1960年代から70年代の懐かしの旧車と呼ばれる自動車ランキングの、独自ランキングを発表します。旧車ブームが起こっていると言いますが、筆者の独断と偏見なので、楽しみながらご覧ください‼ 子供のころのあこがれのクルマや今から見れば珍しいクルマなど。好きだったクルマ、好きなクルマを見つけられるかな???
以下、【60~70年代の旧車・クラシックカー ベスト15順位】は、著者の勝手な基準です。客観的基準がある訳でもなく「こんな見方もある」程度に受け止めて楽しんでみてください。当時を知っているクルマファンなので、皆さんが知らないエピソードもあるかも?です。今回は、長くなるので15位から9位までです。
【第15位】日産・初代シルビア
出典:Wikipedia
1960年~70年代の旧車ランキングの15位は、日産・初代シルビア(CSP311)です!
評価したいところは、初代シルビアのエンジンが、ダットサン・フェアレディの1600ccだということ。そして、ミッションは、ポルシェシンクロになっていて、当時では凝ったものでした。それに、ボディデザインが美しい!!!1960年代の存在ですが、あえて旧車ランキングに加えたい車です。
日産・初代シルビア(CSP311)は1965年4月発売。
1968年6月に554台の生産で終了してしまいましたが、日産・初代シルビアは、フェアレディZに繋がる美しいクーペボディのクルマでした。
オープンカーのダットサン・フェアレディ(SP310)のシャーシにクーペボディを載せていたのです。
美しいデザインはクリスプカット
「クリスプカット」と呼ばれる日産・初代シルビアのボディーの面処理は、現代のスバル・新型レヴォーグにも通じる美しい処理でした。エアロパーツなどでカスタムしてしまうのはもったいないでしょう。
当時、車のデザイン的には世界から遅れていた日本でした。ドイツ人であるアルブレヒト・フォン・ゲルツのアドバイスを受けていたとはいえ、世界レベルの日産・初代シルビアのデザインを日本人である木村一男氏が造り上げたエポックメーキングな車と言えます。
エピソード:パトカーにもなったけど、似合わないなぁ…
日産・初代シルビアは第三京浜のパトカーとして登場しました。昭和40年12月18日の第三京浜開通に合わせて、神奈川県警交通機動隊に配備されたのです。
ある時偶然、私は初代シルビアのパトカーが激しくドリフトターンのテストをするのを見かけて恐れた?ものでしたが、白黒ツートンのパトカー塗装は、優雅な美しさをもつ日産・初代シルビアには似つかわしくないものでした(^^;
2017年に復活したアルピーヌ・A110のデザイナーが日本人でありますが、初代シルビアのデザイナー・木村一男氏が、自動車デザイナーとして第一歩を踏み出していたことがすぐに思い浮かびました。
日産・初代シルビアは、今でも手元に置きたい一台です。
※現在の中古車価格
現在の中古車価格は、500万円~900万円と高額に推移している貴重な車。
コンディションの良い車両はすぐに確保したいものです。
関連:仏・新型アルピーヌA110、ラグジュアリー仕様「Legende」発売
【第14位】三菱・ギャランGTO
1960年~70年代の旧車ランキングの14位は、三菱・ギャランGTOです。
クライスラーと合併し三菱重工から独立
現在の三菱自動車は、1970年に三菱重工業とクライスラー社との合弁事業として始まり、その後、三菱重工業から独立して三菱自動車工業となっています。
それまで、「コルト」ブランドとして生産販売されてきた車両が若者向けとは言えない部分があったため、1969年に「コルトギャラン」と新ブランドの展開を始めます。それが三菱ギャランGTOとなりました。
評判を呼び、三菱「ギャラン」は日本市場に受け入れられるブランドとなっていきました。
フォード・ムスタングと同じコークボトルライン
1970年代、日本車はアメリカ車を追いかけているところがありました。↓↓↓下画像はフォードマスタングですが、三菱・ギャランGTOとどことなく似てます(^^;
三菱・ギャランGTOも、フォード・ムスタングなどと同じコークボトルライン(真ん中がくびれている)、ファストバック、ダックテールなど、一気にアメリカ車の流行を追いかけたボディーデザインとなり、若者に好評を博すこととなりました。
エンジンは、4G32型サターンエンジンと称した直4DOHC、1597cc SUツインキャブ。最高出力125psの性能は、当時の競合他車の性能にそん色がありませんでした。
サスペンションはフロントがストラット、リアはリーフスプリングにリジッドアクスルと、少々物足りない仕様でした。
ブレーキは、フロント・ディスクブレーキとなり、当時の水準には届いていたと言えます。
後に、ギャランシリーズは2000ccまで排気量アップがなされ、1600ccのMRシリーズは消えることとなりました。しかし、シリーズを通して、アメリカンナイズされたデザインは好評でした。
