【豊洲市場問題から学ぶ(5)】石原慎太郎

日記

築地市場移転問題で豊洲の新市場建物の地下が空洞になっていたことについて、いろいろと問題が出てきていますね。しかし、本質的な問題点はまだ表面化していないようです。これは収めどころが難しいようです。その中で話題になっているいくつかの問題について見ておきましょう。

石原慎太郎元東京都知事の責任

 
Amazon.co.jp
  

空洞を知っていたのか?

「私はだまされた」とはいささか行き過ぎたコメントですが、残念ながら石原慎太郎氏は本当に忘れているのでしょう。都知事として決済しているのですから、どのように決着しても最高責任者であります。石原氏の政治家としての経歴、人生に汚点を残すこととなったことは、「太陽の季節」からの石原ファンとしては残念なことです。歳を取りすぎました。2期8年ぐらいで隠居するべきでした。

石原氏が「コンクリートブロックを検討しろ」と指示して「かえって高くなる」として決着していることは、問題のないことです。リーダーとして「頭を使って工夫しろ」としているのはリーダの務めです。「下からいわれたことを言ったまで」と覚えてもいないのにコメントしたのが、間違いなのです。息子たちが前面に出てカバーしなければならない年齢です。地下が空洞であったことを知らなかったのも事実でしょう。それで済む問題ではありませんが、知事とは、石原氏にとっても舛添氏にとっても「えらい方」であるのでしょう。公僕の心得違いです。

利権に絡んでいるのか?

では「石原氏が利権に絡んで豊洲移転を決めたのでしょうか?」。これも違うでしょう。

石原慎太郎は逗子が地元でした。参議院議員に当選したころ、私の先輩が県議会選挙に立候補して、応援演説を頼んだので、私に迎えに行ってくれと頼まれたのですが、当時、逗子市披露山の慎太郎氏の邸宅の入り口を知らなかったので断ると、他の者が迎えに行くと断られて帰ってきました。「チンピラ地方議員の応援演説の約束など、覚えていない」のでしょう。でも石原氏は地元に利権を誘導するようなタイプの政治家ではありませんでした。現神奈川県黒岩知事、木村太郎氏のように地元企業リビエラの利便を図るためにオリンピック誘致を利用するような立場をとらない人でした。少なくともあからさまには・・・

田中角栄氏のように利権誘導で国会議員になったのではなく「太陽の季節」で芥川賞を得て、石原裕次郎を弟に持ったことで、盤石の知名度と知識人の肩書を得ていたので、苦労していないのです。

田中角栄のように学校も出ていないため、金と義理人情しか頼るものはない人とは違います。慎太郎はエリートでした。晩年でも巨大利権に関わっていたとは考えにくいのです。舛添氏いわく「あの人(慎太郎)は一匹狼ですよ」です。

慎太郎は「いけにえ」

  
利権があるとすれば「東京ガス」しかありません。土壌汚染がひどい豊洲の土地は、始末に困っていたことでしょう。東京都が860億円掛けて土壌対策をしたのはおかしな話で、当然に東京ガスが行って売却するべきところを、肩代わりした形です。民間企業同士の取引ならば、ありえないことです。汚染が発覚した以上、売却が難しく、対策費も巨額になります。東京ガスとしては是が非でも東京都に売却したかったでしょう。その他、ゼネコンの「費用を浮かしたい」との思惑も別にあって、この2つの利権の絡みが見えてきます。石原慎太郎氏が絡んでいたとすると「大疑獄」です。ゼネコンの手抜きに都が手を貸したとしても、浮いた費用は少額です。裏金があっても大した額ではありません。建設費用の手抜きとすれば、都の担当者レベルのことでしょう。習慣的にゼネコンと担当者の癒着は考えられますが、大きな問題ではないでしょう。むしろ東京ガスとの癒着があれば、大問題で、これを小池知事が表立って取り上げる度胸があるのであれば、今後の展開は楽しみになります。

しかし、むしろ石原氏の名前を上げたのはメディアの方で、小池知事陣営は予期していないことかもしれません。なぜなら、自民党都議連ではなく、自民党本部との本格的政争となる危険があるからです。そこまでやると今後の小池知事にとっても良いことではなく、本当のところは隠ぺいするのでしょう。石原氏はメディアと小池知事、自民党本部にとって「いけにえ」的な存在として見ておくべきでしょう。真実は闇の中に消えるものと思います。・・・つづく

【豊洲問題から学ぶ(21)】処分しても終わらない[1]➡
【豊洲問題から学ぶ(19)】皆さん間違いです・!!
【豊洲問題から学ぶ(18)】8人の処分は政争の具?
【豊洲問題から学ぶ(16)】品質保証から政争を排除せよ!
【豊洲問題から学ぶ(14)】どんな不良なのか?
【豊洲問題から学ぶ(12)】社会の縮図[1]
【豊洲問題から学ぶ(9)】「誰が?」ではなく「何が?」です[1]
【豊洲市場問題から学ぶ(6)】投資とマネーゲーム[1]
【豊洲市場問題から学ぶ(5)】石原慎太郎
【豊洲市場問題から学ぶ(2)】水はコンクリートの天敵[1]
【豊洲新市場問題から学ぶ(1)】結論ありきの作文[1]