【トランプ次期アメリカ大統領(21)】TPP離脱[2]

トランプ・アメリカ大統領

トランプ氏がビデオメッセージで「就任直後にTPP離脱を各国に通知する」と表明しました。これで中国を中心とした経済連合が東アジアに浸透し始めて、アメリカ依存から東アジア各国が離脱していく流れとなることは、確実でしょう。

☚【トランプ次期アメリカ大統領(20)】TPP離脱[1]

トランプ氏の狙い

アメリカ国内の製造業が衰退したのは、主に「安い労働力」が海外で得られるためで、アメリカ自動車産業も現在、メキシコでの生産を進めアメリカ国内に輸入している状態です。これに高い関税をかけるとなると、日本企業よりもメキシコでの生産規模で量的にはアメリカ企業がダントツに多く、アメリカ国内での生産体制に移行しなければならず、アメリカ企業のコストアップは避けられない情勢です。

それでもアメリカ国内での生産規模が増えるので雇用が回復する見込みがあるのです。それに従い、アメリカ国内での車の価格が上がり、日本車などには、高い関税で輸入量を抑えていくことになります。そしてアメリカ国内ではアメリカ車の販売も増やす可能性が出てきて、「万々歳」となる見込みなのです。

しかし、もちろん世界市場ではアメリカ車の競争力は絶望的で、国内産業として生き残っていくことになります。しかし、中国などの大規模な市場では「現地生産」で対応できれば、グローバル企業として生きていけることになります。

世界規模の人件費のレベル

中国は「世界の工場」と言われてきました。それは人件費が1/20とも言われて圧倒的に安く、関税が低ければ輸入しても中国製品が安いことになります。「グローバル経済」と言われて久しいのですが、それは人件費、つまり「給与」が世界中と競合となり、当然に製造業を中心に海外移転してしまう結果となってきました。「産業の空洞化」と言われる現象です。日本の労働者の年収が増えないのは、こうした海外の安い人件費との競争となっているからです。せめて国内販売の自動車は「現地生産」つまり国内生産を固定化して仕事を増やせば、失業者が増えるなどの問題は起こさないと考えられるのです。しかし、企業がグローバル化している以上は、給与の下げ圧力は続くことになり、ベースアップなどは考えにくい状況にあります。

問題は、それでは「なぜ自由競争としてグローバル化を進めるのか?」です。

企業の成長を求めるため

国内市場だけでは、これ以上の規模拡大は望めず、世界を市場としていくことで企業は成長できます・・・

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