「アメリカンファッション」を楽しむ
現在のクルマ人気は低回転トルクですから、当時のような高回転型エンジンは好まれないでしょう。
なので、ギャランGTOは今だったら実用車としてではなく、繊細な日本人的センスでまとめられた「アメリカンファッション」を楽しめる旧車と言えるでしょう。
※現在の中古車価格
現在の中古車価格は、150万円~350万円ほど。
状態の良い車を探してみると、人と違ったオシャレが出来るのでは? SUツインキャブは調整の行き届いた状態に保つことが必要です。
【第13位】マツダ・コスモスポーツ
1960年~70年代の旧車ランキングの13位は、マツダ・コスモスポーツです。
いやこれは、何といっても独特のデザインがかっこいい!そして、ロータリーエンジンのスポーツカーであることが評価できます。
世界で唯一、バインケルン・ロータリーエンジン
マツダ・コスモスポーツは、1967~1973年まで造られていたバインケルン・ロータリーエンジン(おむすび型ピストンを回転させる方式)搭載の2座席スポーツカーです。
この車の特徴は、バインケルン・ロータリーエンジンを世界で唯一、実用化できたということです。
当時は宇宙船のようなスタイリングで驚かされましたが、ロータリーエンジンの音はこのスタイルにふさわしいものでした。
このバインケルン型ロータリーエンジンは、ローターのシールドに苦労します。また燃費が悪く、現在では排気ガス規制をクリアできずに発売されていません。
しかし、マツダは現在でもロータリーエンジンの開発を続けており、マツダファン、日本人としてもぜひ復活させてほしいものです。
「炭素循環」社会の切り札か?
関連:マツダ・ロータリーエンジンも使える!? EVより地球温暖化対策に
実は、関連記事からもわかる通りロータリーエンジンは、「水素と空気中の炭酸ガス」を反応させて作った「メタンガス」で駆動できるのみならず、ガソリンとメタンガス切り替えて使えるなど「炭素循環」を目指すエンジンとして再び登場するかもしれません。
日本のこれからを背負う技術になる期待があります。実際に1970年代中頃、ロータリーエンジンを灯油で走らせたことがあります。石油ストーブの匂いがしましたが…。
マツダ・コスモスポーツは飾っておきたくなる車ですが、意外に走らせる楽しみが多くある車です。
※現在の中古車価格
現在の中古車価格は、800万円超え。状態の良いものでは1500万円ともなっています。
【第12位】いすゞ・117クーペ
いすゞ・117クーペは、インジェクションエンジン、DOHC、5MTなどを装備し、当時としては先進的技術を取り入れています。
スパルタンな「ライトウエイトスポーツ」ではなく、後部2座席を含め4座席の長距離ツアラーであるGTを作り上げています。
ボディーデザインは、ジウジアーロ‼
いすゞ・117クーペは、ギア社の主任デザイナーで、後に「イタルデザイン」を立ち上げた「ジョルジェット・ジウジアーロ」がデザインしたクルマです。
ネーミングは、いすゞ社内の開発コード117セダン、フローリアンのクーペモデルから名付けられたものでした。
フローリアンはデザインが不評で売れなかったのですが、クーペモデルはイタリアのカロッツェリア・「ギア社」に発注されたものでした。
イタリアでも高い評価を得たデザインが、この車のすべてと言っても良いくらいです。
手作り「叩き出しボディー板金」
初期(1968年~1972年まで)の117クーペのボディーは金型によるプレスではなく、ハンドメイドの「叩き出しボディー板金」で造られていました。そのため生産台数は限られて(3年間で僅か2,458台)います。
4座席のスポーツクーペで、これだけ低い車高であるのに閉塞感のない後部座席を実現したのは、大きなウィンドウ面積でありましょう。
マイナーチェンジ後は金型プレスによる造形となりましが、美しいシルエットは変わらず、眺めているだけで心和むスタイリングです。
当時の世界水準のGTをもう一度、手元に置いてみたい心境にさせます。
※現在の中古車価格
現在の中古車価格は、170万円~250万円ほど。
インテリア内装では、ウッドパネルの状態に注意が必要だ。ウッドパネルは適度な水分を与え続けていないとひび割れが入ってしまうのだ。これはぜひ再現してほしい。
【第11位】トヨタ・2000GT
●全長×全幅×全高=4175×1600×1160mm
●ホイールベース=2330mm
●エンジン=水冷直列6気筒DOHC
●排気量=1988cc
●最高出力=150ps/6600rpm
●車両重量=1035kg
●車両価格=238.0万円(1968年当時)
※今は亡き、リトラクタブルヘッドライトもいいですよね~‼
関連:リトラクタブルヘッドライトを回想する! 空力なのか?デザインなのか?
