【経営覚書】トヨタの大戦略TNGAとはいったい何?? 第4次産業革命、IoTを見据えた構想か?

エンジン

メールマガジン『集客の達人』2016.3.4配信分より、覚書。第4次産業革命を見据えていると見える、トヨタのTMGA構想。経営者としては、非常に興味を持って経過を見ています。クルママニアとしての個々の技術にも大いに興味はありますが、大事なのは、経営技術としてです。日本の将来にも関わってきます。



 

コロナ禍でも、営業利益を出す驚異的なトヨタ

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※「TNGAの効果が出ていない」と数年前言及していたメディアもあるが、 TNGAの効果はすぐに出るようなものではない。このような社会危機の中でその成果が浮かび上がってくる。

 

2016年3月4日メルマガ記事より…

●トヨタ自動車の新しい世界戦略をTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)呼んでいます。

一方、VW(フォルクスワーゲン)がディーゼルエンジンの排ガス不正行為でつまずいていますが、ドイツはインターネットを使った第4次産業革命に熱心です。トヨタ流の「カイゼン」に脅威を感じているとも言われています。

その中でホンダは、AIの社内開発をあきらめボッシュから基本ソフトを買い付ける判断をして、社内でも批判相次いでいるようです。➡関連記事【2020年は期待できる!ホンダジェットがF1マシンを救った!】それでも瀕死状態、ホンダのワイガヤ文化を復活させないと!

 

第4次産業革命が進むとどうなるのか?

第4次産業革命が進むと、世界中の工場がネットでつながり、自動車の受注もネットを介して情報が集中し、稼動させる工場を、情報を握ったものが采配するようになるといわれています。

つまり、世界の自動車会社は「下請け」の立場に立たされるのではないかと危惧されています。そして、グーグルのような会社が受注情報を握るのかもしれません

●その中で、むしろサプライヤーの立場であるボッシュは、広く世界の情報を得て、基本技術を握ることでメーカーをもコントロールするようになることも考えられます。確かに、タカタのエアバッグでホンダは痛手をこうむっています。社内開発ではコストが掛かり、コスト計算上ではサプライヤーから買い入れるほうが有利に見えるでしょう。
しかし、AI のような基本的ソフトの開発を諦めれば、自動車会社としての独自性は失われSONYのようになることが懸念されます。

 

経営者がビジネスモデルを忘れないこと

●これは、取締役と執行役員を分離する方式のまずい部分ではないかと感じます。アメリカに始まったこの方式ではどうしても経営者が「投資家」になってしまいます。現在のホンダのように、「技術は他社から買ってくればいい」となっていることです。

自分たちが投資に足る「ビジネスモデルを作り上げる立場」にいることを忘れてしまって、独自技術の開発を怠ってしまうのです。それが、低迷の原因になってしまいます。

 

トヨタのTNGAが何を目指しているのか、よく理解することは全ての業界の経営者にとって指標となるのではないでしょうか?

(なぜ改革が必要なのか?)
●世界経済がリーマンショックに見舞われ低迷したとき、トヨタも実質的に赤字転落となりました。その原因が、生産台数世界一を目指して邁進した末に、コスト体質で固定費部分が多くなりすぎ、減産に入ってもコストが下がらないことであると気付いたのです。

そこで、コストを変動費化することの重要性に気付き、全世界規模で生産体制を改革することにしたのでした。これが、TNGAでしょう

 

TNGAは、単なる設計改革ではない

●トヨタのサイトに掲載された、TNGA46点の注目項目を見ていると、たぶん誤解する人が大多数であろうと感じます。それを見ていると、車両設計(プラットフォーム)の改革に思えてくるのです。第4世代にモデルチェンジした「新型プリウスがTNGA適応の1号車である」との説明も誤解を生み出す元のようです。

もしかすると、トヨタの社内でもTNGAの本来の狙いを誤解している人が多いのかもしれません。

※2018年2月26日発表: トヨタ「新型パワートレーンの特徴」

●新しいシャーシを設計するに当り、当然に全てを見直して最先端の技術を取り入れていくことになります。それで新しい車種の設計技術が目に付くので、世界戦略がかえって見えなくなるのでしょうか?

一般的には、新型プリウスの設計など個別の技術のレベルの高さは理解できるのでしょうが、世界戦略のレベルを知ることはないのでしょう。

●ちょうどアコーディアゴルフが金融BTを行ったとき、その資金調達の事務的レベルの高さに目を奪われ、銀行融資2%程度に替わって7%の配当金を支払わねばならないことに気付かず、また本来のビジネスモデルの戦略性については後退することになることに無関心であるのと似ています。「木を見て森を見ず」といえるでしょうか? 少し違いますね?

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