「アコーディア・ゴルフ(AG)はPGMに比較して、3大都市圏に位置するゴルフ場が多いので、将来有利に展開する」とAG関係者は言い続けてきました。このこと自体には、間違いはないでしょう。でもこれだけでは決まらない。
でも「ゴルフ場には立地条件がある」と理解していることになります。
3大都市圏と個別立地条件
通常、立地条件の良い事業所は、悪い事業所と比較すると、同じ営業技術レベルでは、立地条件が良いほうが営業成績が伸びることになります。これを利して「3大首都圏の立地」に集約しようとしているのでしょう。間違いではありませんが、それではそれぞれの事業所の立地条件に即した営業方針を取っているのでしょうか? これは、これまでの営業方針、管理の方針からして疑問です。
立地条件の良い場所では、とんでもないことをせずに、真面目に日常業務をこなしていれば、大多数の業種で営業成績が伸びることがほとんどです。
特殊な業種は別です。業種の特殊性については、理解しない人がほとんどで、イメージを追いかけています。特殊でなくとも業種による違いは存在します。これは別途。
広告効果との関係
太平洋クラブ御殿場コースは、むかしから値引きしなくても集客できました。相模コースよりも予約が取れにくく往生したものです。立地的には首都圏に近いのは相模コースで、帰りの時間を考えると、御殿場コースは嫌われています。それでも高いプレーフィーを取って集客できるのは、「ブランド」と言えます。
このブランドを形成してきたのが「太平洋マスターズ」トーナメントです。毎年行われるこのトーナメントの宣伝効果は、「国家予算規模」と私はよく言うのですが、このトーナメントが開催されてこなかったなら、どれほど本格的なコースと言っても苦戦したでありましょう。
しかしプレーフィーが高いため、招待してあげても文句を言われたことが2度ほどあります。さらには自宅が東京都内に近い人は「2時までに上がりたい」と後半は浮足立ってしまいます。商圏の考え方を柔軟にしなければなりません。でも相模コースより集客できるのです。
週刊ダイヤモンド「プレーしてよかったコース・ベスト100」で2015年度トップを確保しています。
これは営業成績にとってベストなお客様の受け止め方です。名門過ぎて入りにくいコースでは得られないことです。タイガーや石川遼などの選手のブランドイメージまでが、味方しているのです。
商圏の作り方
立地条件はその位置に固定的なあるものではありません。太平洋マスターズのような強大な広告効果があると、商圏は作り出されるのです。単純に「首都圏」などと言った大枠ではなく、商圏を作り出す工夫を考えることです。
トロフィアの苦戦は、どうしてでしょうか? 整備、サービスなど格段に良くなっているはずです。でも初期の狙いと違って、ネットでの集客も必要になっています。またトロフィア以外のコースに波及効果を出すにはどのようにすれば良いのでしょう。
タイガーがチップインバーディーを決めた地点(18番ホール)に埋め込まれたプレート
太平洋クラブ各コースが「グリーンが早い」と思われているのは大したブランド構築です。それを営業方針に利用して来なかったことは大きな損害です。同じようにトロフィア効果が全コースに波及しないことは、コストパフォーマンスが悪すぎます。
ここで詳しくは触れませんが、利益率を上げることは、まだまだ出来ます。