イギリス映画「007」のボンドカー!
トヨタ・2000GTは、日本車の旧車の中でトップランクと言っても良い車です。
イギリス映画「007」に出演した「ボンドカー」としても名高いクルマです。ボンドカーはいつでも憧れの的です。『007は二度死ぬ』に登場したオープンボディーの車はトヨタ博物館で動態保存が出来ていて、うれしい限りです。
トヨタ・2000GTはX型バックボーンフレームでしたが、ダブル・ウィッシュボーンサスペンションの採用など、スタイルを含めてジャガー・Eタイプなど世界の高級スポーツカーの影響を受けています。
↓↓↓ジャガーEタイプ。
エンジンはヤマハ発動機が開発
トヨタ・2000GTは、当時からヤマハ発動機がクラウンのM型エンジンをDOHCにして、高回転型のスポーツカーエンジンとして搭載していました。
日産・スカイラインGT-RのS20エンジンなどのように、レーシングカーエンジンのディチューンではないのですが、シンボルとなるエンジンでありました。
中古車で要注意は「マグネシウムホイール」
2000GTのインテリアで注意することは、ダッシュボードはローズウッドで造られており、経年変化があって維持が難しい部分であることす。
もう1つ注意すべきは、アルミホイールではなくマグネシウムホイールであることです。「紙のように軽い」と言われるマグネシウム金属は経年変化でもろくなってしまうので、常に作り直して交換が必要です。
アルミで造り変えてしまえばよいのですが、若干、重量が重くなります。しかし、タイヤの進歩が大きいのでバネ下重量としては軽く出来るのではないでしょうか。
※現在の中古車価格
中古車価格は、値段がつかないほど価値があるクルマ。
状態の良い車があったら、「即、買い」と言えます。最低でも5000万円を出せるのならでありますが・・・?
【第10位】 GM・シボレー・コルベット
コークボトルラインの2座席スポーツカー
シボレーコルベット(3代目 C3型 1968~1982年)は、アメリカを代表する2座席スポーツカーです。コルベットと言えば、このC3型を思い浮かべるほどよく知られた車です。
コークボトルラインを鮮明にしたボディーデザインです。「コークボトルライン」とは、胴体の真ん中が絞られた、まるで女性のスタイルをまねたデザインのことで、コーラの瓶で採用されたデザインのためこう呼ばれています。
アメ車らしい!大きいことはいいことだ!?
アメリカの自動車メーカーは、1973年の石油ショックが起きるまでは「大きいことはいいことだ」とばかりに、自国産出の安い石油を基盤に、大馬力が欲しければ排気量をどんどん大きくすることが行われていました。
アメ車のエンジンは最大で8Lもあり、コルベットも7.5Lまでのエンジンが用意されていた時代があります。V8気筒OHVであり、1980年代に入りインジェクション仕様が加わっています。
FRPボディーには「ちり取りとほうきがついている」?
私は昔、このC3コルベットの商談をしている時に、「ちり取りとほうきがついています」と営業マンから言われました。
それは「FRP(繊維強化プラスチック)でボディーが出来ていたためで、「割れたらちり取りで破片を集めておくと、あとで修復するときにやりやすい」という意味でした。
でもこれはジョークで、当時珍しかったFRPボディーを強調するための営業トークだったのです。
中古車になっても、FRPボディーのため、錆には強いということもあるでしょう。
※現在の中古車価格
C3コルベットの中古車価格は、旧車の領域であるにもかかわらず300万円を超えるようです。
8代目コルベット(C8 2020年~)は、コルベット初のミッドシップになっています!
