期型) | 2007〜2010 | VR38DETT 3.8L V6 ツインターボ | 480PS / 6,800rpm | 60.0kgm / 3,200~5,200rpm |
| – | R35(マイナーチェンジ) | 2011〜2016 | 同上 | 550〜570PS | 63.5〜65.0kgm |
| – | R35 GT-R NISMO(初期) | 2014〜2019 | 同上(強化版) | 600PS / 6,800rpm | 66.5kgm / 3,600–5,600rpm |
| – | R35(最終型:T-specなど) | 2020〜2022 | 同上 | 570PS / 6,800rpm | 65.0kgm / 3,300〜5,800rpm |
| – | R35 GT-R NISMO(最新) | 2023〜 | VR38DETT(改良) | 600PS / 6,800rpm | 66.5kgm / 3,600–5,600rpm |
昔と今では測定方法が違いますが、初代スカイラインとR35の馬力が実質4倍ほどにもなる出力向上が出来た技術革新の裏は、いったい何であったのか?
これを理解すると、技術革新は「考え方の革新」にあり、管理技術、経営技術の本質にも通じる基本を教えてくれます。
ツーリングカーレース50連勝の金字塔
初代スカイラインGT-R(C10GT-R)は、市販されるとすぐにツーリングカーレースに参戦しました。
現在では「羊の皮をかぶった狼」みたいなことは流行らない時代です。つまり、「能ある鷹は爪を隠す」というようなことです。
初代スカイラインが最初に発売された時は、「さりげないファミリーカー」と同じ4ドアセダンであったことは、今は、あまり言われていないようですが、それがレースで活躍するような高性能であったというギャップがもてはやされた時代があったのです。
初代スカイラインは、羊に見えるけど実は狼なのです。
初代スカイラインGT-R・4ドアセダン

1969年5月ツーリングカーレースでの快進撃が始まったのですが、1970年10月2ドアハードトップに替わります。このことで、運動性能が向上し、さらに連勝を重ね1972年ケンとメリーの4代目スカイラインとなることになります。
初代スカイラインGT-R・2ドアハードトップ

セダンだった初代スカイラインが2ドアハードトップになった際、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)を70mmも短縮してたのです。
これで後席の居住性は損なわれてしまい、実用車としては販売のハンディとなってしまうわけのですが、あえてレースでの運動性向上を優先しています。
今では実用車としての快適性を損ねることはできないと思われますが、これが出来た当時の社会的背景として「レースで勝つ車は圧倒的に売れた」ことがあります。現在では考えられない社会情勢です。
現在は、ミニバンのような背の高いクルマがが乗用車として利用されるなど、当時からはとても考えられない時代です。初代スカイラインが世に出た時は、実用性ではライトバンのほうが優れていることは分っていながらも、商用にしか用いられていない時代でした。
モータリゼーションが始まって間もなくであり、「車とは何か?」とメカニズムに注目が集まる社会でした。
欧米の大馬力エンジンを積んだ車にあこがれる中、日本グランプリが開催されるようになり、プリンスR380が生まれて、そのディチューン版としてスカイラインGT-Rが生まれたこと自体に、先進国の仲間入りをしていく日本の誇りが感じられたのでした。➡【日産GT-R物語(8)】初代スカイラインGT-R[2]