なのでなおのこと、この当時のスタイリングにほれ込んだら購入してみてください。「ちり取りとほうき」を用意して・・・
【第9位】トヨタ・セリカ1600GT
フォード・マスタングと同じ「スペシャルティカー」
フォード・マスタングの「スペシャルティカー」商法をまねた仕組みで出発したセリカですが、1600GTは仕様固定で特別な1台でした。
「スペシャルティカー」とは、ベース車両は最低限の装備品として、ユーザーがそれぞれオプション部品を選んで「自分だけの1台」「自分のためのスペシャルなクルマ」をカスタマイズしていく仕組みです。1980年代にも使われた言葉ですが、意味合いが変わってしまった感があります。
しかし、この当時はそれほど自由ではなく、結局のところ在庫車の中から選ぶ結果になっていました。
スペシャリティカーの定義も、当時をよく知る人が少なくなり、解釈も少しずつ変化しているようです。カートップさんの記事も、今の若い自動車ジャーナリストが書いているのかちょっと物足りないですが、参考にしてみてください。
※バブル時代に盛り上がった謎のジャンル! 「スペシャリティカー」とは(WEB CARTOP)
しかし、当時、トヨタは「多種少量生産」である「トヨタ生産方式」を強力に進めており、この手法に自信を深めていたものと推察できます。
トヨタ生産方式は、今では世界を席巻している生産方式です。それは、コロナ禍で圧倒的強さを見せるトヨタ・TNGA(トヨタ新グローバルアーキテクチャー)に繋がり、近い将来にはインダストリー4.0(第4次産業革命)に発展していく要の生産技術なのです。
関連:【トヨタ・C-HR】TNGA第2弾「本物の資金効率」(1)~プラットフォームだけの問題じゃなく、効率の良い作り方のはなし
DOHCエンジンが冴える、おしゃれな車
トヨタ・セリカ1600GTは、トヨタ・コロナ1600GTの後継車種であると言えます。冴えるというのは、今でいうイケテルって感じでしょうか。
↓↓↓トヨタ・コロナ1600GT
また、日産・ブルーバード1600SSSの対抗馬でありました。SSS(スリーエス)と言えば、ブルーバードです。世界ラリーでも栄冠を栄冠を勝ち取っています。
↓↓↓日産・ブルーバード1600SSS
当時、トヨタ・セリカ1600GTに試乗してみました。弱いと言われていたMTは、ワーナーシンクロでありながら、ダブルクラッチを伴う激しいシフトチェンジにも耐えるものでした。
DOHC1600エンジンは、ターボチャージャーを後に装備したブルーバードSSSのエンジンよりも、総合すると好感が持てました。
ファミリーカーには不向きですが、現代でも日常使用にも不便をかけない「おしゃれな車」と言えるでしょう。NAエンジンの吹き上がりを感じながら、半世紀も前に、このようなおしゃれな車が存在したことを味わってみてください。
※現在の中古車価格
中古車価格は、230万円~340万円程度。
特別なレストアなど行っているクルマだと、400万円を超えるかもしれません。これならスペシャルな改造を行うベース車両とすることもできるので、ファッション性も評価してみてください。
さて、いかがだったでしょうか?15位~9位までのランキングでした!
8位から1位までは、鋭意作成中ですのでご期待を!!!!
お暇でしたら以下を読んでいてください(^^;
【豆知識】60年~70年代旧車の時代背景
「トヨタ生産方式」の台頭、そして現代のTNGAへ
この1960年~1970年代、自動車業界では水面下で「トヨタ生産方式(多種少量生産)」が着々と成果を上げていました。
19080年代に「リーン生産方式」と名を変えてアメリカに紹介された時には、その効率の良さに「フォード生産方式(ロット生産方式)」が駆逐されました。
「トヨタ生産方式」が、製造業の世界では常識と思われる事態に進んでいったのです。
↓↓↓今では製造業に限ったことではなく、役所以外の全業界に取り入れる努力が進んでいるため、大勢のビジネスマンが仕事の基礎として学ぼうとしています。
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それは、製造業を経営するにあたって、「資金効率」「場合によっては1千倍」とも言われるほど大幅に向上させたからです。「トヨタ生産方式」を採用しなければ、量産製造業は、もはやどのような業種でも成り立たないとなったのでした。
私は、これを「産業革命」と称することさえできるほどだと考えます。コストダウンの切り札と思われるからです。
そして現在も生産方式の改革は続けられ、近年のトヨタ・TNGAにまで進歩しており、コロナ禍における圧倒的強さにも現れています。
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1970年代は「消費は美徳」から「省エネ」の時代へ
なんといってもこの時代、自動車にとって重要なのは1973年第一次オイルショックによる価値観の大変革でしょう。「消費は美徳」の価値観だったのが、現代に続く「省エネ」の価値観に変わった時代と言えます。自動車はそれ以来、厳しくなる省エネへの挑戦が続いています。
輸入車(外車)と言えばまだまだ「アメ車」であった時代で、ようやくドイツ車ブームが起こり始めたころでした。日米貿易摩擦の事情からアメリカからの圧力を受けて輸入車のドアミラーが認められてきたころで、日本車にもフェンダーからドアミラーへの転換を認めるように気運が盛り上がってきていました。
また、当時はGTやラリーなどのレースに出場している車両の影響が今とは比較にならないほど大きかった時代です。スカイライン2000GT-Rのツーリングカーレース50連勝があったのが1970年代前半で、スカイラインシリーズ全体の売り上げに貢献していました。